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IRC Round 6
開催日
2011年7月14日〜16日
開催場所
アソーレス諸島
サンミゲル島 (ポルトガル)
天候/路面
LEG1 : 晴れ/ドライ
LEG2&LEG3 :
雨 時々 晴れ/ウェット
グラベル(非舗装路)
SS総距離
205.09km (17SS)
総走行距離
743.61km
参加台数
42台 (ADVAN装着車 4台)
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2011年のIRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)第6戦「ラリー・アソーレス」が6月14日から16日にかけて、大西洋のリゾートアイランド、ポルトガル領アソーレス諸島を舞台に開催された。第3戦「ツール・ド・コルス」以来、今季2度目の参戦となる新井敏弘選手とともに今大会がIRC緒戦となる奴田原文雄選手もスバルの新規格モデル「WRX STI spec C・R4」でデビュー、日本から参戦する両選手が大いに注目を集める存在となった。

このイベントは今年で46回目の開催を数えるクラシックラリーで、ヘッドクォーター(大会本部)およびサービスパークはアソーレス諸島のメインランド、サンミゲル島の最大都市、ポンタ・デルガダに設定。
ステージはその周辺の山岳エリアに設定されたグラベル(非舗装路)ロードで、いずれも中低速から高速までコーナーのバリエーションが豊富だ。加えて路面もソフトからハードまで様々な種類がミックスされていることから、両選手ともにレッキの段階から「リズムが掴みにくい。難しいラリー」と印象を語る。

特に奴田原選手は、今大会で主要パーツを備えたR4のコンプリートキットカーをドライブするものの、初めてのスバルWRX STIとなることから14日(木)の午前中に行なわれたシェイクダウンでは慣れないクルマに苦戦。同時にチーム側の判断で敢えてリアのサブフレームに実績のある純正パーツを使用した新井選手もタイムが伸び悩むなど厳しい滑り出しとなった。


ラリーは13日(水)の夕方、ポンタ・デルガダ市内で行なわれたセレモニアルスタートで幕を開け、翌14日(木)の夕方には西に位置するラゴア周辺の山岳エリアで本格的な競技がスタート。
スバルWRX STIに慣れるべく、まずはペースを抑え気味にした奴田原選手はSS1「LAGOA/MARQUES・1(13.06km)」を15番手タイムで終えたが、思うようなペースアップを果たすことができずにSS2「COROA DA MATA・1(7.5km)」と、並行するコースで2台が同時に走るSSS(スーパー・スペシャル・ステージ)を舞台にしたSS3「GRUPO MARQUES・1(2.00km)」で12番手タイムに留まる。この日の総合順位はトップから約1分18秒遅れの14番手でレグ1をフィニッシュした。

一方、奴田原選手と同様にペースを抑えていた新井選手。SS1は11番手タイムに留まるものの、SS2でS2000勢に割ってはいる7番手タイムをマーク。しかし、ガス欠症状によって左コーナーで失速する状態にマシンが陥ってしまい、SS3はトップと約15秒差の25番手タイムに留まる。これで新井選手はトップから約56秒差の10番手でレグ1を終えることとなった。


このように波乱含みの展開となるなか、翌15日(金)、サンミゲル島西部のセテ・シダデスを舞台にしたレグ2では予想外のハプニングに祟られる。
この日のオープニングステージとなるSS4「BATALHA GOLFE・1(7.90km)」で新井選手のWRX STI・R4に電気系のトラブルが発生。スタートからわずか200mの地点でストップしてしまい、そのままこの日の走行を断念せざるを得なくなってしまった。

また、奴田原選手もファーストループで苦戦を強いられた。SS5「FETEIRAS・1(7.47km)」は牛がコースを塞いだことから安全性を理由にキャンセルされたものの、この日は激しい雨と霧に祟られたことから、奴田原選手はセットアップの決まっていないマシンの挙動に手こずらされ、SS4で11番手タイム、SS6「SETE CIDADES1・(18.30km)」で12番手タイムに低迷。
天候が好転し、ドライと化したセカンドループではSS7「BATALHA GOLFE・1(7.90km)」、SS8「FETEIRAS・2(7.47km)」ともに苦しみながらも粘り強い走りでステージをクリア。勝負をかけていたロングステージの「SETE CIDADES・2(18.3km)」が濃霧の影響およびコースアウトした車両の回収でキャンセルされたように、上位陣を含めて続々とリタイアが生じるサバイバルラリーで、しっかり生き残って戦いを続けた。

