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SUPER GT Round 3
開催日
2011年6月19日(日)
開催場所
セパン・サーキット
(マレーシア)
天 候
晴れ
路 面
ドライ
決勝周回数
46周 (1周 = 5.543km)
参加台数
34台
(ADVAN装着車 18台)
>> Report (レポート)  >> Result (競技結果)  >> Detail (カテゴリー紹介)
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シリーズ唯一の海外戦として、すっかり定着した感のあるマレーシアラウンド。今季第3戦となる「SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA」は、6月18日〜19日にセパン・サーキットを舞台に開催された。
南国特有の突き刺すような強い日差しの中、ドライバー、マシン、そしてタイヤにとって例年厳しい戦いとなる今大会だが、今年はやや曇りがちの天候もあって暑さはそれほど厳しくない週末となったが、GT500では「ADVAN KONDO GT-R」が表彰台目前の4位と大健闘。GT300では「初音ミク グッドスマイル BMW」がポール・トゥ・ウインを飾るなど、ADVANユーザーが高いパフォーマンスを発揮した。

過去2戦とは異なり、通常通りの2デイ開催となった今回、走行開始となった土曜は路面温度が40度に届かない予想より涼しいコンディションに。GT500では「ADVAN KONDO GT-R」が公式練習を8番手、「WedsSport ADVAN SC430」が15番手で終える。
今大会はスーパーラップを採用しているため、まずは午後の予選1回目でトップ10に残ることが最初のハードルとなるが、1月に行ったセパンでのタイヤテストよりも大きく異なるコンディションとなったことで、思いのほか楽観視出来ない状況が浮かび上がった。

迎えた公式予選1回目、気温は34度、路面温度44度とやや上昇する中、「ADVAN KONDO GT-R」は序盤の混走時間帯に1分59秒273をマークし7番手。同じく「WedsSport ADVAN SC430」は13番手という状況に、両チームともにスーパーラップ進出を狙うべく、ソフト系のタイヤでラスト10分間の占有時間帯に挑むことに。

ここで「ADVAN KONDO GT-R」の安田裕信選手は、温まりの良いADVANタイヤの優位性を活かし、アタック1周目にして1分57秒598という好タイムをたたき出すことに成功、見事3番手でスーパーラップ進出権を確保する。
一方、片岡龍也選手がアタックした「WedsSport ADVAN SC430」は、「岡山よりも他車とのタイム差も少なくなって来ているが、まだまだようやく課題が見えて来たところ。アタック中に僅かなミスもあったし、このポジションも現状では仕方が無い」(片岡選手)と1分58秒954の15番手に留まり、スーパーラップ進出はならなかった。


午後5時12分と遅い時間から始まったGT500のスーパーラップでは、8番目に「ADVAN KONDO GT-R」が登場。しかし、当初の予定通り決勝を見据えたハード寄りのタイヤを選んでいたこともあり、安田選手のアタックは1分57秒749とその時点での6番手タイムに留まる。
「セパンテスト時にかなり手応えがあっただけに悔しいが、コンディションが異なる中では少しでも上位のグリッドを得るために、こういった戦略を採るのも選択肢のひとつ」と安田選手はアタックを振り返ったが、ビヨン・ビルドハイム選手も「ユーズドタイヤでのラップタイムは今日の段階でも非常に良かったので、決勝では必ず挽回できるはず」とコメントするなど、最終的に8番手からのスタートとなった「ADVAN KONDO GT-R」だが、充分な手応えを得て初日を終える。

GT300では、公式練習から「初音ミク グッドスマイル BMW」が絶好調。谷口信輝選手がいきなり昨年の予選タイムを破り、予選1回目も混走のセッションで出したタイムで充分スーパーラップ進出は可能と、単独のセッションを走らぬ余裕まで見せることに。そのため、「#88 JLOC ランボルギーニ RG-3」にトップを明け渡すが、続くスーパーラップでは谷口選手がひとり2分8秒499と9秒台を切り、「初音ミク グッドスマイル BMW」が初めてのポールポジションを獲得することに。

予選3番手も「PACIFIC NAC イカ娘 フェラーリ」が獲得し、前回のウィナー「triple a Vantage GT2」も40kgのウエイトハンデをものともせず7番手につけるなど、またもADVANユーザーが上位を独占する一方で、セパンを得意とする「EVANGELION RT TEST-01 IM・JIHAN Shiden」がパワーステアリングのトラブルで予選を1周も走れず、最後尾スタートを強いられる不運もあった。


