Your browser does not currently have the Flash Player version 8 that is required to view this site.
Please click here to download the latest Flash Player version.
HOME / MOTORSPORTS / SUPER GT 2011 / Round 4 News Index
  ひとつ前にもどる  
SUPER GT Round 4
開催日
2011年7月30日〜31日
開催場所
スポーツランドSUGO (宮城県)
天 候
曇り
路 面
ドライ
決勝周回数
68周 (1周 = 3.704km)
参加台数
37台
(ADVAN装着車 21台)
>> Report (レポート)  >> Result (競技結果)  >> Detail (カテゴリー紹介)
[Photo]
ラージサイズ画像表示
[Photo]
ラージサイズ画像表示
[Photo]
ラージサイズ画像表示
[Photo]
ラージサイズ画像表示
[Photo]
ラージサイズ画像表示
[Photo]
ラージサイズ画像表示
[Photo]
ラージサイズ画像表示
[Photo]
ラージサイズ画像表示
[Photo]
ラージサイズ画像表示
[Photo]
ラージサイズ画像表示
3月に起こった震災によって大きな痛手を負った被災地、みちのく・宮城県のスポーツランドSUGOが舞台となった、「SUGO GT 250km RACE」。東北地方、さらに比較的高地の山岳コースである菅生での開催とはいえ、7月30〜31日という夏期の戦いということで戦前は暑さとの戦いが予想されていたものの、土日を通じて天候は雨もように。このため気温は20〜25度、路面温度も30度に満たないという想定外の低温での戦いとなったが、GT500クラスでは「ADVAN KONDO GT-R」がセパンに続いて表彰台目前の4位を獲得、さらに「WedsSport ADVAN SC430」も8位に入賞。GT300クラスでは「SG CHANGI IS350」が鮮やかな逆転劇で今季初優勝。2位にも「COROLLA Axio apr GT」が入り、見事ADVAN装着車が1−2フィニッシュを飾った。

予選が行われた土曜の菅生は、朝から雨が断続的に降ったり止んだりという難しいコンディションとなった。このため、公式練習では微妙に雨量が変化していく中、セッションを通じてウェットタイヤでの走行となったが、ADVANユーザーの「WedsSport ADVAN SC430」が5番手、「ADVAN KONDO GT-R」は7番手と、まずまずのポジションでのスタートに。

しかし、雨量が減っていったことで午後零時25分スタートの予選1回目は、生乾きのいわゆるダンプコンディションに変化したため、チームはいきなりドライタイヤでのアタックを強いられた。その結果、「ADVAN KONDO GT-R」は5番手に食い込んでスーパーラップ進出を果たしたものの、タイミングなどの不運もあった「WedsSport ADVAN SC430」は14番手にとどまる。

トリッキーな天候に翻弄された土曜の菅生は、なんと午後3時20分から始まるGT500のスーパーラップを前に再びウェットコンディションとなったが、ここで6番目のアタッカーとして登場した「ADVAN KONDO GT-R」の安田裕信選手は、その時点でのトップタイムこそ逃したものの、渾身のアタックを見せて1分30秒219をマーク。

「予選のアタックに関しては、自分なりに"決まった"という感触がありました。自分たちのパフォーマンスは最大限に発揮出来た結果です」と語った安田選手は、最終的に見事3番手と、2列目の好グリッドを獲得することとなった。テクニカルなインフィールドと高速の外周部分とで構成された菅生はオーバーテイクの難しいサーキットとして知られ、予選順位が重要視されるだけに決勝での表彰台獲得への期待が高まる予選結果となった。

一方、GT300では予選1回目に「エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電」を駆る加藤寛規選手が、終了間際に1分24秒202をマークしてトップ。これに「SG CHANGI IS350」、「R&D SPORT LEGACY B4」が続き、ADVANユーザーのJAF-GT勢が上位を占めることとなった。

だが、ドライコンディションとなった予選1回目に対し、スーパーラップはウェットコンディションとなった上に午後2時30分に始まったGT300の時間帯は雨の勢いが安定せず、序盤強く、途中で弱まり、最後にまた強くなるといった具合に不安定な推移を見せた。結果的に、この気まぐれな天候の罠にADVANユーザーの多くが捕まってしまうことに。

