ラリーステージで一際目を惹く、鮮やかなピンク色のマツダ・デミオ。
JN2クラスを戦うこのマシンを駆るのは、いとうりな選手。全日本ラリーに選手として参戦している女性は多いが、そのほとんどはコ・ドライバー。自らステアリングを握るドライバーでの参戦は、今季ここまでで唯一の存在だ。
しかも、いとう選手はSUPER GTやスーパー耐久でレースクィーンとして人気を集め、テレビ出演やDVDもリリースしてタレントとしても活躍している。ラリー・ドライバーとしては異色の存在とも言えるが、そもそもラリーを始めたきっかけは何なのだろうか。
「きっかけは、ドライビングを教えてもらっている先生(南野保選手)がラリーをやっている方だからなんです。元々はカートをやっていて、SUPER GTのレースクィーンなどもやっていたので、本当はサーキットを走りたいなと思ってJAFのA級ライセンスを取得しました。
そして、今年は一年を通じてシリーズで何かに参戦してみたいと思っていて、それを南野さんに提案したら、『じゃあ、ラリーがいいんじゃない』っていう話になって。その上で、『ターマックは本当に速い人には敵わないだろうが、グラベルは何があるかわからないし』、ということでグラベルを戦うことになりました」
実際に走ってみての感想、そしてコ・ドライバーの指示で走るというラリーの独特なスタイルに違和感は無かったのだろうか。
「難しいですよね。初めて出場した第2戦は、なんかもうワケがわからなくて『なんで、こんなにいっぱい石が落ちているんだろう?』って。そんな凄い道だとは思っていなかったんで。
逆にコ・ドライバーの指示があるというのは、先に道の様子がわかるので『行けるところは行けるんだな』って安心して走れます」
いとう選手は今回で3戦目の出場となったが、回を重ねる毎にどのドライビングが洗練されて速さが磨かれていることがわかる。デビュー戦こそ見た目にも“おっかなびっくり”走っている様子がうかがえたが、今では果敢にコーナーを攻め込んでいる姿を見ることも珍しくない。特にスムーズで無駄のない走りがタイムアップにつながっているようだ。
「いえいえ、全然まだまだですね。速くなっているっていう実感も無いですし。ただ、運転するのは本当に楽しいです。
今年はグラベルラリー全戦と、ターマックで行われるシリーズ最終戦に出る予定です。うまく行ったら、海外のラリーにも出てみたいと思っています」