Your browser does not currently have the Flash Player version 8 that is required to view this site.
Please click here to download the latest Flash Player version.
HOME / MOTORSPORTS / SUPER GT 2012 / Preview News Index
  ひとつ前にもどる  
日程・レポート・結果表 カテゴリー&タイヤ解説 クラス区分
[LINK] 公式ウェブサイト 主なチーム&ドライバー
PREVIEW
いよいよ開幕を迎える2012年のSUPER GT。
オフシーズン中は、テスト日程が雪の影響を受けるなどもしたが、この週末に岡山国際サーキットで行われる初戦にはGT500に15台、GT300には25台の合計40台がエントリーしている。

GT500クラスでは24号車「D'station ADVAN GT-R」と、19号車「WedsSport ADVAN SC430」の2台がヨコハマタイヤを装着して臨むが、19号車は昨年もドライブした荒聖治選手のパートナーとして、アンドレ・クート選手が加入。
一方の24号車は昨年に引き続き安田裕信選手とビヨン・ビルドハイム選手のコンビで、ともにチャンピオンを狙う。

GT300クラスは昨年のチャンピオンである「GSR&Studie with TeamUKYO」が、BMW Z4 GT3の2台体制となった。ゼッケン0をつけるマシンは谷口信輝選手と、昨年はGT500を戦っていた片岡龍也選手のコンビとなり、鉄壁の体制とも言える布陣を構築。チームメイトのゼッケン4は昨年のチャンピオン獲得でその成長ぶりを示した番場琢選手と、佐々木雅弘選手がコンビを組んで、若い力を結集した。

さらに今年も多くのマシンがヨコハマタイヤを装着するGT300は、ニューフェイスが多数登場。アウディR8やメルセデス・ベンツSLSなどが目を惹くFIA GT3車両の中では、日本勢として日産GT-Rも姿を見せる。このGT-Rを駆るのは関口雄飛選手と千代勝正選手という、昨年の全日本F3選手権でCクラスとNクラスそれぞれのタイトルを獲得したコンビ。
また、JAF-GT車両勢では市販前から大いに話題を集めてきているスバルBRZが登場。このほか、開幕戦からトヨタプリウスも参戦、ハイブリッドレーシングカーの実力にも注目が集まっている。

この週末のスケジュールだが、31日(土)は9時から11時まで公式練習が行われる。その後、14時30分からノックアウト予選のQ1、15時10分からQ2、そして15時40分からQ3と公式予選が進んでいく流れになる。
月が変わって4月1日(日)は、8時20分から45分間のフリー走行。サーキットサファリやピットウォークといったイベントをはさみ、14時ちょうどから82周の決勝レースとなる。

気になる空模様だが、30日の昼時点で発表されている予報によると、31日の予選日はややぐずつき気味となりそうだ。岡山国際サーキット周辺にはお昼前後で雨の予報も出されており、公式予選までにコンディションが回復するのかが気になるところ。
決勝レースが行われる1日の日曜日は、降水確率も20%と低めで雨の心配は無さそうな予報となっているが、最高気温が10度、最低気温はマイナス1度と低く推移しそうなので、観戦にお出かけの際は厚手の上着も必携となりそうだ。
 
CIRCUIT
COURSE GUIDE DRIVER
土屋 武士 選手 =Takeshi Tsuchiya=
今シーズンは「ART TASTE PORSCHE」でGT300に参戦。
ドライバーとしてはもちろん、マシン造りやチームマネージメントの面でも、幅広く手腕を発揮している。
2012のSUPER GT開幕ということで、今回はコース解説の前に、僕も参戦するGT300について簡単に紹介したいと思います。

今年のGT300はFIA GT3車両が増えて、性能調整の面でもJAF-GT車両がFIA車両に合わせて性能を上げる方向とされています。では、両者はどんな違いがあるのでしょう?
凄く単純に言ってしまうと、FIA GT3車両はメーカーやチューナーが販売しているFIA公認車両をそのまま"吊るし"の状態で走らせるマシンです。だからほとんど改造は許されていません。一方のJAF-GT車両は日本独自の規定で、改造が許されている幅も広くて創意工夫でいろいろなことが出来る車両です。