明けて日曜の決勝は、前日よりもやや気温が上昇。やや曇りがちながらも、午後2時の決勝スタートの段階で気温34度、路面温度43度となった。
「ADVAN KONDO GT-R」のスタートを担当したビルドハイム選手は、スタート直後の1コーナーで発生したアクシデントをうまくかいくぐり、さらに1台をパス。ポジションを一気に5番手に上げてホームストレートに戻ってくる。
ビルドハイム選手は、序盤4位争いを展開も、徐々にペースが上がらなくなってくる。しかし、朝のフリー走行の状況から、これは既にチームも想定済みであり、チームはビルドハイム選手を予定どおりショートスティントとし、ミニマムラップでのピットインを準備。ビルドハイム選手は、背後から厳しい攻勢を受けながらも、巧みなライン取りとドライビングで5番手のポジションを死守したまま、16周終了時にピットイン。
チームはタイヤ4本を交換し、迅速な作業で安田裕信選手を送り出すことに成功。ビルドハイム選手の踏ん張りも奏功し、全車がピットインを終えた時点で安田選手は4位という好位置につけることに。
結局「ADVAN KONDO GT-R」は、そのままのポジションを守ることに成功し、表彰台にこそ届かなかったものの、4位という好リザルトを得ることとなった。

同じく片岡選手がスタートを担当した「WedsSport ADVAN SC430」は、スタート直後こそ15番手を走行も、スピンやアクシデントで遅れるライバル勢を尻目に着実なレースを展開。周囲のマシンと遜色のないペースで力強い周回を重ねると、20周終了時点でピットイン。
後半を託された荒聖治選手は、終盤41周目に「MOTUL AUTECH GT-R」をかわしポイント圏内の10番手にまで躍進を果たすも、翌周には「D'STATION KeePer SC430」にかわされ11位でフィニッシュ。惜しくも初戦富士に続く2度目のポイント獲得はならなかった。

一方GT300では、「初音ミク グッドスマイル BMW」を駆るポールシッターの谷口選手が、自慢のストレートパフォーマンスを活かしてスタートから後続を引き離す展開から、決勝レースがスタート。1コーナー先では後続車両に軽い接触もあって、より差を広げることともなり、1周して戻ってくると、実に3秒半ものリードを谷口選手は築いていた。
また、その間にひとつポジションを上げていたのは、「PACIFIC NACイカ娘フェラーリ」の山内英輝選手。逆に「#88 JLOC ランボルギーニ RG-3」の関口雄飛選手はひとつポジションを落とす。それでも、間にフェラーリ458を挟んだ3台は等間隔で続いて、激しいバトルを繰り広げていた。

しかし、驚くべきは10周目、その攻防の後ろに「EVANGELION RT TEST-01 IM・JIHAN Shiden」の加藤寛規選手が続いていたこと。トラブルの修復なって、朝のフリー走行でトップタイムを記録した勢いで、早くもここまで追い上げてきていたのだ。
14周目、3番手のフェラーリ458が早々とピットに入ったこともあり、関口選手は3番手に浮上。その1周後、関口選手は3コーナーで姿勢を乱した山内選手もとらえ、2番手に浮上する。そして、21周目に山内選手が、22周目に関口選手が相次いでピットに入ったことにより、加藤選手は2番手にまでポジションを上げることになった。

しかし、その間にも谷口選手は周を重ねるごと差を広げ、しっかりタイヤをコントロールしつつ15秒以上のリードを獲得。25周目には予定どおりピットにも戻って番場琢選手に代わり、4本のタイヤ交換をピットクルーも素早く済ませて、「初音ミク グッドスマイル BMW」をコースへと送り返した。
一方、暫定トップの「EVANGELION RT TEST-01 IM・JIHAN Shiden」は29周目、高橋一穂選手にバトンタッチ。タイヤ無交換でレースを3番手で折り返すが、ここで代わってトップに立ったのは「初音ミク グッドスマイル BMW」の番場選手。やや詰まったとはいえ、その段階でリードは10秒ほどあった。

ところが、ラスト6周でそのリードが一気に2秒を切る! 背後から迫ってきたGT500の処理に手間取り、貯金を吐き出してしまったのだ。追ってきたのは序盤も2番手争いを繰り広げていたフェラーリ458。にわかに「初音ミク グッドスマイル BMW」のピット内は緊張感に包まれることに。
背後にまで迫られ、何度も繰り返されるチャージをそのつど抑え続けた番場選手は、コンマ8秒という超僅差ではあったが、辛くも逃げ切りに成功。チームは結成4年目の初優勝を飾ることとなった。

