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SUPER GT Round 5
開催日
2011年8月20日-21日
開催場所
鈴鹿サーキット (三重県)
天 候
路 面
ウェット
決勝周回数
87周 (1周 = 5.807km)
*特別規則書の規定に従い、86周で終了。
参加台数
38台
(ADVAN装着車 20台)
>> Report (レポート)  >> Result (競技結果)  >> Detail (カテゴリー紹介)
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今季シリーズ最長の500kmという長丁場の戦いとなった、第5戦「Pokka GT SUMMER SPECIAL」は、真夏の暑さで知られる伝統のイベントだが、今季は土〜日曜を通じて前戦・SUGOを思わせる雨模様に。気温も週末を通じて一度も30度を超えることなく、"らしくない"涼しいコンディション。
決勝でも雨が断続的に降るなど不安定なコンディションの難戦となった結果、GT500では「ADVAN KONDO GT-R」が粘り強い走りで10位入賞。一方GT300クラスでは終盤の逆転劇を披露した「R&D SPORT LEGACY B4」が今季初優勝を飾った。

土曜日の午後に行われた公式予選。Q1はドライコンディションでスタートしたが、Q2以降は天候が崩れてウェットコンディションに転じてしまった。
そんな中、GT500クラスの「ADVAN KONDO GT-R」と「WedsSport ADVAN SC430」はともに残念ながらQ1で敗退。予選ポジションはもちろんのこと、Q2以降がウェットとなったことから、ウェットレースが想定される決勝を前に、ドライコンディションでしか走行出来なかったという痛手を負うこととなってしまう。

一方のGT300クラスは12台のADVAN装着車がQ2に進出。さらにQ3には上位10台の出走が許されるが、そのうち8台をADVAN装着車が占めて速さを見せる。
Q3はQ2よりも雨量が増してコンディションはさらに悪化したが、「R&D SPORT LEGACY B4」の佐々木孝太選手が、開始早々シケインでオーバーランするも、しっかり仕切り直して次の周には2分22秒366をマークして3番手に。そして、前回のウイナーである「SG CHANGI IS350」の折目遼選手が4番手につける。また、終了間際には「ZENT Porsche RSR」の都筑晶裕選手が5番手に浮上。6番手には「初音ミク グッドスマイルBMW」の番場琢選手がつけ、ランキングのトップ浮上も視野に入れたポジションから決勝に挑むこととなった。


未明に降った雨はほぼ止んでいたものの、日曜日の午前に行われたフリー走行は完全なウェットコンディション。
しかし、午後になって迎えた決勝スタートの段階では完全なウェット路面ながら、ほぼ雨が上がっており、各陣営ともタイヤ選択に頭を悩ませる状況。ADVANユーザーの2台はともに深溝のレインタイヤをチョイスする。

そして迎えたスタート。
「ADVAN KONDO GT-R」のスタートドライバーを務めたビヨン・ビルドハイム選手はスタート直後、2コーナー立ち上がりで38号車・SC430を捕らえ11番手に浮上するなど好スタート。しかし、予想されたような雨は降らず路面状況は徐々に好転し始め、ビルドハイム選手は「最初の2周は良かったが、3周目あたりからラップタイムをキープ出来なくなってしまった」とまさかのペースダウン。4周目に12番手に下がると、さらに5周目には14番手に。
同様に「WedsSport ADVAN SC430」の片岡選手もペースが上がらず、15番手のまま我慢の走行を強いられ、19周目と早めに荒聖治選手に交代するが、荒選手も徐々にペースを落とし苦戦することに。

「ADVAN KONDO GT-R」は29周目までビルドハイム選手が奮闘し、安田選手に第2スティントを託すが、同じくレインタイヤを装着した安田選手のペースも上がらず、レース中盤には「WedsSport ADVAN SC430」とともに周回遅れとなってしまう。
それでも諦めずビルドハイム選手の最終スティントに、いち早くスリックタイヤを投入した「ADVAN KONDO GT-R」は、1周遅れながらハイペースな周回を重ねて32号車・HSV-010」と10位争いを展開。しかし、レース終盤の77周目にデグナーで両者は接触、32号車はスピン、ストップしてしまう。「ADVAN KONDO GT-R」にはドライブスルーペナルティが科せられたが、ビルドハイム選手は10番手に浮上。貴重な1ポイントを追加することとなった。
「WedsSport ADVAN SC430」は、周回遅れとなったこともあり、荒選手のスティント中に浅溝をトライするも状況は大きくは好転せず。最後のスティントでは片岡選手がスリックタイヤを装着も、トップから3周もの後れを挽回するには至らず11位のままチェッカー。惜しくもポイント獲得はならなかった。