そしてサードループでは、タイヤ選択と足まわりのセッティング変更が功を奏し、SS10「REMEDIOS/AGUA DE PAU(7.15km)」で9番手タイムをマークしてペースアップ。ところがSS11「LAGOA/MARQUES・2(13.06km)」でドライブシャフトのトラブルに見舞われて三輪駆動状態での走行を強いられ22番手に沈んでしまう。この日の最終ステージとなるSS12「COROA DA MATA・1(7.50km)」もトラブルを引きずった状態で20番手タイムながらマシンをしっかりフィニッシュへと運び、奴田原選手はトップから約6分30秒遅れの総合11位でレグ2を終えることとなった。


そして16日(日)、サンミゲル島東部のピコ・デ・ヴァラ周辺の丘陵地を舞台にして迎えたレグ3。
奴田原選手はオープニングのSS13「GRAMINHAIS・1(20.80km)」は問題なくクリアしたが、SS14「TRONQUEIRA・1(21.94km)」でスタート直後からエンジンの不調に見舞われ、24番手タイムに失速する。
しかし、ECUのリセットでエンジンは復調し、SSSを舞台にしたSS15「GRUPO MARQUES・2(2.00km)」ではペースを回復。さらに、セカンドループでもSS16「GRAMINHAIS・2(20.80km)」で9番手タイム、最終ステージとなるSS17「LAGOA/MARQUES・2(13.06km)」で9番手タイムをマークするなど着実にペースアップを果たし、IRC部門10位(総合11位)で完走を果たし、IRCのシリーズポイントを獲得した。

一方、レグ2のSS4でリタイアを喫していた新井選手もスーパーラリーでレグ3に出走しており、SS13で7番手タイムをマーク。その後もSS15とSS16で6番手タイム、SS17で7番手タイムをマークするなど、SUPER 2000勢に迫るタイムを叩きだすことで改めてそのスピードを証明した。
 
Driver's Voice
奴田原文雄 選手
 【今回の成績 : IRC 10位 (総合11位)】
6月末にストールレーシングの本拠地、オーストリアで事前テストを行なったんですけれど、今回がスバルWRX STIでの初のラリーでしたからね。タイヤの選択や足まわりのセットアップがどうのこうのよりクルマに慣れていないことが大きかったと思います。
実際、まだランサーのドライビングのクセが抜けてないし、シフトミスも多かった。とはいえ、レグ3の最後のステージで次に繋がるような手応えを得ることができました。
インプレッサは軽いクルマなので、まずはその特性を生かせるようにドライビングを補正していくことが今後の課題。そのうえで、足まわりのセットアップを詰めて行きたいと思います。
 
新井敏弘 選手
 【今回の成績 : リタイア】
レグ1はややセーブしながら走っていたんですけれどSS3でトラブルが発生。当初はガス欠かと思っていたんですけれど、その原因は電気系にあったみたいでレグ2最初のステージで症状が再発し、最後は完全に止まってしまいました。レグ2のほうが自信はありましたし、そこで勝負をかけようと思っていただけに残念です。
レグ3も全体的にメカニカルグリップが不足していたりして、思うようにアタックすることができませんでした。
今回は全てのR4パーツを装着しなかったので、次回はコンプリートキットで参戦。それまでにエンジニアと相談しながら、タイヤも煮詰めたいと思います。
 
Driver's Voice
八重樫 剛
まず奴田原選手に関しては、スバルWRX STIで初めてラリーに参戦したので、クルマに慣れていないということが大きかったと思います。
レグ2はタイヤチョイスが難しく、2ループ目はコンディションが変わって裏目に出てしまいましたが、3ループ目のタイヤの感触は良かったと思います。レグ3もウエットで思ったよりグリップがでませんでしたが、今回は最初のイベントなので足まわりのセットアップを含めてマシンが煮詰まればもっと良くなって来るでしょう。
一方、新井選手に関してはレグ1のSSSやレグ2のオープニングステージなどトラブルが多かったことが非常に残念ですが、S2000やグループNとのタイム差は想定どおり。
今大会では様々な路面を走ることによって、いろいろと得るものがありました。この経験を活かして、幅広い路面に対応できるタイヤを開発していきたいと思います。
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