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WTCC Round 7&8
開催日
2014年5月10日-11日
開催場所
スロバキアリンク
(スロバキア)
天 候
第1レース : 雨
路 面
第1レース : ウェット
決勝周回数
第1レース : 8周
第2レース : -周
※悪天候にて、第1レース赤旗終了、第2レース中止。
(1周 = 5,922m)
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第2大会以降は、ヨーロッパ各国を転戦しているWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。やや駆け足での転戦が続くが、今回も前戦からのインターバル無しで二週連続開催、用意された戦いの舞台はスロバキアリンクである。

3年目の開催となるスロバキア、補正ウェイトは前戦のハンガリー同様にシトロエンのみがプラス60kgとされた。この影響もあってか、テスティング走行から2回のフリープラクティスにかけてはホセ・マリア・ロペス選手が全てのセッションでトップタイムを刻むも、シビック勢やシボレーRMLが2番手や3番手に食い込み、シトロエン勢の上位独占とはならなかった。

そして公式予選。Q1ではシビックのノルベルト・ミケリス選手がトップタイム、シボレーRMLのヒューゴ・ヴァレンテ選手が2番手タイムで速さを見せる。12台が進出したQ2ではロペス選手がトップ、イヴァン・ミューラー選手が4番手となるが、ミケリス選手が2番手で健闘を見せた。ローブ選手はマシンにトラブルが発生したようでなかなかコースインできなかったが、残り6分でピットを離れるとしっかり3番手のタイムをマークする。

Q3はシボレーRMLのモルビデリ選手を加えた5選手で競われる。1台ずつのアタックとなるQ3、ここでシトロエン勢が一気に巻き返しを図り、ロペス選手がトップタイムで第1レース(第7戦)のポールポジションを獲得すると、ローブ選手が2番手、ミューラー選手が3番手のタイムで続く。ただし4番手のミケリス選手、5番手のモルビデリ選手も大きく遅れをとることはなく、ロペス選手からモルビデリ選手までの差は1.019秒という僅差の争いであった。

決勝が行われる日曜日、スロバキアリンクは厚い灰色の雨雲に上空を覆われた。全車ウェットタイヤを装着してグリッドオン、スタンド席では観客が傘の花を咲かせている中でフォーメーションラップを経てスタートの瞬間を迎える。

レッドシグナルが点灯、やや長い時間をはさんで消灯して第1レース(第7戦)がスタート。なお、ラーダのミハエル・コズロフスキー選手はマシントラブルにより、ピットを離れることができず出走を断念せざるを得なかった。

雨の中で好スタートをみせたのはローブ選手、1コーナーまでにロペス選手をかわしてトップに躍り出る。また、ミケリス選手もスタートを失敗したミューラー選手をかわして3番手に浮上した。さらにADVAN Racing RSII-WTCCを装着する2台のシボレーRML、トム・チルトン選手とトム・コロネル選手もそれぞれひとつずつ順位を上げて5番手と6番手で1コーナーを通過する。

2周目に入って、4番手のミューラー選手にペナルティの裁定が下る。ミューラー選手、やや長いレッドシグナルに対してスタートのタイミングをつかみ損ね、一瞬早くマシンが動いてしまっていた。これによりジャンプスタートでドライビングスルーペナルティが科されたのである。
ミューラー選手はそのままピットロードへと姿を消し、追われる立場にあったミケリス選手にとっては展開が楽になった。ペナルティを消化したミューラー選手は14番手にまで後退、これで勝負権を失ってしまう。

トップ争いを演じるローブ選手とロペス選手はオープニングラップを終えて1.415秒差、これが2周目を終えると1.745秒差に拡大。ロペス選手と3番手のミケリス選手は3.271秒とやや間隔が開いている。
その後方では“ふたりのトム”がテール・トゥ・ノーズで激しい4番手争いを展開する。5周目には右ターンでインをさしたコロネル選手がサイド・バイ・サイドに持ち込み、そのまま続く右ターンもインのラインをキープしてチルトン選手をかわし、4番手に浮上した。

また、後退したミューラー選手も猛追を展開、同じ5周目にはホンダのメルディ・ベナニ選手とドッグファイトを演じる。こちらもサイド・バイ・サイドにミューラー選手が持ち込むが、ベナニ選手も一歩も引かずタフなウェットコンディションの下で2台ならびで直線区間を駆け抜けていく。しかし最後はミューラー選手に軍配が上がり、これで順位をひとつ上げて13番手となった。

しかし、このころから雨足が強まり、コース上はヘビーウェットとなる。トップ争いを演じる2台のシトロエンさえも、時に挙動が乱れふらつきながらの走行。そんな中でラーダのロブ・ハフ選手は果敢にホンダのガブリエレ・タルクィーニ選手に食らいついていったりもしたが、コースオフを喫する車両も現れたためにセーフティカーが導入される。

7周目からのセーフティカー先導による隊列走行は、コンディションの回復を待ちながら続けられた。しかし8周目、9周目と一列になって走るWTCCマシンに容赦なく強い雨が打ちつけ続ける。
そして10周目、レースコントロールは回復の見込み無しと判断して赤旗を提示。これによりレースは8周終了時点で終了となり、ローブ選手が今季2勝目を飾る結果となった。2位はロペス選手でシトロエンがワン・ツー・フィニッシュ、3位はこの大会がWTCC参戦101戦目となったミケリス選手が今季初表彰台を獲得した。
YOKOHAMAトロフィーはオープニングラップで連勝中のフランツ・エングストラー選手(BMW)がコースオフを喫して後退したこともあり、セアトで参戦するペトル・フーリン選手が優勝した。

第1レースから約3時間のインターバルをはさんでスタートを迎える予定だった第2レース(第8戦)。
しかし、スロバキアリンクに降り続く雨は勢いを弱めることなく、さらに風も強まりコンディションは悪化。この状況に対してレースコントロールは英断を下し、10年目のシーズンを迎えているWTCCとしては史上初の決勝中止という結果になった。
 
Driver's Voice
セバスチャン・ローブ 選手
 【今回の成績 : 第7戦 優勝】
私はこの週末、難しいスタートから優勝することが出来て幸せです。私は予選でトラブルもあったので、スターティンググリッドの最前列に並ぶことが出来ると思っていませんでした。しかし、このようなバッドコンディションのレースにおいては、2番手グリッドを獲得できたことがとても重要だと思い知らされました。
スタートでロペス選手の前に出られたので、コース上にしっかり留まってより良い視界を最大限に活用してレースを出来ました。雨は本降りで、コーナー毎にコンディションは変化していきました。
最終的に赤旗でレースを終了させるという決断は、コース上の状況が悪化していた中ではベストなものだったと思います。
 
Technical Information
激しい雨によって翻弄されたスロバキアリンク。フランス戦の第1レース以来となるウェットコンディションによって全車レインタイヤで臨んだ第7戦だったが、全長6km近いロングコースにおいてウェットコンディションの下、予選タイムの約15秒落ちというレースラップを刻んだことはTC1規定車両が装着している新しい18インチのウェットタイヤがしっかり性能を発揮した結果と言える。

雨足が強まりつつある中で、トム・チルトン選手とトム・コロネル選手によるドッグファイトをはじめ、随所でバトルが展開されたことは、各選手がヨコハマタイヤのWTCC用ウェットタイヤが持つ優れたポテンシャルに絶大な信頼を寄せているからこそである。
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