Your browser does not currently have the Flash Player version 8 that is required to view this site.
Please click here to download the latest Flash Player version.
HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.141 News Index
  ひとつ前にもどる  
長年にわたるBaja1000への参戦などを通じて、世界的なオフロードレーサーとして知られている塙郁夫選手。近年はオリジナルのEV(電気自動車)レーシングによるパイクスピーク参戦も注目を集めている。
去る2014年4月11日から13日にかけて、グアム島で開催された3時間耐久のオフロードレース。この一戦に塙選手が出場、思わぬアクシデントからタフな戦いとなったが、見事な総合優勝を飾った。

※塙選手の略歴については、2011年掲載のPPIHC特集でもご紹介しています。
グアム・インターナショナル・レースウェイを舞台に行われた「SMOKIN WHEELS 2014」。
ドラッグレースにドリフト、ATVやUTVのレース等々、多彩なモータースポーツが一同に会した“お祭り”として盛況を見せた週末、そのメインレースとなるのが「オフロードバギー&トラック耐久レース」だ。

塙選手はこのレースへの参戦について、目的はふたつあると語る。

「このレースは今年で36回を数える伝統のオフロードレースですが、日本から手軽に参加出来る海外レースとして貴重なイベントです。
国内戦で頑張っている選手の目標にしてもらったり、海外ラリーなどに参戦する選手のファーストステップとしても最適なので、国内モータースポーツの活性化を狙って多くの選手を誘いながら参戦しています。今年も4輪だけで20台弱を送り込みました。
そのほか、バイクやATVまでを加えると100人以上の日本人が参戦しています。僕の周りでもショップ関係のチームは社員旅行を兼ねて毎年参戦していたり、家族旅行を兼ねての参戦だったりすることが多く、モータースポーツの楽しさや楽しみ方を日本に浸透させる手助けになるかと思って、参戦を続けています。

そしてもうひとつの目的としては、マシンテストというものがあります。実は僕のBaja参戦マシンをテスト出来るコースが、日本には最適なところが無いのです。グアムのコースは1周2kmくらいの周回コースですが、大きなジャンプや激しいギャップも多く、本場のデザート(砂漠)コースと同じくらいにハードなので、毎年Baja1000に向けてのテストとしても参戦しています」
注目のレースは3時間の耐久。レーシングバギーや4WDマシンなど25台がエントリーしている。塙選手のマシンはL/C-GUNDAM、前述のとおりBaja1000に参戦するオープンホイールタイプのもので、タイヤはGEOLANDAR A/T-Sの315/70R17サイズを装着、4WDオープンクラスでの出走となる。

総合優勝候補の一台に数えられていた塙選手のマシンだが、予選でまさかのアクシデントに襲われる。タイムアタックに入った塙選手の直前に、地元のロッククローラーが不用意にコースインしてきたのだ。

30mほどの大ジャンプ直後、塙選手はなんとか姿勢を立て直してアウト側からコーナーでパスしようとしたが、挙動を乱したロッククローラーがアンダーステアを出しながら塙選手のマシンに接触。
双方ともにオープンホイールタイプだったため、塙選手のマシンは大きく空中を舞ってアスファルト路面に叩きつけられる大クラッシュを喫してしまう。

誰もが全損を疑わなかった激しいクラッシュであったが、長年Baja1000を戦ってきた塙選手のマシンはそんな観衆の想像を遥かに超えるタフなものだった。路面に直撃したホイールこそ木っ端微塵に砕けてしまったものの、マシンには特に致命傷となるようなダメージはなく、走行を継続できる状態だった。

ただ、やはり完全な無傷とはいかず、予選後に調べてみるとブレーキキャリパーにクラックが入っていることが判明。スペアパーツの調達が間に合わないため、3時間の長丁場となる決勝レースは右リアのブレーキが無い3輪ブレーキの状態で戦うことを強いられてしまった。
予選でのアクシデントがタイムアタック前だったため、決勝は14番グリッドからスタートを迎えた塙選手。
現地時間の4月13日午後1時半にスタートした決勝、序盤はブレーキの問題もあるので慎重なレース運びを見せたが、一方で塙選手とともに優勝候補に数えられていたマシンたちが次々とトラブルから戦列を離れていき、20分を経過した時点で塙選手がトップへと躍り出る。

3輪ブレーキ状態というハンデを背負う中で、塙選手は予選上位に相当する好タイムでラップを重ねていく。3時間の決勝はピットインも自由であり、燃料補給や修理でドタバタするチームも多いのだが、塙選手のマシンはより長丁場となるBaja1000仕様のため燃料給油は必要なく、ブレーキの問題以外にトラブルも発生しなかったことから、ノンストップで3時間の決勝を走りきった。

途中では激しい追い上げを受ける場面もあったものの、そこは塙選手が豊富な経験を活かして主導権を手放すことなく、レースを完全にコントロール。最終的には後続に3周の大差をつけて3時間を走りきり、堂々の総合優勝を獲得した。
この優勝について、塙選手は勝因を次のように分析する。

「右のリアブレーキが無いということでマシンは完全な状態ではなかったので、序盤の激しいトップ争いに絡まずペース配分を上手く整えるレース運びを実践しました。その結果、ノートラブルで走りきれたことが総合優勝につながりましたね」

塙選手の優勝は現地グアムでも大いに讃えられ、翌日の地元紙朝刊では一面に大きく写真入りで採り上げられた。


また、同じGEOLANDAR勢ではグアム最大の自動車販売会社のチームがフォード・ラプターに装着して4WDオープンクラスの3位入賞を飾り、市販車ながら好走を披露。クラス2番手にもGEOLANDARを装着する新潟LIMIT-TACOMAが入り、GEOLANDAR勢がクラス上位を独占した。
[UPDATE : 28.Apr.2014]
ひとつ前にもどる