また、その激しいトップ争いの陰に隠れはしたが、その後方での3番手争いを制したのは「PACIFIC NACイカ娘フェラーリ」。88号車・「JLOCランボルギーニRG-3」の猛追を受けるも、最後は88号車・「JLOC ランボルギーニ RG-3」がギアボックストラブルに見舞われ、「PACIFIC NACイカ娘フェラーリ」が3位表彰台を勝ち獲った。
なお、一時はトップも走った「EVANGELION RT TEST-01 IM・JIHAN Shiden」は、3番手走行中にまたしても右のガルウィングが浮いてしまう不運に見舞われ、ピットでの修復を余儀なくされたため、無念の10位に留まった。連勝も視野に入れていた「triple a Vantage GT2」は序盤早々にエンジントラブルを抱え、何度もピットでの修復を試みたものの、惜しくもリタイアを強いられることとなった。
 
Driver's Voice
安田裕信 選手
 【今回の成績 : GT500クラス 4位】
終盤は背後で2台のレクサス勢が競り合いながら、すごい速いペースで追い上げて来ていたのですが、向こうはGT300の処理でロスをしていることが多く、逆に僕は周回遅れをうまく処理出来ていたお陰で、なんとか4位というポジションを守ることが出来ました。ビヨンから引き継いで、最初の10ラップほどは少しペースをセーブしていたのですが、最後は背後のペースが速かったこともあり、もうフルプッシュでした(笑)。
僕はビヨンとは少し温度レンジの異なるタイヤを履いたのですが、終盤にはリヤタイヤが厳しい状況にもなりましたが、最後までうまく持ってくれました。
とにかく序盤ビヨンがポジションを守ってくれたことが大きかったと思います。彼が順位を落としていたら、僕がピットアウトしたときに、前にもっとマシンがいたと思いますから。上位3台は非常に速かったので、4位はベストリザルトだったと言えるでしょうね。
 
ビヨン・ビルドハイム 選手
 【今回の成績 : GT500クラス 4位】
スタートはかなり良かった。1コーナーで前の2台が接触しコースオフしたこともあったけれど、ふたつ目のコーナーでRAYBRIG HSV-010に並びかけ、彼を4コーナーでパス出来たんだ。
それでオープニングラップには5番手に浮上することが出来、最初は前に仕掛けることも出来る状況だったが、タイヤの温存を考え落ち着いて早めのピットインを行うまで、ポジションを守ることに切り替えたんだ。その結果、後続を抑える形になり、コツコツとリヤをプッシュされるなど、かなりタフな状況もあったけれど、なんとか予定通りの周回までポジションを保つことが出来て良かったし、チームも良い作業でヒロ(安田裕信選手)を送り出してくれたお陰で、4位を得ることが出来た。
望み得る最高の結果だったと思うよ。
  
近藤真彦 監督
 【今回の成績 : GT500クラス 4位】
朝のフリー走行の段階で、スタートで使うタイヤの距離が見えたので、その段階でエンジニアと話をして、多少タイヤに負担をかけてもスタートからビヨンにプッシュしてもらって、GT300の周回遅れが2巡目を迎える直前のミニマムラップでピットに入れようと決めていました。
序盤の苦しい状況でビヨンが頑張ってくれたのが大きいですよね。ピットの作業も速かったし、後半の安田も良く踏ん張ってくれました。ですから、チームにとっては勝ちに等しい4位だったんじゃないかと思います。自分で言うのもなんですが、チーム力自体も上がって来たのかなと。
タイヤに関しては、今後さらに協力し合って他のタイヤメーカーに対してアドバンテージが得られるようなタイヤを開発して行きたいと思います。ヨコハマタイヤとも、互いに頑張って行きたいと思います。
 
片岡龍也 選手
 【今回の成績 : GT500クラス 11位】
今回に関してはまだ他車との差が少しあるということで、普通に戦っていても先のものが見えないだろうということで、軽めの燃料でスタートしました。その分ピットでの給油時間が長く、ポジションを落としてしまったんです。とはいえ、岡山を終えてからチームがやって来たことは、確実に手応えとして感じることが出来たと思います。
課題として絶対的なスピード不足はまだありますが、岡山ではその課題よりもさらに低いところにあったものが、セパンでは僕らのレベルではずっと一定のペースで周回することが出来た。そのペースが、終盤タイヤが厳しくなって来たときなどは他のマシンよりも上回っていた部分もありましたしね。
今回でかなり現状のADVANタイヤへのクルマの合わせ込みは進んだので、ようやくレクサスとして「こういうタイヤが欲しい」というリクエストの方向性が見えて来ました。まだ厳しい戦いは続きますが、一歩前進と捉えています。
 