GT300では、3番手スタートの「R&D SPORT LEGACY B4」を駆る佐々木選手が、まずはポジションキープからレースを開始し、33号車・ポルシェにぴたりと食らいついていく。プレッシャーをかけ続け、4周目のS字でオーバーテイクに成功すると、そのままトップの43号車・ガライヤに迫っていった。
もちろん履いていたのは深溝のレインタイヤだったが、異なるメーカーのタイヤを装着する車両同士によるトップ争いで抜群のパフォーマンスを見せて、9周目には早くも佐々木選手がトップに浮上。そしてその勢いのまま後続を引き離し続けていった。

31周目に「R&D SPORT LEGACY B4」は最初のピットストップを行い、ここで山野選手にバトンタッチ。その後しばらくは、「エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電」の加藤寛規選手にトップを譲るが、38周目の高橋一穂選手への交代の間に山野選手はトップに返り咲く。
その直後にGT500車両のクラッシュがあり、セーフティカーがコースイン。これでいったん マージンを吐き出してしまうが、リスタート後は何事もなかったかのように差を広げ続ける。

最後のピットストップの際には、すでに雨も止み始めていたこともあって、ライバルの多くが選んでいたようにスリックタイヤを装着。そして、58周目に再び佐々木選手がコースイン。アウトラップで33号車に抜かれてしまったのは唯一の誤算ながら、じわじわ差を詰めて65周目にはテール・トゥ・ノーズ状態に。相手はストレートが速く、しかも乾いたラインは1本だけとあってブロックされ続けるも、ワンチャンスにすべてを賭けた71周目の130Rでインを刺し、佐々木選手はトップに返り咲く。
ゴール間際にまた雨が降り始め、チームスタッフや山野選手の肝を冷やさせたものの、むしろ佐々木選手はダメ押しのように、より差を広げることに成功。昨年の鈴鹿ラウンド以来、1年ぶりの勝利を「R&D SPORT LEGACY B4」が飾ることとなった。

3位は余郷敦選手と織戸学選手の駆る、「リール ランボルギーニRG-3」が獲得。最後のピットインの直前は7番手を走行していたが、55周目に余郷選手から織戸選手に代わるところでいち早くスリックに換装。「この決断と戦術がすべて。クルマもすごく良い状態で織戸選手に渡せました」と余郷選手が語るとおり、織戸選手がじわじわ順位を上げていき、64周目には3番手に。そのままポジションを守って岡山ラウンド以来となる、今季2度目の表彰台となった。
そして5位には「初音ミク グッドスマイルBMW」が入賞。ピット作業違反のペナルティでドライブスルーペナルティを課せられたため、ランキングのトップを争う11号車・フェラーリに1秒を切るまでに迫っていただけに、あと1周あれば間違いなく逆転していたに違いない。
 
Driver's Voice
安田裕信 選手
 【今回の成績 : GT500クラス 10位】
ドライの予選アタックは、予想以上に他のタイヤメーカーが予選に特化したタイヤを投入したようで、想定以上のタイムアップをしたためにQ2進出はなりませんでしたが、ある意味パーフェクトに近い走りが出来たとは思います。また、ウェットとなった決勝では、かなりの雨量を予想していたのですが、雨量が足りず深溝のウェットタイヤを履いていた僕たちにとっては最悪のコンディションになってしまいました。
鈴鹿サーキットはドライでもレインでも、非常にタイヤへの入力が高く厳しい舞台なのですが、昨年より進化したドライタイヤでは上位陣とのギャップがあまりなかった反面、ウェットでは苦戦しましたね。前回の菅生ではウェットでも良かったのですが……。次の富士の前に、もてぎとオートポリスでテストが出来るので、そこで良いタイヤを見つければ富士に持ち込めるはずですし、今日の雨は忘れて前向きにいきたいと思います」
 
