この週末に開催されるWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)の舞台は、ベルギーのゾルダー・サーキットが舞台。ヨーロッパラウンドの緒戦でもあるため、公式日程は金曜日の午後に30分間設けられているテストセッションからスタートする。
ちなみに当初発表された今季のカレンダーで6月の開催が予定されていたモロッコ戦はキャンセルとなったが、その代替としてハンガリーのハンガロリンクでの開催が決定。日程はそのままに6月3日から5日にかけて行われる運びとなった。
今季のWTCCは昨年同様にブラジルで開幕、その緒戦の結果も昨年と同じくシボレー勢の表彰台独占というものだった。では第2大会となるゾルダーはどのような展開になることが予想されるのだろうか。
昨年の結果を見ると、ゾルダーはセアトのガブリエレ・タルクィーニ選手がポールポジションを獲得した。そして決勝は第1レースでは同じくセアトを駆るジョルディ・ジェネ選手がスタート早々にトップを奪ってフィニッシュまでマシンを運んだが、レース終了後に車両規定違反を指摘されてまさかの失格処分に。その結果、タルクィーニ選手が優勝を飾っている。
続く第2レースでは、第1レースを8位でフィニッシュしてリバースグリッドによってポールからのスタートとなったBMWのアンディ・プリオール選手がポール・トゥ・ウィンを飾る結果となった。
このようにシボレー勢は優勝には届かなかったのだが、この結果から今年の展開を予想するのは決して容易ではない。何故ならご承知の通り、今季は主なガソリン車のエンジンが1,600ccのターボに換装されており、さらにリバースグリッドの仕組みも昨年とは変更になっているからだ。
そのような中で、ゾルダー戦で注目すべきトピックスをいくつかご紹介しよう。
まずは日本人として初の年間エントリーを果たしている谷口行規選手が所属するBamboo-engineeringについて。
開幕戦は旧型のシボレー・ラセッティで参戦したが、いよいよゾルダーからは1,600ccターボエンジンを搭載するシボレー・クルーズ1.6Tにマシンをスイッチする。
クリティバでは旧来の2,000ccノンターボエンジン車ゆえにアンダーパワーで苦戦を強いられたBamboo-engineeringだが、谷口選手とチームメイトのダリル・オーヤン選手ともにゾルダーからの巻き返しに期待が高まるところ。水曜日にフランスでテスト走行を実施して準備を整え、ベルギーへと乗り込む予定になっているとのことだ。
次に、このベルギーから参戦を開始するチームとドライバーをご紹介。
Wiechers-SportはBMW320TCで、ウルス・ソンデレッガー選手を起用。46歳のスイス人ドライバーで、これまでにポルシェ996GT3カップやセアト・レオン・ユーロカップなどへの参戦実績を持っている。チームはソンデレッガー選手とベルギーを皮切りにドイツ・オッシャーズレーベン戦までの7大会分を契約。終盤のスペイン大会以降でステアリングを握るドライバーについては、改めて発表するとされている。
またZengo DensionからはBMW320TCを駆ってノルベルト・ミケリス選手が参戦。ハンガリーのモハーチ出身で26歳、昨年WTCCへの初参戦を果たして、最終戦のマカオでは堂々の総合優勝を飾った期待の若手だ。2010年のルーキー・チャレンジでチャンピオンを獲得、さらなる飛躍が見込まれるだけにゾルダーでの戦いぶりには注目したい。