荒 聖治 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 11位】
周りにくらべると、まだスピードが足りないので、厳しい状況は変わりませんが、その中で岡山よりはかなり良くなったというか、本来のレクサスというマシンとADVANタイヤが持っているパフォーマンスに近づいて来ているのかな、という感じですね。
終盤ポイント圏内の10位を走行しましたが、自分たちが今持っているものの中ではうまくコントロール出来たレースだったとは思いますが、35号車に抜かれたときに速度差やペースの違いを感じました。そういう意味ではまだまだ課題は残っていると言えますね。引き続き頑張って、少しでも前に行けるように努力を続けます。
 
谷口信輝 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
セパンをこのクルマで走るのは初めてだったんで、ちょっとタイヤには厳しいかな・・・、と思っていたんですが、しっかりタイヤマネージメントをして、自分のスティントをきっちり使い切ることが出来ました。
みんなが調子出ないうちにスタートダッシュで逃げようと思っていたんですが、後ろでごちゃごちゃやってくれていたし、最初にGT500が集団で、ちょうどストレート区間で後ろから来たから、ペースを落とさず抜いてもらえて、貯金も一気に増やせたんです。それで15秒ぐらい貯金はあったはず。なのに、最後これっぽっちになっていた(笑)。
残り8周の時はまだあったんですけど、残り6周で2秒ぐらいになっちゃって。『何しとんねん、番場!』って。僕ら、本当に終わった今は心から喜んでいるんですけど、喜びの先に怒りが少し来ているんですよ(笑)。
ただ、マレーシアで勝てるなんて、本当に計算外だったんで、本当にうれしいですね。

番場 琢 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
別にタイヤが厳しくなったということではなく、僕のGT500の抜かせ方が悪かったんです。タイミングも悪かったんですが、今まではGT500の処理がうまいつもりだったので、今後に課題を残してしまいました。うちのチームのみんなも、応援してくれている皆さん、みんながドキドキしていたと思うんですが、僕がいちばんドキドキしていて・・・。
でも、ここを抑えれば、というポイントはその何周か前に見ていたんで、しっかり抑えることができました。素直に喜べない・・・、いやうれしいですね、やっぱり。
初音ミクチームが始まって苦節4年、今まで予選2番手はあったけれど、表彰台はなかったし、今年になって最高位4位。ドキドキしましたけど、ホッとしました。

山内英輝 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 3位】
やっとGTでも表彰台に乗れました!
1周目から関口雄飛選手を抜いて、まず2番手に上がり、赤いフェラーリに詰められこそしましたが、なんとか抑えきれたんで、それは良かったかな、と。ただ、そのクルマが先にピットに入った後、雄飛(関口雄飛選手)がまたやってきて、何周か抑えたんですけれど、1コーナーで軽く当たって自分が姿勢を乱しちゃった時に、す〜っと入ってこられて抜かれちゃいました。
だけど、離されることなく続いていって、そのうち詰まってしまったんでペースが上げられなくなり、このままだと良くないと思ったから、予定より10周ぐらい早く入ることにしたんです。後半の山岸さんが安定して走ってくれたんで、すごく救われた気分です。ちょっと代わる判断が早すぎたかな、と思っていたので。最後の5周ぐらいは後ろをまた引き離してくれましたからね!
この結果にはホッとしていますし、チームの方々、みんな喜んでくれました。
 
Turning Point
元F1ドライバーで、現在はモータースポーツに限らず、さまざまな分野でチャレンジを重ねる片山右京氏。
その新たな取り組みがGT300に挑む、グッドスマイルレーシングとのジョイントだ。そのチーム名より、痛車の「初音ミク」号を走らせる、と言った方が通りはいいはず。今年はFIA GT3仕様のBMW Z4を谷口信輝選手と番場琢選手に託し、今まで以上に注目されているチームのスポーティングディレクターに就任したのである。

FIA GT3といえば、レギュレーションによって直線は速いが、コーナーが厳しいという傾向があり、その意味では今回Z4も苦戦を強いられるものと予想された。ところが、そのビッグトルクは2本の長いストレートだけでなく、コーナーとコーナーをつなぐ短いストレートにこそ威力を発揮。予選1回目こそトップを明け渡したものの、練習走行、スーパーラップと圧倒的なスピード差をライバルに見せつける。