ビヨン・ビルドハイム 選手
 【今回の成績 : GT500クラス 10位】
序盤は本当に苦しかったね。スタート良く1周目の1〜2コーナーでひとつ順位を上げたけれど、3周目くらいからがっくりペースが落ちてしまった。周囲のマシンに着いていけなくなり、かなりタイムをロスしたんだ。安田選手のスティントにはスリックでと考えていたんだけれど、ピットインが近づくと雨が降り出し、レインタイヤを履くしか選択肢がなくなってしまった。そのせいで、安田選手も僕と同じように苦しむ結果になったんだ。
ただ、僕の最後のスティントでスリックタイヤを履いたのはベストなタイミングだったし、ウォームアップも良く最後までコンスタントに周回し、かなりの速さを見せられたと思う。終盤10位を争っていた32号車と接触してしまったことは残念だし、その結果ペナルティを受けてしまったが、かなり苦しかったレースだけに、10位1ポイントでも獲得出来て良かったと思うよ。
   
片岡龍也 選手
 【今回の成績 : GT500クラス 11位】
15番手スタートだったので、雨のレースに期待する部分はあったのですが、朝のウォームアップで初めてレインタイヤを履いた段階で、今回持ち込んでいたものがやや柔らか過ぎることに気がつきました。自分のベストの走りが維持出来ず、5周もするとペースが落ちてしまうのです。
決勝でも同様の状況を覚悟していたのですが、雨量も少なく、すぐに苦戦を強いられてしまいました。それでもなんとか踏ん張って最低周回数をこなし、荒聖治選手に交代したのですが、やはり同じような状態で……。一応荒選手のスティントで浅溝もトライしてみましたが、深溝のレインタイヤよりも柔らかいレンジだったこともあり、やはり思うようなパフォーマンスは得られませんでしたね。僕の最後のスティントではスリックで行ったのですが、ここでは温まりは良かったもののセットアップの問題もあり、上位陣とはラップタイムで2秒ほどの差があったと思います。
次は富士ですが、レクサス勢にとってはホームであり相性の良いサーキット。初戦のときの予選と比べて周囲との差がどうなっているのか、自分たちの半年間の進歩をはかるチャンスですし、期待して臨みたいと思います。
 
荒 聖治 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 11位】
残念ながら厳しいレースになってしまいましたね。今回は非常にコンディション的に難しかったと思います。もちろんそれはみんなに共通なものだったとは思いますが、その中で自分たちはうまくコンディション変化に対応し切れなかったと言えると思います。
僕は深溝と浅溝を試しましたが、どちらでもコンディション的にハマり切らない状況でしたし、持ちという部分でも厳しく、いろいろ課題が残ったと感じています。途中で浅溝に履き替えて、良いグリップを感じられた部分もあったのですが、それが持続せずなかなか上手くいきませんでしたね。
この後、タイヤテストなどもありますので、そこでなんとか良いものを見つけて、次の富士ではまた良いレースが出来るように頑張っていきたいと思います。とにかく毎戦毎戦、挑戦する気持ちでいきますよ。
 
佐々木孝太 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
本当にしんどいレースでした。こんなにいろいろ天気やコンディション、それとタイヤ選択に悩むようなレースは近頃なかったですからね。だけど、どんな条件でも速くって、チームもいいクルマを作ってくれました。もちろん、ADVANタイヤもすべての条件で、僕らに味方してくれました。
最後の33号車とのバトルは無理する必要もなかったんですが、向こうはストレートが速いし、フェアなバトルをしてくれたから、こっちもきれいに抜こうと。スプーンの立ち上がりでいいラインがとれたんですが、130Rを並んでいった時はものすごくエキサイティングでしたよ。

山野哲也 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
今年も鈴鹿は、僕らにとって特別なレースになりました。昨年の700kmから500kmに短縮されたとはいえ、最も長いレースの中、クルマやタイヤのパフォーマンスをどんどん引き出し続けていたことによって、優勝という結果を得ることができて、本当に嬉しく思います。
僕のスティントは、なぜか『もう1周』が続いたんですが、 路面が徐々に乾いていくのを確認しつつ、「今なら孝太にスリックを。絶対に速いから」と伝えることもできたし、そういった戦術面でも僕らが勝っていたんじゃないでしょうか。今年は鈴鹿だけのレガシィって言われないよう、オートポリスとかで、もう1回勝ちにいきたいですね。

余郷 敦 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 3位】
今日は本当に色々ありました。織戸選手に交代するタイミングでスリックを履けたのが良かったと思います。スリックでしっかりタイムアップしてきっちり走れたのがすべてかな、と。雨のレースになったのが良かったんじゃないですか。
本当にスリックを入れたタイミングと、決断力がすべてでしたね。織戸選手とチーフエンジニアとで話しあって決めたのですが、僕からもインフォメーションを送っていました。ところどころまだ濡れていたので、数周ピットインを待ったほうがいいとは思ったけれど、(スリックに履き替えるタイミングが)遅くなり、周りも同じようにスリックに換えてしまったらメリットがなくなるし……。だからその辺のタイミングが良かったと思いますね。本当に良かったです。
 
