前戦の岡山に続き、今回のエビスも8月29日(土)と30日(日)の両日ともに決勝が行なわれるデュアルファイナルズ。シーズンも大詰めを迎え、「ドリフトの聖地」と呼ばれるこのコースでの戦績が、今季の最終的な結果に大きく響くことは選手の誰もが承知。
YOKOHAMA勢は、第4戦終了時点でランキング5位に斎藤太吾、6位に熊久保信重がつけている。同ラウンドの結果次第では、タイトルの有力候補に加わる可能性もなくはない。

なお今回、最終コーナーの飛び出しが、従来はきついS字だったところが、角度がゆるくされて、従来よりも速いスピードで抜けることが可能となった。
これまでは審査席前での走りのウエイトが審査のうえで非常に大きかったのだが、こうされたことで、最終コーナーの飛び出しの角度やスピードなどが審査に大きく影響することとされた。

金曜日に行なわれた第5戦の予選では、織戸学がトップ通過、2番手が水畑力、5番手に高山健司、6番手に田中一弘と、10位以内に4人が入るなど、YOKOHAMA勢は気を吐いた。
さらに、12位に山下広一、16位に松川和也、17位に内海彰乃、20位に岡村和義がつけ、それぞれ予選を通過。これに、練習走行から4回もプロペラシャフトが飛ぶトラブルに見舞われたが、新車優遇制度により出走権のある上野高広と、斎藤、熊久保らシード選手を加えた11名が1回戦の単走に臨む。

しかし、土曜日の午前に行なわれた1回戦は波乱の展開となった。
1本目でハーフスピンしたが、2本目を上手く決めた岡村、2本ともきれいにまとめた高山、ミスなく走った田中ら3名はベスト16へ。
降雨による中断を経て、再開された単走ではシード選手の斎藤と熊久保が、いずれも危なげない走りで順当に勝ち上がった。

一方、予選を上位で通過した織戸と水畑は、ともにベスト16落ち。
何か見せてくれると期待される織戸だったが、今回は残念ながら不発で、結果的に16位通過選手にわずか0.02ポイントおよばず17位に。
同じく思い切りのよさには定評のある水畑も、1本目の飛び出しの角度はすごかったが、1コーナーでオーバーラン。2本目も上手くまとめられず20位に沈んだ。

さらに、最終コーナーの飛び出しがぬるいと評され得点の伸びなかった内海が19位となり、なんとか出走したものの迫力に欠けた上野や、1本目のクラッシュでマシンにダメージを負い、2本目を走れなかった松川らも1回戦で敗退となった。

ベスト16も、YOKOHAMA勢にとってはなかなか厳しい展開となった。
それぞれ野村謙、今村陽一というベテランとの対戦となった高山と斎藤は、惜しくもともに敗退。
高山に大きなミスはなかったものの、追う1本目で最終コーナーにクリップにつけなかったことが響いた。
斎藤は、ほぼイーブンと評された1本目では角度もスピードも上回ったものの、追う2本目の2コーナーで、今村に寄せたところで詰まりスピンを喫してしまった。

岡村と熊久保とYOKOHAMA対決では、岡村は最終コーナーの振り出しで勝ったものの、先行する1本目の2コーナーと4コーナーでドリフトにもどりが認められ、僅差で熊久保の勝利となった。

また、ドリフト侍改め今村隆弘と対戦した田中は、追う1本目に強烈なクイコミを披露し、ひさびさに見せた田中らしいキレのある走りが評価され、ベスト8に勝ち上がった。

チームオレンジ2名が結果として勝ち進んだベスト8。
熊久保はRE雨宮のFD3Sを駆る末永正雄、田中はBee RacingのBNR32を駆る手塚強と対戦。

熊久保と末永の対戦では、追う1本目は、最終コーナーから1コーナーまでは熊久保が勝り、そこから先では少し置いて行かれたものの、両者ミスなくイーブン。
前後を入れ替えた2本目では、熊久保がハーフスピンし失速したところを、末永がわざとスピンさせて止め、接触もなかったことから、珍しいノーカウントとされた。
あらためて行なわれた2本目は、最終コーナーの立ち上がりで熊久保がややまっすぐになったことが減点対象となった上、末永が強烈なクイコミを見せたことで、熊久保は惜しくもここで敗退となった。

手塚と対戦した田中は、両者一歩も引かず、再々戦までもつれこむ好勝負を演じた。
しかし、サドンデス3本目で、追う田中が最終コーナーで近づきすぎ、さらに2〜3コーナーでもどって離されてしまったことで、手塚がアドバンテージを獲得。

そして4本目、田中にもミスはなかったが、手塚は強烈なクイコミを見せ、勝負がついてしまった。

残念ながらこの日、YOKOHAMA勢はベスト8止まりとなった。