赤旗中断が入ったこともあり、ややコンディションが持ち直した状態でアタックすることとなった「COROLLA Axio apr GT」の国本雄資選手はその時点でのトップとなる1分38秒670をマークし、最終的に5番手に食い込んだ。この後「R&D SPORT REGACY B4」の佐々木孝太選手が1分38秒658で4番手に、「SG CHANGI IS350」の折目遼選手が1分38秒523で3番手につけたものの、雨量の増した終盤にアタックすることとなった、最終走者の加藤寛規選手は1分38秒866にとどまり、6番手に甘んじることとなった。

一夜明けて、日曜の菅生も朝から雨に見舞われ、午前9時からのフリー走行はウェット宣言の出される中での走行。開始直後にコースにオイルが出たことで、3〜4コーナーを中心に多くのマシンがスピンやコースアウトを喫し、早々に赤旗中断となる波乱含みのセッションとなったが、ここでは決勝を想定し周回を重ねた「ADVAN KONDO GT-R」が11番手、「WedsSport ADVAN SC430」が15番手で終了。GT300では「サンダーアジア MT900M」が終了間際にタイムアップし2番手、「R&D SPORT LEGACY B4」が3番手、「SG CHANGI IS350」が4番手に食い込んだ。

しかし、気まぐれな菅生の天候は、最後まで各陣営を翻弄するかのように変化し、午後2時の決勝スタート時の路面コンディションは、ほぼ完全なドライコンディションとなった。前日の予選1回目にドライコンディションでの走行があったとはいえ、ロングランを含め充分な走り込みやセットアップが出来ないまま、まさにぶっつけ本番に近い状況でグリッドにマシンを並べることとなったわけだが、「ADVAN KONDO GT-R」のスタートドライバーを務めるビヨン・ビルドハイム選手は「ドライでのセットアップ時間が充分に無かったのは全車同じ。8分間のウォームアップでのマシンのフィーリングは良かったし、ADVANタイヤはドライでも良い。必ず良いレースが出来ると思う」と自信をうかがわせる。
この言葉通り、レースが始まると「ADVAN KONDO GT-R」は好スタートを決め、2番手の39号車「DENSO SARD SC430」に猛攻を仕掛ける。周回遅れの出現によって一時は3秒近くまでギャップが広がったものの、再び15周あたりからは「DENSO SARD SC430」にコンマ数秒差に肉薄するが、なかなかオーバーテイクには至らない。実はこのとき、「ADVAN KONDO GT-R」はストレートスピードが伸びないという問題を抱えていたのだ。
「スタート時点からストレートは今ひとつだったが、それがだんだん酷くなっていったんだ。そのために39号車にアタック出来なかった」とビルドハイム選手。

このトラブルのため、ビルドハイム選手はスティント終盤に「EPSON HSV-010」の攻勢を受けることとなるが、巧みなドライビングで3番手を死守したまま、30周終了時点でピットイン、ステアリングを安田裕信選手に委ねる。

給油と4輪タイヤ交換を済ませてピットアウトした安田選手は、34周目に目前にピットアウトしてきた「EPSON HSV-010」にオーバーテイクを仕掛けるが、やはりストレートが伸びない症状に苦しめられ、これを攻略することが出来ぬままチェッカー。
「ビヨンから引き継いだときから、ずっと症状はありました。特に最終コーナーの上りがキツかったですね。明らかに前のマシンがミスをしているのに、追いつけなかった。しかし、気温が低かったことが、結果として僕たちとADVANタイヤに関しては良かったと思います。ブリヂストン勢よりも、明らかにマッチングは良かったですから。しかし、タイヤが良かっただけに表彰台に一歩届かなかったことは悔しいというしかありません」と振り返った安田選手は惜しくも表彰台に届かず、「ADVAN KONDO GT-R」は4位となった。

「クルマのバランスは良かったですし、タイヤのグリップレベル、耐久性に関してはまったく問題なく、コンスタントに走れたのですが、ストレートスピードが伸びなかったことでオーバーテイク出来ませんでした。原因究明はこれからですが、そこだけが悔やまれます。連続4位は決して悪い結果ではありませんが、今日は最低でも3位表彰台に立っておきたかった」と悔しさを滲ませたKONDO RACINGの杉崎公俊チーフエンジニアだが、「次の鈴鹿500kmに向けては、先日の鈴鹿テストの天候が悪く、想定されるレースウィークのコンディションとかけ離れていましたが、セパンテストの結果も踏まえて準備すれば、必ず良いポジションを狙えるはずです」と次戦でのさらなる上位進出に意欲を見せた。

