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Race Report : FIA Formula 3 Intercontinental Cup (SJM F3 Macau Grandprix) |
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フォーミュラの登竜門カテゴリーとして世界各国でシリーズ戦が開催されているF3。その世界一決定戦として毎年11月に開催されている国際レースが、FIAのインターコンチネンタルカップとして開催されているマカオ・グランプリだ。
同イベントは過去にアイルトン・セナ選手やミハエル・シューマッハ選手など、数多くのF1ドライバーを輩出してきた歴史あるイベント。59回目の開催を数える2012年の大会は、F3規定の導入ならびにヨコハマタイヤがオフィシャルサプライヤーとしてタイヤの供給を開始してから、30年目を迎える記念すべきイベントにあたる。
今年も世界各国のF3で活躍する上位ランカーやGP2、GP3シリーズで活躍する若き才能が集結。11月15日から18日にかけて、ガードレールとコンクリートフォールに囲まれた約6kmの市街地コース、ギア・サーキットを舞台に激しいバトルが展開された。
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朝から厚い雲に覆われ、例年よりも涼しいコンディションとなるなか、幸先の良いスタートを切ったのが、GP2シリーズで活躍したフェリペ・ナスル選手だった。多くのドライバーがタイヤバリアにヒットするなか、2分14秒787をマークしたナスル選手が15日の午前中に行われた1回目のフリー走行でトップタイムをマークする。
しかし、同日午後に行われた1回目の予選ではGP3シリーズおよびフォーミュラ・ルノー3.5シリーズの上位ランカー、アントニオ・ダ・コスタ選手が2分13秒400でトップタイムをマーク。ユーロF3のフェリックス・ローゼンクビスト選手が0.020秒差の2番手、イギリスF3インターシリーズのカルロス・サインツ・ジュニア選手が0.021秒差の3番手で初日のセッションを終了した。
明けて16日の午前中に行われた2回目のフリー走行では、ローゼンクビスト選手が2分13秒958でトップタイムをマーク。昨年のマカオ・グランプリを制したユーロF3王者のダニエル・ジュンカデラ選手が0.023秒遅れの2番手、ダ・コスタ選手がトップから0.037差の3番手に続くなど、またしても僅差のタイム争いが続く。
しかし、同日の午後に行われた2回目の予選ではイギリスF3インターシリーズのアレックス・リン選手が2分13秒122でトップタイムをマークし、予選レースのポールポジションを獲得。2回目の予選でタイムが伸び悩んだダ・コスタ選手が2番手に着け、自己ベストを塗り替えたジュンカデラ選手が3番手でフィニッシュした。
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そして17日、この日も朝から曇天となるなか、10周で争われる予選レースが幕を開けた。
ここで好スタートを切ったのが2番手グリッドのダ・コスタ選手でオープニングラップを制覇。ダ・コスタ選手はそのままポジションをキープし、決勝レースのポールポジションを獲得する。同じく4番手グリッドからスタートダッシュに成功したローゼンクビスト選手が2位でフィニッシュしており、スタートで出遅れたリン選手は3位で予選レースをフィニッシュ。
一方、気になる日本勢の最高位は全日本F3でシリーズ3位に付けた山内英輝選手で、17番手グリッドからひとつポジションを上げた16位で完走した。
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このように各セクションで激しいバトルが展開されるなか、18日の午後3時30分、曇天の空の下、ついに15周で争われる第59回マカオ・グランプリの決勝レースが幕を開けた。
注目のスタートを制したのは2番手グリッドのローゼンクビスト選手で、トップで第1コーナーを通過する。しかし、ポールポジションのダ・コスタ選手もローゼンクビスト選手の背後に付け、マンダリンの手前でトップを奪還するなど序盤から激しいポジション争いが展開。その結果、前日の予選レースと同様にダ・コスタ選手、ローゼンクビスト選手、リン選手のオーダーでオープニングラップを終えた。
その後もトップのダ・コスタ選手は後続を引き離しにかかるものの、3周目に山側で下位グループの車両がクラッシュを喫し、セーフティカーが導入される。
その結果、トップ争いは再び数珠つなぎの状態となるものの、5周目にセーフティカーが解除されるとトップのダ・コスタ選手は冷静な再スタートを披露。リスボアコーナーでは2番手のローゼンクビスト選手がトップに並びかけるものの、ダ・コスタ選手はサイド・バイ・サイドの争いを制してトップをキープした。
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その後は数周に渡って膠着状態が続くものの、12周目、リスボアコーナーでイギリスF3インターシリーズのチャンピオン、ジャック・ハービー選手がクラッシュを喫し、ピットインを強いられるほか、全日本F3選手権王者の平川亮選手とATS F3カップで2位に付けたルーカス・オーヤー選手らが最終コーナーのクラッシュでリタイアするなど、脱落者が続出するサバイバルレースが展開される。
そのような展開の中、トップのダ・コスタ選手は最後まで安定した走りを披露し、ポジションをキープ。混戦の15周を走り抜き、2012年のマカオグランプリ・ウイナーに輝いた。
2位はローゼンクビスト選手で、リン選手が3位で表彰台を獲得している。
なお、日本人最高位は16番手グリッドからスタートした山内選手で、スタートでポジションアップに成功し、14位で完走。以下、全日本F3でシリーズ2位に付けた中山雄一選手が30番手から粘り強い走りを披露し、21位で完走を果たした。
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■Driver Comment : A・F・ダ・コスタ 選手 (決勝レース 優勝/予選レース 優勝) |
言葉が出ない。ここで勝つことが信じられないぐらいだよ。15ラップをミスなく限界で走れたのでかなり高揚した。とくに最後の2周はエモーショナルだったね。マカオ・グランプリのウイナーズリストには偉大な選手たちが名前を連ねているけれど、僕の名前もたった今、そこに加わった。この勝利はこれまでの私のキャリアのなかで最も大きいものになった。
チームが素晴らしいパッケージを用意してくれた。この輝かしい勝利を与えてくれたカーリンとフォルクスワーゲンに感謝を伝えたいね。
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