1980年、フォーミュラ・レースのボトムレンジを担うカテゴリーとして産声を上げたのがFJ1600。ドライバー育成をメインテーマとして掲げ、エンジン、トランスミッション、タイヤをワンメイク化して性能均衡を図り、全国のサーキットでアマチュアレーサーたちが切磋琢磨を重ねてきた。
しかし長年親しまれてきたエンジンの生産が終了するなど、このジュニア・フォーミュラにも四半世紀を超える時代の変化に伴う対応が求められるようになる。
そこで新たに2007年、Super-FJが発足。
エンジンはそれまでの富士重工製・水平対向4気筒・1,600ccから、最新のホンダ製・直列4気筒・1,500ccへと変更された。このエンジンには戸田レーシング製の5速Hパターンドグミッションが組み合わされるが、これらはもちろんワンメイク指定されたものである。
車体は安全性の向上が図られ、鋼管スペースフレームを基本に側面強度を高めるなどの工夫が凝らされている。さらにコクピットスペースの拡大によってクラッシュ時のマージンを確保しつつ、ヘッドプロテクターの装備によってドライバーの頭部損傷を防ぐ策も講じられた。
そして何より外観上でもっとも大きなFJ1600との相違点は、前後に装着されたエアロパーツの存在である。
比較的小さめのウィングが取り付けられているが、これは決して絶対的な速さを求めて装着されている訳ではない。高速走行中の車両リフト防止は安全性向上を最優先としたものであり、こうした点からもSuper-FJというカテゴリーが目指している世界を垣間見ることが出来る。
このようにSuper-FJは、それまでのFJ1600に対して大幅な進化を遂げるに至ったが、基本理念は1980年のFJ1600発足時と何ら変わっていないと言えるだろう。
つまり、ジュニア・フォーミュラとしてドライバーの育成を目指し、安価に安全な本格的なレースシリーズを実現しようというものである。
このSuper-FJはJAF地方選手権シリーズとして、国内8会場で7つのシリーズを展開。各シリーズの最終戦終了後には、各地の猛者たちが集って日本一決定戦も開催される。
【ADVAN TIRE INFORMATION】
2010年からSuper-FJとFJ1600のコントロールタイヤにADVANレーシングタイヤが指定された。
横浜ゴムではこれまでにも"F3世界一決定戦"の異名を持つマカオグランプリをはじめとして、多くのカテゴリーでワンメイクタイヤを供給してきたが、その経験や実績を活かしてSuper-FJ/F1600用タイヤの開発に着手。
ひとつ上のミドル・フォーミュラに位置するF4(フォーミュラ4)でも参加者から厚い信頼を得ているADVANレーシングタイヤであるが、Super-FJ/FJ1600でもテストを繰り返して生み出したタイヤは高い評価を得ている。
サイズはSuper-FJ/FJ1600で共通となる。
摩耗の良さとタイムの安定性が主要な開発テーマとして据えられたが、結果的にテストしたドライバーからはこれらの大幅な性能向上に加えて、横方向の高い剛性が好評を得ている。
これにより接地性能が上がったことから、グリップ感も大幅に向上。その上で摩耗性能に優れることから安定したラップを刻める上、ドライバーにとってのコントロール性も高まり、"タイヤの使い方"を学ぶにも最適な仕様が実現した。