同じくGT500では「WedsSport ADVAN SC430」が、14番グリッドから片岡龍也選手のドライブによってスタートを切ったが、オープニングラップにひとつポジションを落としたものの、7周目に13番手、9周目に12番手と着実にポジションをアップしていく。

今大会から供給されたレクサス用スペックのADVANタイヤを得て、上位陣に劣らぬ力強いペースで周回を続けた片岡選手は、16周目にはついにトップ10に進出。「出来れば富士のようなウェットレースの方が良いのでは、と思っていましたが、決勝を走り出してみたら予想以上にタイヤもクルマのバランスも良かった」という片岡選手は、そのまま最終的に2番手にまで躍進し、35周終了時にピットイン。後半スティントを荒聖治選手へと託すことに。

7番手でレースに復帰した「WedsSport ADVAN SC430」は、荒選手の手によって前を行く「ENEOS SUSTINA SC430」を追って周回を重ねていったが、惜しくも黄旗区間での追い越しがあったために60周目にペナルティーストップ10秒を科されてしまう。

61周終了時にペナルティーを消化した「WedsSport ADVAN SC430」は、8番手に後退を余儀なくされたが、ピットインによって背後に迫った「PETRONAS TOM'S SC430」の攻勢を凌いで8位でのフィニッシュ。事実上の開幕戦となった富士以来のポイント獲得を果たした。

GT300の決勝レースは、序盤から激しい攻防が展開された。

予選3番手の「SG CHANGI IS350」の折目選手が好スタートを決めて2番手に浮上。これに「R&D SPORT LEGACY B4」の山野哲也選手も続いて、トップの「ARTA Garaiya」を追いかける展開から戦いの火ぶたが切って落とされたが、2番手につけた「SG CHANGI IS350」の折目選手は、周回を重ねてもトップに後れをとることなく、逆にプレッシャーをかけていく。

7周目の1コーナー、馬の背コーナーでのチャージはかわされてしまったが、翌周の1コーナーではインを刺してついにトップに浮上。続いて8周目には山野選手も2番手に躍り出て、ADVANユーザーが序盤から1−2体制を構築する。

トップに立ってからの折目選手は、そのまま逃げ続けて一時は6秒以上のリードを築き上げたが、山野選手の追い上げも激しく、やがて背後に食らいつくまでに。だが、勝負をかけた23周目、山野選手は4コーナーでコースアウト。その際にフロアとラジエターにダメージを負い、惜しくもピットでリタイアを喫することとなった。

これでまたリードを広げた折目選手ながら、今度は「初音ミク グッドスマイルBMW」の谷口信輝選手、そして「エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電」の加藤選手が後方に。だが、接近までは許さず、32周目にピットイン。約4秒のリードをアレキサンドレ・インペラトーリ選手にプレゼントする。

一方、「SG CHANGI IS350」のピットインの間に首位に立った「エヴァンゲリオンRT 初号機アップル紫電」の加藤選手は、いつものように高橋一穂選手との交代をギリギリまで延ばし、2番手でレースに復帰したものの、高橋選手はホイールナットの弛みが原因で再度のピットインを強いられた上、その作業中にエンジンをかけてしまいペナルティーを受けるなど、またしても上位入賞の夢は断たれてしまう。

代わって2番手に上がってきたのは、「COROLLA Axio apr GT」の国本雄資選手。20周目に早めのドライバー交代を行った新田守男選手からのインフォメーションを生かし、コンスタントに周回を重ねてきたことが功を奏し、見事2位をゲットしてみせた。

コンスタントに周回を重ね、誰にもプレッシャーをかけられることのなかった、「SG CHANGI IS350」のインペラトーリ選手は、そのまま待望のトップチェッカーを受けることに。自身にとってSUPER GT参戦わずか3戦目で初優勝。折目にとっては昨年の第4戦・セパンラウンド以来の勝利となった。