こうした違いなどを見ていくと、FIA GT3はエントリーしやすいことが大きな特徴ですね。ロングライフで信頼性も高く、アマチュアでもプロでもパッと乗れるし、メンテナンスも容易。
対してJAF-GTは空力性能をはじめとした開発が出来ることから、レーシングカーの作り手にとってはやり甲斐のある車両ですね。ただ、コストもそれなりにかかってえくるので、自由度は大きいけれどエントリーのしやすさではFIA-GT3車両に譲る面がありますよね。

ドライバーとして見れば、乗りやすさと言う点ではFIA GT3車両が上です。限界が高く、変な癖もなくてマイルドな感じで、限界特性までのカーブがとてもなだらか。なので、アマチュアからプロまで、最初から違和感なく乗れるでしょうね。ただ、頑張ってもタイムを大幅に上げることは難しいかもしれません。
JAF-GTは逆に純粋なレーシングカーという感じ。なので、プロドライバーならば特にJAF車両の方がタイムを上げやすいでしょうね。その代わりに限界領域のスイートスポットは狭いのが特徴です。
山に例えれば、JAF-GTは高くて尖った山、対するFIA GT3は緩やかな傾斜で、そのまで高くもない山。どちらが乗りやすいか、登りやすいかと言えば、やはりFIA GT3車両になるでしょう。
さて、開幕戦の舞台となる岡山国際サーキットですが、ここは路面がスリッピーでとてもタイヤに厳しいコースです。その中で特に低速コーナーのトラクションが肝になってきますね。後半セクションの"ダブルヘアピン"などはレース中のトラクションが周を重ねる毎にどんどん辛くなっていくので、決勝は終盤までしっかりとトラクションを維持出来るマシンのセッティングやタイヤマネージメントが必要になってきます。
その上で、このコースはとてもテクニカルなレイアウト。回り込むコーナーが多いので、フロントタイヤのパフォーマンスが重要になってきます。

パッシングポイントとして挙げられるのは、ヘアピンとアトウッドカーブの進入。このうちアトウッドは下って行ってブレーキング、そこから登りでアクセルをドーンと踏むんですが、セットアップのポイントとして僕はここでのトラクションを重要視しています。ここで早い段階から全開に出来ないマシンは、岡山では強くないマシンということになってしまうんです。
コーナー出口から登り、つまり後ろに荷重が乗っている状態からさらに全開にするわけで、リアタイヤへの負担が大きいんです。特にエンジンパワーが大きい方がタイヤにとっては厳しさも増すわけで、セットアップを含めてレース中のポイントとなる箇所なんです。

あと、グランドスタンドや1コーナーからウイリアムズコーナーにかけての客席にも多くのお客さんが陣取りますが、実は1コーナーからウイリアムズというのはパッシングポイントではありません。
しかし、決勝ではGT500とGT300が入り混じった状態になると、モスエスまでで巧くGT500を先行させる必要が生じます。ここは2台が並んで入っていけないので。下手に重なってアクセルを戻すようなことになると、後ろにいるライバルにアトウッドの進入でチャンスを与えることになりかねません。

そこでGT300のドライバーは、GT500との位置関係を1コーナーの進入あたりから考えていく感じになりますね。ウイリアムズから勝負どころのアトウッドあたりまでを大きくひとつのものとして考えながら、どこでGT500と重なるかとか、どこで勝負をかけるか、といったことを考えながらスタンド席の前を走り抜けているのです。集団の位置関係を見ながら、こんなドライバー心理を想像して観戦されるのも面白いかもしれませんね。