その原動力のひとつは、今回ドイツから谷口選手がスーパー耐久をともに戦うエンジニアを招き寄せたこと。ベストなセッティングが迅速に施されたことで、自慢とするエンジンがより唸りを上げるようになったのだ。

「ここまでの2戦、いいレースはしてくれたんだけれど、細かいトラブルなんかもあったから、チームのみんなと『それ、だめだよ』って部分をつぶしていこうということになってね。お金の問題だってあるけれど、ドイツからエンジニアを呼ぶことにしたんだ。
その効果が得られて何より。強く言った手前、結果が出なかったら、まずかったからね」と片山ディレクター。

これまでピットで指揮を執るという経験はなかっただけに、アタックを見守る最中は、「見ていてドキドキしたよ!」と、現役時代に強心臓で知られた片山ディレクターも、立場が異なれば同じ心境とはいかないようだ。
当然、最前列から決勝レースに挑む、自ら携わるマシンを見守るのも今年が初めてのこと。

「ピットのタイミングとか、タイヤ交換とか、そういうのをきっちりやって、ドライバーを楽にさせないとね」と語っていたとおり、作戦面は大成功。また、谷口選手がしっかりリードも築き上げていた。
唯一の誤算は後半を託された番場選手がGT500の処理を失敗し、リードを吐き出してしまったことだが、僅差ながらも抑え切ってくれたことでホッと胸を撫で下ろす。

「所詮、僕のやっていることなんて小さなこと。でも、一緒にいてドライバーの気持ちだとか、監督の指示とか、作戦面のものとか間に入って、ちょこちょこリスクマネージメントをしているだけだから。でも、そうやってチームが強くなっていけば。番場君が最後に楽しませてくれたけど、自分が運転している以外で優勝したのは初めてなんで、やっぱり嬉しい。僕自身も勉強をさせてもらっているので、すごくためになっているし、楽しいですね」と片山ディレクター。
ポディウムの最も近くでドライバーふたりを誰より祝福していたあたりに、心からの喜びも感じられた。
 
Engineer's Voice
荒川 淳
今週末は、テストのときに比べて気温、路面温度ともに低くなるなど、特に土曜の予選日などで予想していたコンディションとはズレがあったために、我々が想定していたパフォーマンスが惜しくも発揮出来なかったように思います。
その中で、「ADVAN KONDO GT-R」に関しては、うまくスーパーラップに進出してくれました。柔らかめのタイヤで予選1回目をクリアし、スーパーラップでは決勝を見据えたタイヤを履くという作戦でしたが、我々が持っている状況の中では、我々タイヤメーカーとチーム双方の考えが一致した作戦で、結果としてうまく機能したと思います。

「ADVAN KONDO GT-R」の決勝に関しては、最初のスティントで若干タイヤが厳しくなる可能性は想定していました。結果的に最少周回数でのピットインとなりましたが、これも我々の戦略の範囲内でした。しかし、前とは離されてしまいましたが、序盤やや路面温度が高めに推移する中、ビルドハイム選手が頑張ってポジションを守ってくれたことが大きかったと思います。
後半の安田選手の方は、残りの周回をこなせるものをということで、ビルドハイム選手のものよりもワンランク硬めのタイヤを選びました。4位という結果は、今週末の状況の中で我々とチームが考えた戦略をベストに遂行した結果で、チームにもドライバーにも感謝したいです。

「WedsSport ADVAN SC430」に関しては、今回他車とのタイム差も少なくなって来ましたし、現状我々が持っているタイヤにクルマを合わせて頂くという状況が続いていますが、徐々にレクサスというクルマに合わせたタイヤ開発に向けた方向性がはっきりして来たと認識しています。まだまだ3戦目で、タイヤテストも行えていない状況で圧倒的に走行距離が少ない中、チームは頑張って頂いていますし、まもなく初めてのタイヤテストを行う予定になっていますから、そこでさらに方向性が見えてくると期待しています。

GT300に関しては「初音ミク グッドスマイル BMW」が、見事ポール・トゥ・ウインを達成してくれました。終盤、GT500との位置関係もあり、他車に追い上げられましたが、タイヤとしてはまったく問題ありませんでしたし、基本的にはしっかりタイヤメーカーとして勝利を下支え出来るものが供給出来たと考えています。

次のSUGOに関しては、鈴鹿でのタイヤテストでしっかり確認をしながらステップを踏んで、また一歩進化したレベルの高いタイヤで戦いたいと思います。
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