これでGT300ではADVANユーザーが1−2フィニッシュを飾ったほか、4位に都筑晶裕選手と土屋武士選手が走らせる「ZENT Porsche RSR」、6位に「初音ミク グッドスマイルBMW」が入るなど、ADVAN装着車が上位を賑わせることとなった。
 
Driver's Voice
安田裕信 選手
 【今回の成績 : GT500クラス 4位】
マレーシアに続いて、ADVANタイヤ自体は凄く良かったのですが、エンジンなのか何なのか、今の時点ではまだ原因が分かりませんが、ビヨンのスティントの途中からトップスピードが全然伸びなくなって……。僕のスティントでもその症状が同様にあったので、何度か32号車をパスできるチャンスはあったんですが、ストレートスピードに差がある状態ではなかなか前に出るのは難しかったですね。ここはインフィールドで勝負すれば接触してしまうリスクも高いですし、結果的に症状が悪化して終盤には離されてしまいました。残念ですが、4位ということでマレーシアでの良い流れを保てるし今後に向けては良いレースが出来たのではないかと思います。
 
ビヨン・ビルドハイム 選手
 【今回の成績 : GT500クラス 4位】
ADVANタイヤはウェットでもドライでも全く関係なく、本当に良かったですね。僕のスティント序盤は、前のミシュランを履く39号車よりも確実にペースは上回っていました。トラフィックなどの影響でうまくギャップを詰め切れませんでしたが、トップスピードの問題が出なければ、確実にオーバーテイク出来たはずです。スタート直後から、少しストレートが伸びないなと感じていたのですが、それが徐々に悪化していった感じでした。最終コーナーでパーフェクトなラインで進入しているのに、じりじりと引離されてしまうのです。トラブルがなければ2位でフィニッシュ出来る可能性もあっただけに残念ですが、今週末のADVANタイヤのパフォーマンスは素晴らしかったと思います。
  
片岡龍也 選手
 【今回の成績 : GT500クラス 8位】
ドライではもう少し苦戦するかもしれないと思っていたのですが、思いのほか善戦出来ましたね。自分たちとしては、今回用意してもらったスペックを変えたリヤタイヤのフィーリングが良かったことと、想定していなかった低温となったことで、自分たちも決して完璧な状態とは言えない中、周囲が自分たち以上に苦しんでいたことで、結果としてレースペースも良く、狙っていたラップを維持することも出来たので、内容は非常に良い一戦になったと思います。本当なら8位ではなく、もう少し上の順位だともっとうれしかったのですが、また次の鈴鹿に期待したいですね。
 
折目 遼 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
今はうれしいのと、ホッとした気持ちが両方ですね。ここまでの3戦、トラブルがあったり、クラッシュがあったりして、まったく結果が残せなかったので、少しも焦りはなかったと言えば嘘になりますが、くさることなくチームとミーティングを重ねてきた結果、今回は予選から速さを見せられました。チームメイトのアレックス選手もいい走りをして、無事にチェッカーを受けてくれたから、安堵の気持ちもいっぱいです。
 
アレキサンドレ・インペラトーリ 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
今は最高の気分です。シーズンのスタートはあまり良くなかっただけに、やっと優勝できて良かった。SUPER GTに挑むのは今年が初めてなので、慣れるのに時間がかかったけれど、ようやくという感じですね。チームに最高の結果をプレゼントできてうれしいし、また感謝もしています。折目選手にトップで渡してもらったから、すごく落ち着いて走れた。僕も最初のうちはプッシュもしたけれど、ここまで離せれば大丈夫というギャップが築けてからは、キープを心がけました。
 
新田守男 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 2位】
ADVANのタイヤを履いて、ようやく表彰台に立てました。正直言って、このコースに対するデータが少ないんで、僕自身は慎重に走らざるを得なかったんですが、それでもいろんなことが分かったんで、(国本)雄資にそれを伝えて。しっかり守って走り続けてくれました。ホント、頼りになるドライバーですよ。ピット作業がすごく早かったのも良かった。次の鈴鹿は、テストもしているんでデータもあるから、もっといい結果を目指したいですね。
 