Turning Point
■相性の良い長丁場の鈴鹿で有言実行の優勝を果たした「R&D SPORT LEGACY B4」

「今回ぐらい、『勝ちます!』って言っていたレースは、今までありませんでしたからね。まさか、こんなに厳しい条件になると思わなかったんですが、だからこそ勝ってやる、って気持ちは今まで以上でした」

そう語るのは、GT300を制した「R&D SPORT LEGACY B4」の佐々木孝太選手。相性のいい鈴鹿サーキット、そして今季いちばんの長丁場のレースには、山野哲也選手とともに「勝ちに」来ていた。

まずコンディションに恵まれた、土曜日の公式練習では2番手につけて立ち上がりは上々。予選もQ1は5番手とはいえ、難なくQ2への進出を果たす。 だが、Q2からは雨に見舞われてしまう。そんな対照的なコンディションとなっても、マシンとタイヤのマッチングは揺るぎなく、Q2では山野選手が2番手につけて、Q3でも佐々木選手が3番手につけることとなった。

「ドライでももちろんいい感じだったんだけれど、ウェットでも良かったのが、この予選のすごく大きな収穫。どんなコンディションでも自信を持って挑めることが分かったし、何よりレガシィは予選と決勝で、それほど変わらないタイムで走れるから」と山野選手。

その言葉を証明するかのように、決勝ではコンディションが絶えず変化し続けたが、そのつど「R&D SPORT LEGACY B4」とADVANタイヤは高いパフォーマンスで、ふたりのドライバーをアシスト。ちょうど1年ぶりの勝利を、再び鈴鹿サーキットで挙げることとなった。

「最後にまた雨が降ってきた時は、鈴鹿の神様って意地悪だな、僕の地元なのに、って思って、泣きそうになりましたけどね(笑)」と佐々木選手。苦労の末に獲得した勝利だけに、ふたりの表情から笑顔が絶えることはなかった。
 
Engineer's Voice
荒川 淳
GT500に関しては、非常に苦しい戦いになってしまい残念ですね。土曜の予選を終えた段階では、2台共にQ2に進めずウェットコンディションで走行していませんでしたので、日曜朝のフリー走行で初めてレインタイヤを履いたのですが、その段階で持ち込んだレインタイヤのマッチングがコンディション的に難しいことは感じていました。

決勝でも我々としてはより雨が降る方向を想定していたのですが、24号車、19号車ともに深溝をチョイスしたものの、思いのほか雨量が少なかったことが、ちょっと誤算でしたね。
19号車に関してはレース後半に浅溝も試したのですが、時既に遅しというか、浅溝でもタイム的にはあまり変わりませんでした。やはり予想に反して雨量が少ない状態で推移したことで、我々のタイヤにとってライフ的にも厳しく、タイム的にも上げることが出来なくなってしまったと思います。

24号車は最後のスティントをスリックタイヤで走行しましたが、安田選手のスティント後半でかなりライン上が乾いていましたし、それ以降あまり降雨はなさそうだということで出来るだけ早い段階でスリックに換えたかったのですが、安田選手の最低周回数もあり、あのタイミングになりました。結果的にスリックでは安定して速いラップを刻むことが出来、なんとか10位1ポイント獲得に繋がったと思います。

次戦に向けては計画通りの開発も進んでいますし、オートポリスともてぎでテストを行う予定ですので、そこでも新たなデータが得られると思います。しっかりタイヤ開発をして、良いタイヤを富士に投入出来ると考えています。

GT300については、予選ではフロントロウを他社ユーザーに獲られてしまったのですが、優勝した62号車はウェットでもドライでも、今週末は安定して速さを見せて好調でしたし、上位を争っているADVANユーザーがペナルティを受けてしまったマシンもありましたが、基本的にあの雨量の中では各チームとも良いパフォーマンス を発揮してくれました。特に浅溝を使わず、深溝のハード系で走れていた点で、GT300に関してはほぼ狙いどおりのパフォーマンスが発揮出来たのではないかと思います。
62号車に関しては最後までスリリングなレース展開でしたが、スリックに履き替えるタイミングも良かったと思いますね。GT300に関しては今後も安定して良い戦いが出来るのではないでしょうか。
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