ルーキーながら、第1戦で優勝をいきなり飾った後、Nクラスのランキングトップを守り続けている野尻智紀選手。カートレースでの華々しい活躍の後、受講したSRS-Fで実力を高く評価され、スカラシップによって09年からFCJに参戦。
しかし、絶えず上位を争うものの、2年間ついに優勝には恵まれることはなかった。その前の'08年にはF4西日本シリーズに挑んでいたが、やはり優勝は飾れず。それがF3に上がった途端、優勝とは見る者が見れば改めて感じさせられたものだ。
同時に野尻選手自身が勝ち方を覚え、3戦連続の2位を経て、第5戦で再び表彰台の頂点に立つこととなった。
安定感に満ちていることが野尻選手の身上ながら、それだけでは満足できなかったようだ。さらなるレベルアップを目指して、多くの関係者にアドバイスを求め、それを自己分析。しっかりレース内容に結びついたのが、第10戦だったと言ってもいいだろう。
不安定なコンディションの中、スタートを決めて状態が変化し続ける中でも冷静に対処。だが、第11戦のスタートミスで、その冷静さを欠いてしまった感も否めず。落としたポジションをカバーできず、レースを終えてしまったからだ。
レース後、涙を見せていた野尻選手。しかし、すぐに気持ちを入れ替えていた。
「今日(第11戦)のようなレースをしていたら、話にならない。予選で分かるとおり、クルマは最高だったんで、決勝のペースは(チームメイトの)三浦選手がひとりで走って良かったように、本当はあんな走りはしちゃいけない。すごく悔しいけれど、この悔しさを僕は残りのレースでバネにします。
次はホームコースの鈴鹿で、最後は地元のもてぎ。絶対に思いを晴らしてみせます」と野尻選手。
ひたひたと足跡を響かせ、近づいてくる中山選手のプレッシャーをはねのけることができるか、残りの戦いに注目したい。