WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)の第5戦&第6戦は、この週末にイタリアのモンツァを舞台に開催される。
ここまで2大会/4戦を終了してシボレーが3勝、セアトが1勝と、シボレーの強さが目立っているが、果たしてモンツァ戦はどのような展開になるのだろうか。
勝負の行方を占う上で重要なポイントとなるのが、このモンツァからカンペンセイト(補正)ウェイトの適用がスタートすることである。
2009年から導入されているこのシステムは、車種毎の性能均衡を図ることを目的としたもの。やや難しい計算式が用意されているが、FIAのホモロゲートナンバーで分類した車種毎に、直近の大会における結果を基にして平均タイムを算出し、その差に応じて重量の増減措置を施すという仕組みである。
もちろんモンツァで最も重量を科せられるのはシボレー・クルーズ1.6Tで、プラス40kgとされた。これ以外の車両は重量加算が無く、BMW320TC(1.6ターボエンジン)とセアト・レオンTDIはプラスマイナスゼロ、BMW320si(2.0ノンターボエンジン)とボルボC30についてはマイナス20kgという措置がされている。
つまりクルーズとBMW320si/ボルボC30では60kgの違いが生じるわけで、大人一人分にも相当するこの重量はレーシングカーにとって決して小さくないハンデとなり得る。
なお、このカンペンセイトウェイトは今後も毎大会ごとに計算が行われて適用されるが、セアトやボルボが1.6ターボエンジンを搭載した場合には、それらの車種は最大値の重量を科せられることになる。
そしてモンツァと言えば、WTCC開催コースの中でも特に高速型レイアウトで知られている。
予選2回目の平均スピードを見ても、今季の開幕戦・クリティバでトップを奪ったロブ・ハフ選手(シボレー)が162.70km/hだったのに対して、昨年のモンツァにおける予選2回目でトップに立ったアウグスト・ファルファス選手(BMW)は172.82km/hと10km/h以上速いのである。
高速型コースといえば、シボレーが得意とするレイアウト。しかし前述のウェイトが効いてくることも充分に想像されるため、そうなるとディーゼル・パワーのセアトや、新たな1.6ターボエンジンを積むBMW320TCの逆襲が実現することになるかもしれない。
発表によると、モンツァ戦へのエントリーは22台。新顔としてはBorusan Otomotiv
Motorsportからイブラヒム・オキアイ選手がBMW320siで出場する。オキアイ選手はトルコ出身の41歳で、2008年にはWTCCにフル参戦を果たしてYOKOHAMAインディペンデントトロフィーのシリーズ6位を獲得。最終戦のマカオでは10位の成績を残している。
このオキアイ選手も登録しているYOKOHAMAトロフィーだが、その上位争いは熾烈を極めている。
そんな中で日本人として初のWTCCフル参戦を果たしている谷口行規選手の戦いぶりに注目が集まるところだが、モンツァではレースウィーク中の木曜日に、丸一日のテストセッションが設けられている。ここでは5時間ほどの走行枠が設けられており、マシンのセットアップなどに重要な時間となることは間違いない。
特に谷口選手にとって、モンツァは2008年にWTCCデビューを飾ったコース。この時はアコード・ユーロRを駆り、デビュー戦で総合21位完走を果たしている。
思い出のデビューコースで谷口選手が見せてくれる好走に期待が高まるところだ。