Turning Point
【開幕戦以来のポイント獲得を果たした WedsSport ADVAN SC430 片岡龍也が感じた「確かな手応え」】

雨中の決戦となった富士大会では、いきなりの表彰台に立って周囲の度肝を抜いた「WedsSport ADVAN SC430」。しかしその後は開幕前の準備不足も響き、やや苦戦を強いられていたが、この菅生を前に初のテストをこなすことが出来たことに加え、セパンまでのデータを踏まえたレクサス用のADVANタイヤの開発が徐々にスタート。その第一弾となるスペックが投入された今回、チームを引っ張る片岡龍也選手は決勝前にこれまでとは違うフィーリングを得ていたという。
「本当なら、今回は少しこれまでとは違う構造のタイヤを用意していただいたので、そのタイヤでのセットアップなどを進めたかったのですが、雨もようの不安定なコンディションになってしまい、充分に土曜に試すことが出来ませんでした。それがきちんとこなせていない中でドライの決勝に臨むのは少し不安もありますが、手応えとしては今回かなり前向きなものを感じています。今後のレースやテストに向けてのしっかりとした確認が、この決勝で得られると思います」と日曜朝のフリー走行を終えた片岡選手。
「セパンまでの状況を踏まえて作ってもらったタイヤが、鈴鹿のテストではかなり良いフィーリングでした。そのテストでのフィードバックは、時間的に今回の菅生に持ち込んだタイヤには反映出来ていませんが、セッティングさえする時間があれば、きっとドライの決勝を楽しみに感じられたんじゃないかと思います」という片岡選手は、「でも、出来れば実績のあるウェットコンディションの方が……」と、ドライに転じた決勝を前に苦笑いを見せたが、終わってみればライバル勢と互角以上にわたりあっての8位入賞。チームにとって初のドライコンディションでの初ポイント獲得となった。
「結果は8位でしたが、ここまでの流れを考えれば着実に成長しているのが感じられましたし、何より今回はドライコンディションでの初ポイントでしたから、それが何よりうれしいですね」と振り返った片岡選手。
「今日の決勝を終えて、次の鈴鹿ではまたもう一歩確実に成長出来る手応えを感じました。ただ、今回のように周囲のライバル勢が自分たちよりも苦戦しているという状況は考え難いので、ポジション的にはどの位置になるかは読めませんが、ドライでの初レースとなった岡山ラウンドの状況を考えれば、相当パフォーマンスアップすることは間違いないでしょう」と次戦以降のさらなる向上を誓う片岡選手は、次のように付け加えた。
「GT500でタイヤ開発をするというのは、個人的に初の経験で非常に遣り甲斐を感じています。けれど、今以上にやったことが結果に反映され始めたら、きっともっと楽しめるんじゃないかなと。ですから、今はやっと楽しくなれる"兆し"が見えて来たところですね」 まだまだ発展途上の「WedsSport ADVAN SC430」だが、ADVANとのタッグで少しずつ上位陣に食らいつき始めているのは確かだ。
 
【SG CHANGI IS350が、見事な逆転でGT300今季初優勝 この1勝をさらなる躍進の布石に!】

GT300で優勝を飾った「SG CHANGI IS350」。このクルマをメンテナンスするのは、RSファイン。昨年まで「M7 MUTIARA MOTORS 雨宮SGC7」を走らせていた強豪メンテナンスガレージであり、またエンジニアも兼ねる河野高男氏は、ご存知のとおり折目遼選手が最も信頼を寄せる存在でもある。
一昨年までチームタケウチが走らせていたマシンを受け継ぎ、徹底的にリファイン。折目とともにシートを託したのは、今年がSUPER GTデビューとなるアレキサンドレ・インペラトーリ選手だった。しかし、ここまでの3戦はトラブルが相次ぎ、結果を残すことはできなかった。
前回に引き続き、JAF GT車両には性能調整が許され、車高の引き下げやリストリクター径の拡大が許されることになり、FIA GT車両との性能格差が埋められたこともあったが、今回は予選から好調。ドライコンディションの1回目は2番手につけ、スーパーラップでこそ天候に翻弄されて3番手に甘んじたものの、決勝では早い仕掛けによってトップに浮上し、そのままの順位でチェッカーを受けることに成功する。

