2005年に発足、翌'06年からこれまでヨコハマタイヤのワンメイクで競われている、世界最高峰のツーリングカー・スプリントレースがWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。発足から10年目となるシーズンが、いよいよこの週末にモロッコで開幕を迎える。
これまで幾多の名勝負が演じられ、迫力ある接近戦が世界中で多くのファンを魅了してきたWTCC。10年目の今年は、車両規定が大きく変更され、時代は次のステップへと飛躍することになる。
具体的には18インチタイヤを装着し、ワイドフェンダーなどで武装して空力性能も向上させた新規定のマシンがTC1クラスとして新たに登場。従来型の17インチタイヤを装着するマシンもTC2クラスとして参戦するが、主役は完全にTC1クラスへと移行する流れになる。
ちなみに両クラスのパフォーマンスを比べると、エンジンは排気量1,600ccのターボで同じながら、最高出力はTC2が約320bhpであるのに対して、TC1は380bhpというスペックを誇る。
また、レースフォーマットにも一部変更が行われた。
1大会に2回の決勝を行うことに変わりは無いが、シリーズ発足からWTCCの特徴であったスタート方式は変更される。昨年までは第1レースがローリングスタート、第2レースはスタンディングスタートと異なるスタート方式を採用していた。しかし今シーズンは両レースともにスタンディング方式となるのだ。
一方で予選方式も改められ、全車が出走するQ1において上位12台がQ2に進出。さらにQ2の上位5台が新たに設けられるQ3へと進出し、ここでは各自が1周ずつのアタックランを行って最終的な第1レースの決勝スターティンググリッドに反映される予選結果が生成されるという流れだ。
その上で総合予選結果に基づき、昨年までと同様に第2レースではリバースグリッド配置も行われる。ゆえに可能性としてはスタンディングスタートを得意とするFR車、具体的にはTC2クラスのBMW勢が第2レースのスタート直後に1コーナーを奪う展開もあり得る、ということになる。