1991年に発足したN1耐久ラウンドシリーズを源流に、その名の通り耐久レースで主要サーキットを転戦するのが「スーパー耐久シリーズ」。
20年以上の歴史と伝統を誇るシリーズは、2013年は韓国での公式戦も開催されて飛躍の一年となっており、全7戦のカレンダーが組まれている。そのカレンダーでは、鈴鹿サーキットでの一戦は昨年に続いてWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)と同時開催され、日本を代表するレースシリーズとしての認知度も向上している。
■スーパー耐久を戦うマシンたち
スーパー耐久、通称“S耐(エス-タイ)”の特徴は、第一に参戦車種の顔ぶれがバラエティ豊かであること。
元々は改造範囲を厳しく制限されたN1規定からスタートしたシリーズだが、アフターパーツマーケットとの連動など時流に応じた展開を図ってきたことから、言ってみれば“究極のチューニングカーたるレーシングマシン”が競い合う場となってきた。さらに世界的に盛り上がりを見せているFIA-GT3車両を採り入れ、一方では参戦初期コストを抑制できるコンパクトカークラスも発足させるなど、多彩な参加者ニーズに応えている。
この結果、メルセデス-ベンツSLSや日産GT-RといったFIA-GT3車両から、長年のライバル関係にある三菱ランサーエボリューションとスバルWRXの4WDハイパワーマシン、そして日産フェアレディZやトヨタ86などのスポーツカー、さらにトヨタヴィッツやホンダフィットといったコンパクトカーまで、多種多彩な車種が6つのクラスでしのぎを削りあっているのだ。
かつては自動車メーカーも関わって、市販車への技術的フィードバックを行ったりしてきた。一方でアフターマーケットへの影響力を示すのが、著名なチューナーやショップの参戦が継続している点である。
■個性的なドライバーが勢ぞろい
スーパー耐久シリーズは、前身のN1耐久ラウンドシリーズ時代から一貫して「参加型レース」を標榜している。つまり、SUPER
GTや往年のグループA、JTCCなどとは一線を画して、プロフェッショナルではなくあくまでもジェントルマンドライバーやプライベーターチームを主役に据えているのだ。
しかしながら、もちろんSUPER GTなどで活躍するトップドライバーも、スーパー耐久のフィールドを戦っている。GT3クラスでは谷口信輝選手や片岡龍也選手、荒聖治選手、星野一樹選手といったSUPER
GTでも人気の顔ぶれが年間エントリーしている。
また、今シーズンは第4戦の富士と第3戦のもてぎで第4ドライバーまでの登録が認められていることもあり、このほかのクラスでも“大物ドライバー”の存在がクローズアップされている。例えばST-3クラスではGT500でお馴染みの安田裕信選手がフェアレディZをドライブ。また若手では千代勝正選手や蒲生尚弥選手、高星明誠選手らも注目を集める存在だ。
さらに、ERC(FIAヨーロッパ・ラリー選手権)にも参戦する新井敏弘選手もGT3クラスでポルシェを駆っており、レースファンのみならずラリーファンからも関心を集めている。