■GT300での若手育成を目指すNDDP RACING
ヨコハマタイヤのADVANとともに成長する関口選手と千代選手
GT300に今年から挑むこととなったNDDPレーシングとは、正式名称のNISSAN DRIVER
DEVELOPMENT PROGRAMからも分かるとおり、ニッサンの若手ドライバー育成プログラム。フォーミュラのFCJ、F3に続く第3ステージとしてGT300が選択された。
F3同様、指揮を執るのは長谷見昌弘監督だ。そして、ドライバーとして起用されたのは同チームでF3のNクラスを戦い、昨年チャンピオンに輝いた千代勝正選手。また、Cクラスのチャンピオンである関口雄飛選手も抜擢を受けて、チームに加入することになった。
マシンは国産車初のFIA-GT3であるGT-R NISMO GT3とあって、注目度も極めて高く、今季最も話題とされるチームといっても過言ではないだろう。初レースとなる前回の岡山国際サーキットでのレースでは、表彰台も夢ではないポジションを走行したものの、S-GTデビューの千代選手が不意にインを開けてしまったことが災いし、GT500車両に追突されてコースアウト。目指した結果を残すことはできなかったとはいえ、高い可能性を示すこととなった。
一方、SUPER GTの経験を既に持つ関口選手の、長谷見監督による評価は極めて高く、緒戦から「100点」とも。それを実証するような展開が、今回は随所に見られた。まずは土曜日最初の練習走行。強い雨に見舞われ、難しいコンディションの中、2番手を1秒3も引き離してトップに立ったのだ。暴れるクルマをまるでロデオのように手なずけて走る様子に感嘆の声が上がったほど。
今回の予選はスーパーラップ(SL)方式だが、予選1回目とSLは同じドライバーが走ることはできない。もちろん、SLは関口選手が担当、予選1回目でトップ10につけることがSL進出の条件だが、千代選手は4番手につけて難なくクリア。注目のSLでは後半に向けて、明らかに条件が良くなる中、期待に答えて関口選手は2番手に。が、本文でも触れたとおり予想だにしなかったアクシデントによって涙を飲む。
それでも決勝はウエットコンディションからの始まりとなっただけに、「関口劇場」が繰り広げられることが期待された。実際、タイヤを再び交換するまでに3番手にまで浮上。その後も千代選手ともども活躍が期待されたのだが……。33周目にピットガレージにおさめられたマシンは、しばらくの間コースに戻れず、復帰はなったもののトップとは18周遅れに。
「ブレーキのトラブルでした」と関口選手。しかし、今回の激走によって、得られたものは限りなく多かったようだ。その後にこうもつけ加えた。「次のセパンは、期待してください」と。育成プログラムであるだけに、いきなり結果が求められるわけではないが、早いに超したことはないのは事実。NDDPレーシングのピットに、笑顔がこぼれる時を心待ちにしたいものだ。