開幕からここまでターマックでの戦いが続いてきた2008年の全日本ラリー選手権、第4戦は開幕以来となる九州に上陸、宮崎県を舞台にした「ひむかラリー'08 in 美郷」は今季初のグラベルイベントとなる。
ADVANカラーのランサーエボリューションXを駆る奴田原文雄選手は海外競技会参戦の為に今大会は不参加となったが、チームメイトが活躍を見せた一戦となった。

サービスパークやヘッドクォーターが設けられたのは美郷町の南郷地区。ここは朝鮮半島の古代国家「百済」の王族が戦いに敗れて海を渡って移り住んだという「百済伝説」が残る地。
今年も全日本ラリー開催を大勢の方々が歓迎、31日(土)に地区の中心部で行われたセレモニアルスタートでは子供からお年寄りまでが集まって戦いに向かうクルーに声援を送った。

このスタート前に各クルーを悩ませたのがタイヤチョイス。スタート時点の空模様は晴れだったが、前夜までは激しい雨が降り続いていた。さらに週の前半にも豪雨があり、開催までに主催者が懸命なコース整備を行ったことも前夜のブリーフィングで伝えられていた。

そこでスリッピーな路面が予想されることから、田口幸宏選手をはじめ、石黒雄士選手や番場彬選手はADVAN A035のSコンパウンドをチョイス。
田口選手はSS1をトップの3.9秒遅れであがるが、次のSS2・長迫1でトラブルに見舞われてペースダウン。4本のSSを終えて3番手のポジションで1回目のサービスイン。
　
ここで田口選手はタイヤをMコンパウンドに変更、セッティングを修正してセクション2へと向かう。
若手勢は石黒選手がMコンパウンドを選択したが、番場選手は再びSコンパウンドを装着してステージへと向かった。
　
田口選手は午前中の鬱憤を晴らす快走でセクション2最初のSSとなる14.56kmの山神下1をトップタイムであがると、続く4.34kmのはみの下1でも連続ベストタイムをマーク。
この日最後のSSとなるのは、先程ベストタイムを奪った山上下の再走。それだけに3連続ベスト奪取が期待されたが、残念ながらこのSSではアクシデントからコースを塞いだ車があったためにキャンセル。

1日(日)の早朝にスタートしたレグ2。田口選手は最初のSSとなった山神上1でベストタイムをマーク、このステージで強さを見せた。そしてポジションを2番手とするとそのままフィニッシュまでマシンを運び、総合2位で表彰台を獲得した。

若手勢では石黒選手は惜しくも最終SS10でリタイアを喫したものの、番場選手はカーブレイク・ラリーの様相が色濃くなる中でしっかりとマシンをフィニッシュまで走らせて5位完走を果たしポイントを重ねることに成功した。

またJN1.5クラスでは開幕から連勝を重ねてきたライバルがマシントラブルで戦線を離脱した一方、ベテラン・大庭誠介選手が難しい路面を見事に攻略。
最後は唯一残ったライバルに大差をつけてJN1.5クラスで初優勝を飾った。