この週末に行われるポルト戦は、マカオ・グランプリなどと同様に市街地の一般公道を封鎖して行われるストリート・レース。WTCCの醍醐味である激しいバトルは、ストリートというチャレンジングな舞台が用意されることによって、ますますエキサイティングなものとなる。
そしてこのポルト、2007年の初開催時は第1レースでシボレー勢のアラン・メニュ選手、ロブ・ハフ選手、ニコラ・ラリーニ選手が表彰台独占という好成績をおさめていることを思い出したいところだ。第2レースではBMWがワン・ツー・フィニッシュを飾っているが、3位にはメニュ選手が食い込んで2戦連続で表彰台を獲得。
しかし'09年の開催では、BMWとセアトが表彰台を奪ってシボレー勢は未勝利に終わっている。
元々、ポルトはETCC時代からBMWが得意とするコースと言われていたが、ことWTCCについてはどこが勝ってもおかしくない状況が続いている。そんな中、今季は開幕から圧倒的な強さを見せているシボレー勢の戦いぶりがまずは気になるところだが、ここで抑えておきたいポイントは補正(カンペンセイト)ウェイトの変更である。
前戦・ブルノではシボレーを筆頭に、SUUREDのセアト・ガソリンターボ車、BMWのガソリンターボ車、そしてボルボC30が等しくプラス40kgを搭載していた。しかし今回のポルト戦では計算の結果などを受けて、シボレーとボルボはプラス40kgと変わらないものの、BMWは10kg減のプラス30kgとなり、さらにSUNREDのセアトはマイナス20kgと大幅減の措置がとられた。
つまりシボレー/ボルボとSUNRED勢では60kg、大人一人分にも相当する重量差が生じたわけで、この差はブレーキングや加速で決して無視出来ないものになる可能性がある。
ブルノではデビュー以降の最上位となる5位を獲得したSUNREDのセアト。しかし一方ではトラブルによるリタイアを喫したこともあり“生みの苦しみ”も味わっているが、重量差を活かした戦いぶりが期待される存在だ。そしてまた、ETCC時代は得意と言われたBMW勢、特にブルノで今季2回目の準優勝を獲得したトム・コロネル選手にとっては、悲願の優勝に向けて大切な一戦となる。
一方で、YOKOHAMAトロフィー争いも熾烈を極めている。同点トップでチェコに臨んだクリスチャン・ポール選手とハビエル・ヴィラ選手だったが、第1レースを制して第2レースでも3位を獲得したポールセン選手が再びハビエル選手に対してリードを築く結果となった。ただし、その差は4点と僅かなもの。
そして、この戦いにポルト戦から加わる注目の存在を紹介したい。
その選手こそ、ステファノ・ディアステ選手。2007年にはYOKOHAMAインディペンデント・トロフィーのタイトルを獲得、'08年は3位、'09年に4位、'10年は6位と、常にトロフィーの上位争いを繰り広げてきた選手の一人である。
今季はこれまで欠場していたが、このたびウルス・ソンデレッガー選手に代わってヴィヒャーズ・スポーツからの参戦が決定。'09年のポルトでは、2レースともにYOKOHAMAインディペンデント・トロフィーで優勝を飾っているだけに、復帰初戦となるポルトでの活躍が期待される存在だ。