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JRC 2010
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News Index
JRC Round 3
開催日程
2010年5月21日(金)
〜23日(日)
開催場所
北海道・帯広市 近郊
天候/路面
DAY1 : 晴 時々 雨
/ドライ(一部ウェット)
DAY2 : 曇り/ドライ
※グラベル(未舗装路)
SS総距離
220.97km (18SS)
総走行距離
928.30km
参加台数
全日本選手権 32台
(ADVAN装着 : 7台)
>> Report (レポート)
>> Result (競技結果)
>> Detail (カテゴリー紹介)
第2戦から2週間のインターバルで開催された第3戦は、FIAアジア・パシフィックラリー選手権と併催となる「Rally Hokkaido」だ。
3日間に渡って戦われるこのラリーは、トータルの走行距離が928.30km、SS(スペシャルステージ)の総距離が220.97kmという長丁場のラリー。しかも、平均速度が100km/hを超えるSSが次々と続くという、国内屈指のハイスピード・グラベルラリーだ。
今季から路面やSS総距離に応じて採用されたポイント係数は2.5倍。
この大会の連覇とともにシリーズ連覇を狙う奴田原文雄選手にとっては、現在シリーズトップの勝田範彦選手とのポイント差を大きく縮めるチャンスでもある。
ラリーは、21日(金)のセレモニアルスタート後に行われるSS1・オビヒロ1からスタート。帯広市郊外の北愛国サービスパークに隣接して設置された特設コースで行われるこのギャラリーステージは、この日だけ無料開放ということもあって多くのラリーファンが観戦に訪れていた。
そのラリーファンの声援の中、奴田原選手は2番手の岩下英一選手に1.20kmという距離が短いステージながら1.6秒の大差をつけるベストタイムをマークし、幸先の良いスタートを切った。
翌22日(土)からは、ラリーが本格的にスタート。陸別オフロードサーキット内にリモートサービスが設けられ、25.12kmのシピリカキム・リバース、25.25kmのクンネイワ・リバース、2.73kmのリクベツの3つのSSを、サービスを挟み3周ループし、帯広に戻り特設コースのオビヒロ1.20kmを2回走るという設定だ。
リクベツとオビヒロ以外のステージは、全て昨年のリバース(逆走)となる。
今年の北海道は、5月に入っても山間部では積雪があり、レッキの時点では一部の区間のコースサイドには残雪が残っているコンディションだった。
DAY1-Bの土曜日には午前中からグングンと気温が上がたため残雪の心配はなくなったものの、ステージの中にはぬかるみもあり、ひとつのステージの中で何度も路面状況が変わるという難しいコンディションとなった。
また、開催日が例年の7月から5月に早まったことと、雪解けが遅かった影響でコースサイドの草が少なく、奴田原選手は「コースがはっきりと見えるので、いつもよりスピードが上がってしまう」と判断するが、いざ走るとそのコンディションにしっかりと対応。
同じステージを3回使うことから路面状態の良い1走目でマージンを稼ぐという青写真を描いていた奴田原選手は群を抜く速さでベストタイムをマーク。2番手には大嶋治夫選手が続いてADVAN勢がライバルを圧倒した。
その勢いは、SS3クンネイワ・リバース1でも止まらず、2番時計の石田正史選手に25.7秒差のベストタイムをマーク。SS3リクベツ1でもベストタイムをマーク。
一方でこの1ループ目ではSS2で2位に上がった大嶋選手が、続くSS3ではコースアウトしてしまい残念ながら戦線離脱。しかし代わって2位には岩下英一選手が浮上して、やはりADVAN勢が速さを見せ続ける。
2ループ目に入っても、奴田原選手の速さは止まらない。
SS7リクベツ2を終え、この日2回目のサービスに戻ってきた時点では、そのマージンは2分4秒8にまで広がっていた。
3ループ目に入ると、突然の豪雨がステージに降り始めた。だが、奴田原選手は「危ないのでかなり抑えた」というSS8シピリカキム・リバース3でも、SS1から8連続ベストタイムをマーク。既に路面は大きく掘れ、しかもウェットというタイヤには厳しいコンディションとなったがノートラブルで走りきって、もはや誰も手が届かない独走態勢を築き上げ、DAY1を終了した。
DAY2は、あとはしっかりとゴールまでマシンを導くだけ。
無理のないペースでSSを次々と走る奴田原選手は、それでも合計18本のSS中12本のSSでベストタイムをマークするという強さで、待望の今季1勝目を飾った。
これで、シリーズトップの勝田選手とのポイント差は一気に14ポイント差に短縮。シリーズチャンピオン連取に向け、大きな1勝を勝ち取った。
一方、熾烈な争いをみせた2位争いは、岩下選手がSS4で2位に浮上するが、続くSS5で駆動系トラブルが出てしまいペースダウン。
DAY1終了後のサービスでしっかりと修復し、DAY2で再逆転を狙うがすでにタイム差が大きく、惜しくもメダルまであと一歩の4位でフィニッシュという結果になった。
JN3クラスは、SS3で「道が荒れていたので、ペースを下げた」というADVANを装着する田中伸幸選手が、SS5とSS6でアタックをかけ再逆転に成功。
