■GT500初年度、厳しい戦いの続く 「WedsSport ADVAN SC430」 2度目の富士で進化の兆し
GT300でタイトル獲得を果たすなど実績を積み、今季GT500にステップアップした「WedsSport
ADVAN SC430」のレーシングプロジェクトバンドウ。チーム初のGT500、さらにレクサス陣営では久々のADVANユーザーとあって、初戦富士での開幕戦では3位表彰台を獲得し周囲の度肝を抜いたものの、ここまで決して思うような戦いは出来ていない。
「今回2回目の富士ということで、チームにとって初めて経験のあるサーキットでの戦いとなったわけですが、流れ的にいうと、もてぎのテストで得られたものを今回の富士に活かして、もっと良い形で戦えれば良かったのですが、タイヤに対してセットアップを合わせ切れていないというのが現状です」
と語るのは坂東正敬監督(写真・左)。とはいえ、
「レースウィークの実戦の舞台ながら、セットアップに関しては試行錯誤的なことをやっている段階です。ただ、少しずつ良い部分も見え始めて、コンディションが異なるものの予選ではこれまでの富士でのベストタイムとなる1分35秒8が出ていますし、このタイムも1周しかアタック出来ず、タイヤもきちんと温め切れていなかったもの。
レクサスが得意な富士、というプラス面があるのかもしれませんが、スーパーラップ進出をひとつの基準と考えれば、コンマ3秒差ですから、これまでの戦いの中では一番ビハインドが少なかった」
と、2度目の富士では少なからずの手応えがあったという。
しかしながら、坂東監督が目指すのは当然もっともっと高いレベルにある。
「GT500に上がって、周囲にライバルとして嫌われるような存在の"強い"チームを目指していますから、GT500初年度として現状の満足度はまだまだ"ゼロ"です。チームとしてもまだ"時間"や"知識"が足りず、クルマやタイヤに関しての"自信"が不十分だと痛感していますし、開幕戦で表彰台に上がったとはいえ、ADVANやトヨタ、TRDをはじめ支えて頂いている方々に、まだまだ満足なお返しが出来ていないですから、残り2戦も諦めずに攻めて行きます」
オートポリス、そして最終戦のもてぎでは、チーム、そして坂東監督が納得する戦いを「WedsSport
ADVAN SC430」には期待したい。
■規定変更で最後のシーズンを戦う紫電が今季初の3位表彰台をゲット
来シーズンからの規定変更により、紫電のようなプロトタイプのGTは出場できないといわれていることもあり、有終の美を飾るべく加藤寛規選手のパートナーに高橋一穂選手がカムバック。戦い慣れたコンビでの活躍が大いに期待されたものの、実際にはここまでの5戦はトラブル続き。優勝どころか、表彰台にも届かないレースが続いていた。
だからこそ、今回久々に「エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電」を3位へと導き、久々に立った表彰台で高橋選手、加藤選手は笑顔を見せていた。
「久々の表彰台に、なんとか無事上がれました(笑)。今回はエヴァンゲリオンの関係者の方々も、けっこう来てくれたので、盛り上がってもらえて本当に良かったですよ」と加藤選手。
しかし、決して楽なレースではなかったという。
「僕のスティントは、前は逃げてくれたし、後ろは離れてくれたので、自分のペースで走ることができました。クルマもタイヤもすごく良かったんで、自分のペースで走れさえすれば、タイヤも燃料もマネージメントできたんで、途中から『タイヤ無交換決定!』って無線で伝えて。
でも、ヒヤヒヤものでしたけどね。まずスタート直後の1コーナーなんてミラーしか見ていなくって。何か突っ込んできたり、直線の速いクルマに先行されたら、かなり厳しいことになりますからね。幸い、3番手で回れたから良かったですけど」
後半を託した高橋選手の走りを見守る時も、実は心配事があったという。
「実は最後の5周ぐらい、ガス欠症状が出ちゃって。給油も攻めたから。それでも高橋さんが集中力を切らさずに、何とかしてきたというのは、これはちょっとびっくりしました。もう半ば諦めていましたし、チェッカー受けられないかも、って思ったぐらい。ホントにミラクルでした!」
次回のレースは、紫電とも相性の良いオートポリスが舞台。わずか21kgのウエイトハンデで挑めるだけに、今度は優勝を目指してほしいものだ。