世界の自動車レースを統括するFIA(国際自動車連盟)。
FIAがモータースポーツの最高峰として「世界選手権タイトル」を与えている競技が3つあり、「FIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)」は「FIA世界ラリー選手権(WRC)」、「FIA
フォーミュラワン世界選手権(F1)」と並ぶ世界の頂点に位置するカテゴリーである。
モータースポーツに詳しい方ならお気づきの通り、大自然を駆けるラリーの最高峰がWRC、完全な競技専用に一から造られたフォーミュラカーによる競技の最高峰がF1、そして市販されているツーリングカーをベースにした俗に"ハコ車レース"と呼ばれるカテゴリーの最高峰がWTCCである。
WTCCはヨーロッパツーリングカー選手権(ETCC)の流れを汲んで発展したもので、2005年からFIA世界選手権のタイトルが冠されてWTCCとなった。
シリーズは欧州を中心に南米やアジアでも開催され、その模様は衛星放送を通じて世界中に配信されている。
レースは自動車メーカーのワークスチームとプライベーターチームが混在し、一日で2戦の決勝レースが行われる。第一レースと第二レースの間にはさむインターバルは、'07年シリーズでは前年よりも若干長くとられることになった。
第一レースの結果を受けて決する第二レースのスターティンググリッドは、上位8番手までのグリッドが第一レースの優勝から8位までの選手を逆転させて配する「リバース・グリッド方式」を採用、両レースを通じて繰り広げられる超接近戦が世界中のファンを魅了している。
また、決勝結果に応じてウェイトハンディが課せられる。その内容は決勝での順位に応じて、
・ 優勝 20kg、2位 15kg、3位〜5位 10kg、6位〜8位 5kg、9位 -5kg、10位以下
-10kg
とされている。さらに初戦では20kgが自動的に課せられるなどの仕組みがあり、累積最大で60kgのハンディウェイト搭載が課せられる。
このシステムにより毎大会白熱した接近戦が展開され、チャンピオン争いもシリーズの最後の最後まで行方を予想するのは難しい。
2006年シリーズでは最終戦でチャンピオン獲得の可能性を残したドライバーが実に9人にもなった。
2007年は前述のウェイトハンディなど細かい規則変更が行われたものの、基本的な概要は前年を踏襲。
今年も世界的にも他に類を見ない激しい接近戦が多くのWTCCファンを新たに産み出すことになるだろう。