これまで2大会／4戦を終えている2007年のFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)。
成績を振り返ると第1戦と第2戦はともにBMW、そして第3戦はシボレー、第4戦はセアトが制しており、スペインのバレンシアで開催される第5戦／第6戦ではアルファロメオの戦いぶりが注目されるところとなった。
　
WTCCでは成績に応じたウェイトハンディ制が採用されているため、今大会では軽さにも勝るアルファロメオが強さを見せることになる。

まず土曜日の公式予選でトップタイムをマークしたのはアルファロメオ156のJ.トンプソン選手。タイムは1分43秒954、これに僅か0.001秒差で続いたのはセアトのY.ミューラー選手。
以下、BMWのA.プリオール選手、セアトのJ.ジェネ選手、M.ジョルダイン選手と続き、やはりアルファロメオとセアト勢が速さを見せる結果となった。


迎えた日曜日の決勝第1レース(第5戦)は序盤からクラッシュやコースオフが続出する荒れ模様の展開。
そんな中でポールポジションからスタートしたJ.トンプソン選手が15周のレースで終始快走を見せて堂々のポール・トゥ・ウィン。
昨年のセアトからアルファロメオに移籍してからの初優勝、自身にとってもWTCCが発足した2005年の開幕戦モンツァ以来となる2勝目を飾った。
　
　
続いて第1レーススタートから約5時間後に行われた第2レース(第6戦)。
第2レースは規則によって第1レースをフィニッシュした上位8台がリバースグリッドで配されてスタートを迎えるため、ポールポジションはBMWのJ.ミューラー選手、その後ろはBMWのL.ランゴーニ選手が続き、J.トンプソン選手は8番手からスタートを迎える。
　
そしてここでも再び速さを見せたのはJ.トンプソン選手。
1周目で早々に2台をパスすると更に先行するマシンを激しくプッシュ。
3周目に入った1コーナーでJ.ジェネ選手のセアトをパス、更に最終コーナーではY.ミューラー選手のセアトも抜きさって4番手にポジションアップ。

この後も追撃の手は緩まず、6周目の1コーナーでL.ランゴーニ選手のBMWをかわして3番手になると、前方で激しいトップ争いを繰り広げていたA.プリオール選手を7周目に、更にトップを走っていたJ.ミューラー選手をも8周目にパスして第1レースに続いてトップの座に。

そのまま13周のレースを走りきったJ.トンプソン選手が第1レースに続いて第2レースも制し、2005年の第2戦でY.ミューラー選手が記録して以来となる同一大会の2レース制覇を成し遂げた。

1974年4月29日、イングランド生まれ。
1992年にイギリス・フォーミュラ・ヴォクスホールで2勝を飾ってシリーズ4位、翌'93年にはイギリス・サルーン・カップでホンダシビックを駆り7勝でシリーズチャンピオンを獲得。
'94年にイギリス・ツーリングカー・選手権(BTCC)にステップアップ、参戦初年度にしてプライベーター部門のチャンピオンを獲得、その名を広く知らしめる。
以降、'95・'96年はヴォクスホール、'97〜2000年はホンダでBTCCに参戦、'01年には古巣のヴォクスホールに復帰して'04年まで参戦、'02年と'04年にタイトルを獲得。
WTCCには発足初年度から参戦、'05年開幕戦の第2レースで優勝を飾った。'05年はアルファロメオ、'06年にセアトへ移籍したが、'07年は再びアルファロメオのステアリングを握る。

1969年8月15日、フランス生まれ。
1988年、フランス・フォーミュラ・ルノーで3勝を挙げてシリーズ3位。翌年にはフランスF3にステップアップ、シリーズ3位の成績をおさめる。
'92年にはイギリスF2選手権に参戦して初のタイトルを獲得。
'93年はFIA F3000選手権を戦い5位が最上位。
'94年にフランス・ツーリングカー選手権にBMWで参戦、翌年にはチャンピオンに輝きツーリングカードライバーとしてのキャリアをスタート。
イタリア、ドイツのツーリングカーレースで実績を上げ、1998年からイギリス・ツーリングカー選手権(BTCC)に活躍の場を移す。BTCCでは'98年はアウディ、翌年以降はヴォクスホールをドライブして2003年にチャンピオンを獲得。
2006年からWTCCで更なるチャレンジを始め、同年第5戦で初優勝を飾った。

バレンシアサーキット(スペイン)
　
スペイン第3の都市・バレンシアから約20kmという立地に建設されたサーキット。
GPライダーのホルヘ・マルチネスがコースレイアウトに携わったことで知られ、温暖な気候ゆえオフシーズンにはF1をはじめとして多くのテスト走行が行われる。
　
コースは全長4,005m、レイアウトとしては低速コーナーが中心となる。
敷地全体がフラットなため、観客としては見晴らしが良くレースの状況を把握しやすいことも大きな特徴。
また、世界的にも珍しい"左回り"のサーキットコースである。