とにかく岡山国際サーキットは、コースと観客の近さではSUPER GTが開催されるコースの中では一番です。僕たちも走りながらヘアピンのところなんかに隙間なくファンの皆さんがいらっしゃるのを間近にしますから、本当に熱心に見ていただいているということを直接感じられますから、ドライバーにとってもやり甲斐のあるコースです。
そんな中で、僕がお薦めする観戦ポイントはヘアピン周辺ですね。テクニカルな中に40台が走る今回のレース、ヘアピンのブレーキング競争は迫力がありますし、なにしろ40台ですから何か"事件"も起きてしまうかもしれませんね。
 
ENGINEER PREVIEW
ADVAN TIRE ENGINEER
荒 川  淳 =Jun Arakawa=
横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループ・リーダー
SUPER GT開発チーム統括補佐

SUPER GTのGT500/GT300両クラスにおける、タイヤ開発全般に携わる。
開幕戦の舞台となる岡山国際サーキットは、グレーニングと呼ばれるタイヤの表面に波を売ったような摩耗が出やすいコースで、摩耗とグリップというふたつの性能が高い次元で両立していることを求められます。
また、3月末の開催ということで季節の変わり目にあたるため、事前に気温や路面温度を予測するのも難しく、持ち込むタイヤの選定に悩むことになるレースでもあります。

昨年に引き続きGT-RとSC430の2台がヨコハマタイヤを装着するGT500クラスですが、タイヤ開発の基本的な方向や課題は替わっていません。ただ、予選に関する部分や持ち込めるタイヤ本数などの規則が変更となったこともあり、グリップと耐久性(持続性)の両立が、より重要になったと考えています。

GT500についてもう少し言えば、GT-Rは昨年同様に安田裕信選手とビヨン・ビルドハイム選手のコンビであるのに対して、SC430は荒聖治選手と新たに加入するアンドレ・クート選手のコンビになりました。
ドライビングスタイルは選手毎の特徴がありますが、両チームともにパートナー同士でタイヤの評価は共通しているので、開発の課題は見極めやすいと感じています。ただし。マシンやタイヤの挙動を表現する時に使う単語が同じでも、実はそれぞれが異なる挙動を表現している場合がありますので、この点は注意しながらコミュニケーションを深めています。

一方でGT300は今年も多くのマシンがヨコハマタイヤを装着しての参戦ですが、FIA GT3車両が台数を拡大しています。
タイヤから見た場合、FIA GT3とJAF-GT車両の両方に対して基本設計は同一で、1サイズ・1スペックとした高い汎用性を持ったタイヤ開発を目指しています。しかし、FIA GT3は規則によりタイヤサイズがシーズンを通じて固定であるのに対して、JAF車両は車両特性に合わせたサイズの設定が決められた上限までの範囲内で可能という違いがあります。

今年のGT300は車種のバラエティが増えて、リストリクター規制が無くなったFIA GT3とJAG-GT車両のガチンコ対決は、私も一人のモータースポーツファンとして本当に楽しみにしているところです。
しかしタイヤ開発側の一人としては、前述のように1サイズ・1スペックとした高い汎用性を目指していますので、シーズンを通じて気を抜けない開発が続くことになるだろうとも思っています。

また、ニューフェイスという点ではハイブリッド・レーシングカーの登場も、注目を集める存在になるでしょう。開幕前の公式テストが実質的なシェイクダウンとなっていますが、タイヤ開発における課題が明確になるのもこれからでしょう。車両重量や出力特性から来るタイヤへの負荷や摩耗特性の違いなどが、新たに課題となる可能性があると考えています。

オフシーズンは岡山国際サーキットでのテストも実施しており、まずは開幕戦での大量ポイント獲得をしっかりサポートしたいと思っています。
その上でGT500については最終戦までしっかりチャンピオン争いに加われること、GT300は全戦優勝とチャンピオンの連取を目標として、ユーザーチームをサポートしていきます。


■使用するタイヤサイズ
  (GT500) 330/710R18、330/710R17
  (GT300) 280/650R18、280/680R18、280/710R18、300/650R18、300/680R18、330/710R18、330/710R19
ひとつ前にもどる