■「ADVAN KONDO GT-R」を牽引、エースドライバーの重責を果たす期待の若手・安田裕信選手
「ADVAN KONDO GT-R」の若きエースとして奮闘を続ける安田裕信選手。昨年まではより経験豊富な外国人ドライバーとコンビを組むなどして来たが、今季は新たにビヨン・ビルドハイム選手をチームメイトに迎え、GT500の激戦を戦うKONDO RACINGの牽引役の重責を担っている。
今大会の前週には、ポイントリーダーとして全日本F3選手権の最終ラウンドに臨むも、僅か1ポイント差で戴冠を逃す悔しさを味わった安田選手。
「確かに3日くらいは落ち込みましたけれど、もう終わったことを振り返っても仕方がないですから。そういう意味では今回のオートポリスでも、予選がああいう結果(最後尾)になってしまったけれど、終わったことは仕方がないと前向きに捉えていました。そういう気持ちでレースに臨んだことも良かったんじゃないですか」
今回の予選1回目を含め、温まりの良いADVANの特性を活かして、周回数を絞ってワンチャンスを確実にモノにする安田選手は、今季は何度も予選アタッカーとして「ADVAN KONDO GT-R」を上位グリッドに送り込んで来た。
「今年でGT500は3年目ですし、少なくともそういう部分は出来るようになって来たかな、という感触はありますね。今のGT500では、どのタイヤメーカーも非常に力が入っていて激戦区ですから、スーパーラップに残るのも厳しい戦いですから」
エースドライバーとしての安田選手の初シーズンも、はや7戦を終了し、残すは最終戦のみとなった。
「去年はタイヤ無交換という作戦で1勝することが出来たんですが、今年も開幕戦では窓が曇るトラブルがなければ優勝するチャンスが充分にありましたし、それ以降の戦いに関しては、確実に今年の方が予選を含め、良いリザルトを残せて来ています。自分としても、その部分で良い仕事は出来ているんじゃないか、という気持ちもあります」
このようにエースとしての自負と手応えを感じるという安田選手は、最終戦をどのように戦うのだろうか。
「GT500はレベルが高い戦いですし、最終戦はまたノーウエイトの戦いになりますが、なんとか最後に表彰台に乗ってシーズンを終えたい。気温が下がってくる時期ですし、そのチャンスは充分にあると思います。JAFグランプリでは、僕は去年4位でフィニッシュ出来ていますし、シリーズ戦ではないとはいえ気を抜くことなくしっかり戦うつもりです。残りのもてぎと富士では、今の僕たちのクルマとタイヤのパフォーマンスを100%使い切って走れるよう頑張ります」
チームを引っ張りながら、GT500の厳しい戦いで成長を続ける安田選手。エースドライバーとして戦って来た初年度の集大成を、最終戦もてぎとJAFグランプリでは思う存分に見せてくれそうだ。
■SUPER GTで唯一の3台体制 次戦こそ表彰台目指す 「#86 JLOC ランボルギーニRG-3」
「R&D SPORT LEGACY B4」の快進撃の陰に隠れはしたものの、今回のレースで侮りがたいスピードを見せたのが、「#86 JLOCランボルギーニRG-3」だった。3台のランボルギーニ・ガイヤルドRG-3を擁するJLOCの中で、これまで唯一目立った活躍がなく、前半戦はトラブルが相次いだものの、ここに来てシューティングも完了し、またウエイトハンデに苦しんでいないこともあって、ようやく本領を発揮することに。
坂本祐也選手と青木孝行選手も、内心期するものがあったようで、走行前から「今回は面白いレースができそうな気がする。僕らには関係なくなっちゃったけど(苦笑)、ここからタイトルを争っているチームにはいろんなことが起きると思うんですよ。その隙をつけば、きっと!」と青木選手が語っていたほど。
練習走行、予選をそれぞれ5番手でクリアした後、続いて挑んだスーパーラップでは、なんと青木選手が激走を見せて2番手に浮上する。
「予選からアンダーステアが強くて、それはスーパーラップでもあんまり変わらなかったんですけど、だましだまし走ったら、何とかなったという感じ。正直(ポールポジションの)レガシィのタイムはまったく見えませんけど、2番になると1番が欲しくなるものですね!」と青木選手。
その気迫に坂本選手も応え、担当したスタートではまずポジションをキープ、2周目には3番手に後退するも、「ZENT Porsche RSR」に食らいついて離れず。本文でも触れたとおり、「エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電」をも交えたバトルは、トップが逃げ続けていただけに、むしろ観客の視線を釘づけとした。その走りを見守っていた青木選手も「頑張っていたよね」と評価はしたが、不運なアクシデントも。
「やっちゃいました……。ヘアピンで加藤(寛規)さんと当たってしまって、その時は抑えたんですが、次の周に抜かれてしまって。ピットとの交信で次の周入ることになっていたんですが、100Rでリヤが出て、いつものように堪えられるかな、と思ったらスピンしちゃって。必死に抵抗してなんとか戻ったんですけど、その時に足をつってしまって。それでアクセルの感覚がなくなっていて、次のヘアピンで回ってしまい、それがすごいロスになってしまいました」と坂本選手。それが28周目のことだった。
「表彰台には立てたレースだったから、悔しいけれど、それはまぁ、坂本選手が頑張った結果だろうから。ただ、最初のスピンだけだったら10秒ぐらいのロスで済んだと思うし、15番手まで落ちたところから、6位まで上がって来られたんだから。ペースは良かったし、最後までタイヤも良くて、最後まで変わらないペースで走れたから……。う〜ん、でも悔しいな。坂本選手には断髪でもしてもらうことにしましょう、モヒカンがいいかな(笑)」と青木選手。
さらに加えて、「富士以降、クルマはすごく良くなってきているんで、この流れをもてぎに持ち込んで、リベンジしたいですね」とも語ってくれた。昨年もガイヤルドは、もてぎで3位になっており、相性は悪くない。JLOCの3台が、最終戦で台風の目となるかも!