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全日本ラリー選手権 全日本ラリー選手権 全日本ラリー選手権 全日本ラリー選手権
全日本ラリー選手権
JRC Round 1
開催日程
2010年4月9日(金)
〜11日(日)
開催場所
佐賀県・唐津市近郊
天候/路面
曇り/
ドライ(一部ハーフウェット)
※DAY1/DAY2とも
SS総距離
101.19km
総走行距離
498.82km
参加台数
43台
(ADVAN装着 : 16台)
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2010年の全日本ラリー選手権がいよいよ開幕した。クラス区分が昨年までの5クラスから4クラスに再編成され、さらにはSSの路面と距離の長さによって得点係数が変わるというシステムがシリーズ争いにどう影響してくるのかが注目となる。

開幕戦は、佐賀県唐津市が舞台。唐津神社で行われる参加選手全員による交通安全祈願とセレモニアルスタートは例年通りだが、SS総距離が100km超となったため、ラリースケジュールは昨年までとは大きく変貌した。
まずは、これまで土曜日の夕方に行われていたセレモニアルスタートは前日金曜日に前倒しとなり、DAY1となる土曜日は早朝から本格的にラリーがスタートする。翌日曜日のDAY2も、早朝から午後2時近くまでにラリーを設定。2日間合計で昨年のSS総距離59.42kmを大きく上回る101.19km/22SSが用意されている。
SSの総距離が倍近くにまで延長されているが、タイヤの使用本数は12本までと制限されている。ただでさえ「タイヤに厳しい」と言われているツール・ド・九州だが、今年はさらに厳しくなることが予想される。

それに加え、不安材料となったのが天候だ。ラリー期間中の天気予報は曇りだったが、降水確率は40%。さらにDAY1土曜日は最高気温が20度となったが、DAY2日曜日は気温が下がるという予報だ。
果たしてラリー中に雨が降るのか降らないのか、さらには路面状況がドライなのかウェットなのか、各チームともタイヤ戦略に頭を悩ますラリーともなった。

そんな中で昨年総合チャンピオンの座を奪還した奴田原文雄選手は、245/40R18サイズのADVAN A050A・Sコンパウンドをチョイスし、SS1へと向かう。
ここでトップから2秒遅れの3番時計をマークした奴田原選手は、続くSS2では0.2秒差の2番時計、SS3ではこのラリー初となるベストタイムを奪って、SS3を終えた時点での順位は3番手と、まずは1ループ目を慎重な走りでクリアする。

ここで路面コンディションを確認した奴田原選手は、SS4をスタートする前にフロントタイヤを新品に交換し、一気に勝負に出る。
それまで履いていたタイヤは、全て使い切る前に温存し、DAY1の後半で再投入。雨が降るのか降らないのか、DAY1の時点では全く予想がつかないDAY2は、どちらでも対応できるように新品タイヤを4本投入するという戦略だ。

この戦略は見事に的中、SS5でこの日2本目のベストタイムを奪った奴田原選手は、SS6、SS7、SS8を連取してライバルを圧倒、2番手に対して4.0秒のマージンを構築。一気にトップへと浮上して、万全の体制でセクション1を折り返す。

だが、アクシデントは唐突に襲ってきた。
トップを快走する奴田原選手だったが、セクション2のSS10で突然エンジンにトラブル。SSはフィニッシュするものの、ここでリタイアとなり戦列を離れることを余儀なくされてしまった。
昨年、チャンピオンを確定させた最終戦の優勝と同様にターマックでの群を抜いた速さを見せ、ライバル勢を引き離しにかかった矢先だっただけに残念な結果となってしまったが、次戦グラベルラリー緒戦となる第2戦・ひむかで、雪辱を果たしてくれることは間違いないだろう。

一方、ADVAN A050Aを装着し、SS3までは奴田原選手らと三つ巴のトップ争いを展開していた榊雅広選手は、続くSS4でリアタイヤを側溝に引っかけてしまい大きくポジションを下げてしまった。
だが、その後もあきらめずに追い上げ、最終SSを迎えた時点ではクラス6位まで浮上してきたが、なんとその最終SSのゴール寸前でミッショントラブルを起こしまさかのストップ。フィニッシュまであと200mでリタイアという結果となってしまった。

昨年までのJN1.5クラスがそのまま移行するかたちとなったJN2クラスは、昨年の最終戦でフィットを投入した丹羽和彦選手が、エンジン、ミッション、サスペンションをビルトアップさせ再登場。JN3クラスを脅かすほどの速さを見せ、22のSS全てでベストマークをマークするだけではなく、総合でも13位というブッチギリの速さで優勝を奪った。
今年はこのラリー1戦のみの出場という丹羽選手だが、圧倒的なパフォーマンスを見せつけたラリ
ーとなった。

「新車初年度登録から10年以内の車両」という"10年規制"の導入により、参加車両が一新されたJN1クラスには、中西昌人選手が1300ccのFFストーリアを製作しての参戦。
K11マーチとの一騎打ちとなったが、DAY1で早くも2分以上のタイム差をつけ、新生JN1クラスの最初のウィナーとなった。