河野氏は今回のレースを、こう振り返った。
「予選もドライならポールポジションも獲れたと思うんですよ。今回はけっこう自信もあったんです。まぁ、スーパーラップの天気は仕方がない。それでも、決勝で11番(フェラーリ458)の前に出られれば、チャンスがあると思っていました。あのクルマに蓋をされたら、43番(ガライヤ)に逃げられちゃいますからね。実際にスタートで前に出てくれて、その後も43番とのバトルは安心して見ていられました。いいバトルでしたよね! あれで、折目もすごく自信つけたと思いますし、アレックスもミスなく走ってくれました。今まではGT300のことを分かっていなかったんですよ、アレックスは。でも、今までミスしたことが結果的には良かったんです。学習して今回につなげてくれたんで。ふたりともすごい成長を遂げてくれたと思います」

若いドライバーの組み合わせは、切磋琢磨し合いながら、強烈な爆発力を持つことが多い。それが今、果たされた格好だ。今後どこまで高めていくのか、大いに気になるところである。
 
Engineer's Voice
荒川 淳
「菅生に向けては、そのコースの特性や比較的高温の7月開催ということを踏まえて、耐久性とグリップ性能、トラクション性能を重視したタイヤを持ち込んだのですが、天候の影響もあり、土日2日間を通じて想定していたものよりもかなり低い温度レンジでの戦いになりました。その点で、土曜の予選ではちょっと厳しいかな、と思われる状況もありましたが、「ADVAN KONDO GT-R」の安田裕信選手が良く頑張ってくれて、セカンドロウを獲得してくれました。

日曜の決勝に関しても、想定した温度レンジからは外れてはいたのですが、他のタイヤメーカーさんも同様の状況でしたので、少なくともフロントロウの2台に次ぐ位置には行けるのではないかと考えていました。

週末を通じてあまりドライでの走行機会が無かった中で、ドライでの決勝となったわけですが、ドライタイヤのコンパウンドとして持ち込んでいた2種類、ミィディアムハードとミディアムの中から、低い気温、路面温度を考慮してミディアムをチームに推奨しました。過去のデータから、柔らかい方のミディアムであっても、スティントを引っ張る状況となっても充分に対応出来る耐久性があると判断してのものでしたが、「ADVAN KONDO GT-R」のふたりのドライバーは結局同じミディアムで走り、想定通りのパフォーマンスを発揮してくれたと思います。

ただ、ストレートスピードが伸びなくなるというトラブルが起きてしまったことは残念でした。今日の決勝では波乱が起きるのではないかと読んでいましたが、まさかそれが24号車に起きるとは……。

「WedsSport ADVAN SC430」に関しては、今まで実戦だけで充分な走り込みをするチャンスがなかったのでチームとしても苦しい部分があったわけですが、この菅生の前に鈴鹿でテストを行うことができましたし、クルマのほうもかなり方向性が掴めて、ウチのタイヤとしての課題も見えて来たということで、鈴鹿のタイヤテストに投入してフィーリングの良かった新しいものを用意してきました。その点で、かなりレクサス用ADVANタイヤとしてもポテンシャルを上げてくることが出来たと思います。

予選ポジションが今ひとつだったことが決勝にも影響したように思いますが、レースペースも非常に良く、決勝中にかなり追い上げてくるレースを見せてくれましたし、タイヤの方向性が見えて来て、クルマとしてまとまってきていると感じました。次戦の鈴鹿に関しては、テストで得られたデータを踏まえたスペックのタイヤが用意出来ますので、「WedsSport ADVAN SC430」に関してもさらなるパフォーマンスの向上が期待出来るはずです。

GT500に関しては、我々としても想定外の低い温度レンジでの戦いとなったのですが、比較的我々ADVANタイヤのほうが、他社より守備範囲が広かったという印象でしたね。

GT300については、「SG CHANGI IS350」が頑張ってくれて優勝、そして「COROLLA Axio apr GT」が2位ということで、うまく1−2を獲得することが出来ました。タイヤとしても充分コンディションに対応出来ていたと思います。

次戦は長丁場の鈴鹿500kmになりますが、鈴鹿ではしっかりテストが出来ていますし、これまでのデータも充分にありますが、従来よりも短い500kmになったということで、これまでよりもレースの組み立てが変わってくるかもしれないですが、たとえそういう状況となっても充分勝機はあると考えています」
ひとつ前にもどる