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JDC Round 1
開催日
2011年4月17日(日)
開催場所
モビリティおおむた
(福岡県)
天 候
晴れ
路 面
ドライ
(一部は散水によりウェット)
参加台数
95台
(ADVAN装着車 22台)
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2011年の全日本ダートトライアル選手権は、九州の「モビリティおおむた」で開幕戦を迎えた。
会場は、かつては「三井三池」と呼ばれ、九州のモータースポーツのメッカとして親しまれているコースだ。ダートトライアルのコースは炭坑跡地にあり、かつては黒炭のパウダーが混じる特殊な路面だった。だが、長年の路面作りによって硬い路面の上に砂利が乗る、他と似たような路面に変わってきている。

今年は参加台数が少なかったこともあり、その路面特性の影響が大きく出た。例年なら砂利が飛んで硬質路面が顔を出した2トライ目にかなりのタイムアップが果たされるが、その差が各クラス共に3秒から5秒ほどと少なかったのだ。

さて、ADVANに2点の注目すべきポイントがあった。
一つは、海外ラリー用のグラベルタイヤであるADVAN A053が改造車クラス用に投入されたこと。このADVAN A053はナンバーなしの改造車のみに使用できるものだが、SC1クラスの福山重義選手、SC3クラスの太田雅文選手、Dクラスの山田ひとみ選手らが「ADVAN A053」を履いた。
SC1クラスで4位となった福山選手は「タイヤのポテンシャルは高いと思います。今回はボクが走り込めていなかったのが原因ですね。次戦までに色々な面を熟成させるつもりです」というADVAN A053は路面に合わせて現場でハンドカットしてタイヤをチューニングできる点も大きな武器だ。

もう一つは、ADVAN A035の205/65R15サイズが、ケース剛性の変更を受けて新バージョンに変わったことだ。このタイヤはランサー・エボリューション]などの重量のあるマシンに合わせてケース剛性をチューニングしたもので、SA2クラスの上村智也選手、石戸昭太郎選手、三浦禎雄選手などが本番で使用した。
1本目に新しいADVAN A035で走った上村選手は「反応がシャープになって正確性が高まりましたね。それと、高速域での直進安定性がよく、安心して踏める感じです」とその印象を話す。
石戸選手は1本目、2本目ともにADVAN A035でトライ。「ボクらのクラスの走行前に散水が入り、その影響が大きいだろうと読みました。正直、後半の外周のセクションは散水が少なかったようで、そこでロスした感じです。でも、前半は散水の影響も残って砂利も残っていた。その路面では、合っていた気がします。ただ、ボクはMコンパウンドでしたが、路面温度的に低かったのかもしれません。おそらく、Sコンパウンドがベストマッチだったかも」という。
二人に共通しているのは、高速域でブロックがヨレる感覚が少なく、安定感があるという点。確実に戦闘力は高まっているようだ。

さて、ADVAN勢の戦いぶりで注目すべきは、SA1クラスの岡田晋吾選手の活躍だ。
岡田選手は九州地区の地方戦を中心に戦う選手で、ラリードライバーの榊選手の弟子にあたる。その岡田選手が、本番で初めて履いたADVAN A036でシード勢を下し、嬉しい全日本初優勝を成し遂げた。岡田選手の走りは、丁寧に路面のいい所を選ぶ頭脳派的なもの。まわりからも「上手く走った」と評されていた。
今期は地元の全日本戦に参戦する予定というが、成績によってはシード権獲得の可能性も高まってきた。これからの活躍が期待されるニューフェースだ。

SA2クラスの荒井信介選手は1本目はADVAN A031で、2本目はADVAN A036で挑み、4位という結果に。
「実は、岡田クンもタイヤの選択で悩んでいた。でも、そういう時は挑戦するしかない。縦のトラクションの良さを活かして走れば、というアドバイスをしたんだ。オレもまったく同じ判断でADVAN A036を選んだ。でも、オレたちのクラスの前に散水が入ったでしょ。特に前半はその影響が大きくて、かなり滑る感覚で手こずった。
後半はADVAN A036にベストの路面で追い上げたんだけど、追いつかなかったね。でも、手応えは感じた。常にトップ争いができると思う」と戦いを振り返る。