JN3クラスは、松本琢史選手のロータス・エキシージと眞貝知志選手のインテグラ・タイプRとの白熱したバトルとなった。
DAY1は1秒を争う展開となったが、DAY1を終えた時点で松本選手が眞貝選手に3.8秒のタイム差を付け、トップを死守する。
だが、クルマの構造上、スペアタイヤを積むスペースがない松本選手のロータスは、すでにタイヤを10本使っている状態だ。また、路面コンディションがウェットになると、FF車が有利となってくる。
「なんとか明日も天気がもってくればいいんだけど・・・」と願う松本選手だったが、DAY2は雨こそ降らなかったものの、路面コンディションはハーフウェット状態。さらに深い霧が視界を奪い、惜しくも2位でフィニッシュ。
優勝にはあと一歩届かなかったものの、オフシーズンの間に大幅な進化を遂げたロータスは、これからの活躍にますます期待が高まる走りを見せてくれた。
Driver's Voice
奴田原文雄 選手
 【今回の成績 : JN4クラス リタイア】
作戦通り、セクション1の2ループ目からプッシュしてトップに立ってからのエンジントラブルだっただけに、非常に残念なリタイアでした。ただ、そこまではしっかりとラリーをコントロールできていたので、そういった意味では今シーズンに向けての手応えを充分に感じ取れたラリーでもあったと思います。
まだまだシーズンは始まったばかりなので、第2戦は新たな気持ちで優勝を狙っていきます。
 
松本琢史 選手
 【今回の成績 : 総合9位 (JN3クラス 2位)】
DAY1のセクション1は、フロントにG/2Sコンパウンド、リアにG/Sコンパウンドのセットで走り、路面温度が上がったセクション2では、フロントをG/Sコンパウンドに交換しました。今回の路面は、G/Sコンパウンドのマッチングが良かったですね。
DAY2は、最初のループは気温が低かったこともあって前後ともG/2Sコンパウンドをチョイスしたんですけれど、気温が上がってきた2ループ目はリアタイヤをG/Sコンパウンドに変更しました。
ウェット路面になるとFFが有利になることは分かっていただけに、なんとかドライ路面のままであって欲しかったんですけど・・・。
 
明治慎太郎 選手
 【今回の成績 : 総合11位 (JN3クラス 4位)】
DAY1は、最初はフロントにMコンパウンドを装着して行ったんですけれど、実際にSSに行ってみたら路面がハーフウェット状態だったのです。そこでSS2からフロントをG/Sコンパウンドに換えたのですが、そこからはフィーリングが格段に良くなっていきました。
DAY2はウェット対策としてG/2Sを装着しました。これがまたすごく良く、今回のラリーでやっとベストタイムを奪うことができました。
表彰台には届くと思ったんですけど、あとほんの少し届きませんでした。スターレットはクラスの中では非力なクルマなんですけれど、グラベルラリーとなる第2戦ではぜひトップ争いに加わって行きたいですね。

丹羽和彦 選手
 【今回の成績 : 総合13位 (JN2クラス 優勝)】
DAY1のセクション1でリアサスペンションが動きすぎてドリフト状態になる場面が多かったので、リアタイヤをG/2SコンパウンドからG/Sコンパウンドに変更しました。
今回の路面コンディションには、このセットがベストマッチしていましたね。リアサスペンションのセッティング不足をタイヤでカバーしたという感じです。セクション1からこのセットで行っていれば、さらにもっと上のクラスのクルマを捕らえられたかもしれませんね。
フィットはタイヤに負担が少ないクルマなので、最後までタイヤをうまく使い切れたと思います。

中西昌人 選手
 【今回の成績 : 総合13位 (JN2クラス 優勝)】
DAY1、DAY2を通して、185/55R14サイズのADVAN A048・Sコンパウンドを装着しました。
雨が路面に流れるようだとSSコンパウンドも用意していたんですが、ドライ、ハーフウェット含めてずっとSコンパウンドで行きました。攻めて走ってもタレにくく、温度レンジの幅の広さを感じることができましたね。
第2戦のひむかもJN1クラスは成立しそうなので、グラベルラリーでも優勝を目指そうと思います。
FEATURED DRIVER
一昨年、ADVAN 1Aチームとして全日本ラリーにデビューした番場彬選手が、スズキ・スイフトを駆りラリーフィールドに帰ってきた。

「このスイフトは、『新車でも低予算で全日本ラリーを楽しむ』というコンセプトで参戦しました。
タイヤは215/45R17インチサイズなんですが、このサイズのA050はMコンパウンドの設定となるので、今回は路面コンディションに合わせてA048のSコンパウンドを装着しました。サスペンションとのマッチングも良く、下りでも安心して走ることができました。クルマもタイヤもコントローラブルでしたね。
JN3クラスの中では最もパワーが少ないクルマですが、ラリーの楽しさは充分に楽しめるクルマだと思います」と番場選手。

今年は、ラリー北海道や新城ラリー、東京ラリーなど数戦に参戦予定とのこと。鮮やかなイエローにカラーリングされたスイフトが、全日本ラリーに新風を吹いてくれることに期待したい。
TURNING POINT
総距離100kmオーバーとなったSS、タイヤ使用本数制限が12本、予想が付きにくい天候、さらにSSの本数が増えたためにタイトとなった移動区間のスケジュールと、難しい条件が重なった全日本ラリー開幕戦は、やはりタイヤマネージメントが大きな勝負所となったようだ。
どの時点で新品タイヤを投入し、どのタイミングで前後タイヤをローテーションさせるか、各クルーとも最後まで頭を悩ませていたようだ。
Technical Information
例年よりもSS総距離が倍近くに延長され、さらにタイヤ使用本数制限が12本というルールのため、2日間に渡りどうタイヤを使っていくかというタイヤマネージメントが重要となってくる。
今回はDAY1の前半でタイヤを温存し、中盤で新品タイヤを投入してマージンを稼ぎだし、DAY2はドライ、ウェットどちらでも行けるように新品タイヤ4本を投入するという予定だった。
結果的に戦略的には万全だっただけに、エンジントラブルによるリタイアは残念としか言いようがない。
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