その後はマシンを労りながらも2位以降とのタイム差を広げ、さらにはトップ争いを展開していた香川秀樹選手や鎌田恭輔選手が次々とマシントラブルを起こしリタイアしたこともあり、最後は危なげない安定した走りで、第2戦リタイアの雪辱を果たした。
【今回の成績 : 全日本選手権・総合優勝 (JN4クラス 優勝)】
DAY1の1ループ目でタイムを稼ごうと思っていたので、SS3の前にフロントタイヤをスペアに積んでいた新品に交換しました。特に今回のラリーの路面コンディションや気温がADVAN A035のMコンパウンドにマッチしていたので、タイヤの良いところがいっぱい出たラリーだったと思います。
ラリー中は大勢のファンの方から声援をいただき、ゴールまで楽しく走ることができました。ポイントも勝田選手に近づくことができたので、次のターマックラリー(第4戦・久万高原ラリー)でも優勝目指して頑張ります。
シリーズはまだ第3戦を終えたばかり。まだまだ先が長いので、1戦1戦しっかりと戦って行きます。
【今回の成績 : 全日本選手権・総合11位 (JN3クラス 優勝)】
1周目を抑えすぎてしまい、思わぬタイム差がついてしまったので、2周目と3周目のクンネイワは頑張りました。ただ、クルマを壊してしまっては元も子もないので、道が荒れていたシピリカキムは、あまり無理をせずそれなりです(笑)。
今回のような長丁場のラリーは、ライバルとのタイム差というよりも、まずは自分のクルマを最後までもたせようと、そういう意識の方が強かったですね。だから、実はライバルとのタイム差もそれほど気にはならなかった。トップに立ってからも、最後までプッシュはしませんでした。それが、結果に繋がったんだと思います。
タイヤは185/65R15サイズのADVAN A035のMコンパウンドを装着しました。DAY1は1セットで走りきり、DAY2はフロントタイヤを新品に交換しただけなので、実は6本しか使ってません。長い距離なのに、大変経済的でした(笑)。
このタイヤは、今年初めて履くんですけれど、クセがないというか違和感なく乗れましたね。前に引っ張ってくれ、路面に引っ付くような感じが良かったです。乗りやすいタイヤですね。
ラリー歴23年の岩下英一選手は、21歳の時に全日本ラリーにデビュー。その後、24歳から27歳までの間、ラリー修行のためにイギリスに渡英し、帰国後は10年ほどラリー活動を休止していたが、37歳の時にラリーに復帰。その後は国内で行われるインター格式ラリーや全日本ラリー選手権のグラベルラリーに限定して参戦する、大のグラベル好きのドライバーだ。
今回のラリー北海道は、DAY1でトランスファーのインナーシャフトが折れてしまい、その後タイムが上がらずに4位でフィニッシュ。あと一歩で表彰台を逃した。
「3輪駆動状態になってしまい、タイムが伸びなくなってしまいました。でも、マシントラブルのせいじゃなく、僕自身もイケているところとイケていないところのタイム差が大きい。
『悪路に強い』って言われていますが、実は慎重になりすぎてしまうこともある。自分では頑張ってるつもりでもタイムが伸びなかったり。これが今回の課題ですね」と、岩下選手。
今回のラリーではADVAN A035のMコンパウンドを装着したが、
「特にウエット路面での特性が好きですね。濡れた路面でのトラクション性能が高いし、レスポンスも良い。もちろんドライのポテンシャルも高いんですが、僕自身がまだタイヤの良さをうまく引き出せていない。
今はそんな状態なので、次のラリーでは、しっかりと性能を引き出せるような走りをして、表彰台に登りたいですね」
と、早くも第5戦シリベシに向け、闘志を燃やしている。
JN4クラス優勝の奴田原選手の作戦は「先行逃げ切り」。
その作戦通り、DAY1のSS7を終了した時点で、ライバル陣に対し一気に2分以上の大量マージンを作り上げた。このリードにより、SS8以降は無理のないペースで各SSを走破。ライバル達を全く寄せ付けず、国内屈指の高速ステージラリーを独走した。
ちなみにフルアタックをかけたSS2シピリカキム・リバース1の奴田原選手のタイムは14分46秒6。2周目のSS5シピリカキム・リバース2は14分46秒2と、その差はわずか0.4秒。25.12kmという高速ロングステージながらも、圧倒的な速さと正確無比なドライビングが、勝利の原動力となった。
また、1.20kmのオビヒロ1では2番手に対し1.6秒差のベストタイム。さらに2.73kmのリクベツでは3.9秒差と、ショートステージでの奴田原選手は群を抜いた速さをみせる。この集中力の高さこそ、奴田原選手の真骨頂だ。
全日本ラリー選手権の中で最もSSの距離が長いラリーだが、これまでのデータと実績からADVAN A035のMコンパウンドを選択した。ラリー中に使用できるタイヤの本数は24本だが、ラリー北海道の路面はタイヤの摩耗が少なく、特にMコンパウンドはその特性が路面にピッタリと合っているため、タイヤ戦略的には使用本数に余裕があった。
そのため、シピリカキム・リバース(25.12km)とクンネイワ・リバース(25.25km)を3周ループするDAY1は、1周目と2周目にステージとステージの間でフロントタイヤを新品タイヤに交換し、前半戦でマージンを稼ぎ出すという作戦に大きく貢献することができた。
また、DAY1のシピリカキム・リバースでは雷大雨警報が出るほどの局地的豪雨に見舞われたが、タイム的にも全く問題がなく、幅広い路面に対応するADVAN A035の性能の高さを充分に発揮することができた。