SC3クラスでディフェンディングチャンピオンの谷田川敏幸選手はクラス優勝と共に、オーバーオールを奪う。しかし、谷田川選手のベストは、ADVAN A035で走った1本目のタイムだった。
「1本目は、砂利が残っていたこともあってADVAN A035を選んだ。本番でADVAN A035を履いたのは、去年のこの大会以来だよ。
走り始めてすぐに路面とタイヤがとてもマッチしている感覚があって、いいじゃんって思った。それで気持ちも乗って、攻めて走れたのが良かったね。左奥の内側のターンなんかは、手前から意図的にアンダーを出して進入して、パワーオンで姿勢が変化するという走りができた。けっこうリスクのある走りだったけどね。
2本目は、そのコーナーでエンジンが止まっちゃってダメだったか、と思ったけど、結果的に1本目のタイムでオーバーオールがとれた2本目に向けて1本目からADVAN A036で、という戦い方をしていたら取れなかった。そういう意味でも、本当に幸先のいいスタートが切れて嬉しいよ」という。

降雨などがない状況で、1本目のタイムが決勝タイムになるのは非常に希なこと。
言い替えれば、それだけ谷田川選手の1本目の走りが図抜けていたということ。その勢いを持続して、今年も連覇に向けて全力を注ぐ。
 
Driver's Voice
谷田川敏幸 選手
 【今回の成績 : SC3クラス 優勝】
結果的には、これ以上はない、という形になったね。正直、2本目のトラブル発生には焦ったよ。他の選手がタイムアップしているのは間違いないからね。
タラレバになっちゃうけど、ADVAN A036で走り切れていたら、もっと好タイムだったハズなんだけど。でも、ADVAN A035の良さも分かったし、収穫のある大会だったね。
 
荒井信介 選手
 【今回の成績 : SA2クラス 4位】
ADVAN A036は、とにかくトラクションがいいからね。散水の影響が残っている心配はあったんだけど、挑戦のつもりで攻めていった。
正直、前半はかなり辛かった。何しろスタートラインに並んだ時に散水が入ったからね。上村クンなんか、間違いなくその犠牲者だよ。少なくても、ある程度は路面状況を確認できるようにして欲しかったな。
でも、手応えは悪くない。今シーズンは、チャンプ奪回を目指して頑張りますよ。
  
岡田晋吾 選手
 【今回の成績 : SA1クラス 優勝】
このコースは地元で走り込んでいますが、ADVAN A036を履くのは初めてなんです。使い慣れたADVAN A035とどちらにするか、と悩んでいたんですが、荒井さんに可能性が高い方を選ぶべきだとアドバイスされて、それでADVAN A036を選んだんです。
とにかくいい路面を外さないこと。それに徹しました。途中、ラインを外しそうになって危うかったんですけど、本当に嬉しいです。
 
FEATURED DRIVER
2年連続でSC1クラスのチャンピオンを獲得した太田雅文選手が、今年からADVANのサポートを受けてSC3クラスに移籍した。
今回は本番用のマシンが間に合わずに借り物のマシンでの参戦となったが、実力は実証されているだけにSC3の強者たちにどんな戦いを見せるのかに注目だ。

「久しぶりの4WDマシンで、まだFF(前輪駆動)のクセが抜けていない感じ。早く上位争いに加われるように頑張ります」と意気込みを見せている。
なお、太田選手はADVAN A053をメインに使用する予定だ。
 
Technical Information
ADVAN A035の205/65R15サイズは、ランサー・エボリューション]などの重量のあるマシンにマッチさせるべく、タイヤの構造変更がなされた。外観はまったく同じで識別ポイントはないが、旧タイプはK9289、新タイプはF5269という商品コード違いで、関係者はKコード、Fコードと呼んで区別化している。なお、コンパウンドはSとMがあり、路面温度によって使い分ける。

■横浜ゴム・MST開発部 技術開発2グループ 八重樫 剛
「Fコードは、分かりやすくいえばランサー・エボリューション]に対応させたものです。ケース全体の剛性を見直し、トレッドなどのイナーシャも変化させています。グラベルでは、荷重が掛かってタイヤが変形して路面を捉えるのですが、そのためにケースをチューニングした形ですね。
ただ、単に剛性を高めるだけではダメで、タイヤの変形を最適にする必要がある。そのチューニングを施したものと考えて下さい。ハンドリングやトラクション、高速時の安定感などが違っていて、走りやすくなっています」
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