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JRC Round 2
開催日
2014年5月3日-5日
開催場所
愛媛県・久万高原町 近郊
天候/路面
Day 1 : 晴れ/ドライ
Day 2 : 雨/ウェット
グラベル(非舗装路面)
総走行距離
237.68km
SS総距離
68.82km (12SS)
得点係数
1.2
(非舗装路 50km〜100km)
参加台数
42台(オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 20台)
>> Report (レポート)  >> Result (競技結果)  >> Detail (カテゴリー紹介)
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今年も大型連休中の開催となった第2戦「久万高原ラリー」。愛媛県久万高原町を舞台に行われる今シーズンのグラベル(非舗装路)緒戦は、「カーブレイクラリー」の異名をとるタフな一戦として知られている。そして今年の「久万高原ラリー」も、やはり過酷なサバイバル戦となり、完走率は62%となった。

サービスパークやHQ(大会本部)は、標高およそ1,000mの美川スキー場跡地に設けられる。ここを拠点に初日は7.03kmの「大谷支線」、6.35kmの「安田」、そしてギャラリーステージとなる1.12kmの「スキー場」を各2回ずつ走行する。二日目はルートの一部を「安田」と共有する9.26kmの「大野ヶ原線」、同様に「大谷支線」と一部重複する9.53kmの「大谷」、そして「スキー場」を各2回ずつ走行する、全12SS(スペシャルステージ)合計68.82kmで競われた。

金曜日のレッキを終えた選手の口からは、荒れたタフな道であるという感想が語られた。ワダチが掘れやすく、さらに拳ほどの大きさの石も見受けられる上に、ワダチが掘れると根石も顔を出してくるという、車やタイヤにとっては非常に難しいステージである。

土曜日の午前10時、いよいよ競技がスタート。注目のオープニングとなるSS1「大谷支線T」でステージベストを幸先よく奪ったのは炭山裕矢選手/保井隆宏選手組で、唯一の6分39秒台をマークして速さを見せる。これに続くセカンドベストは1.4秒差で牟田周平選手/加勢直毅選手組、キャロッセからWRX STIで参戦する若いクルーが存在感を大いにアピールした。

一方、2番ゼッケンでスタートした奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組は、スタートして間もない舗装区間で大きくテールスライド、右リアフェンダーからバンパーにかけてを立ち木にヒットしてしまった。幸いに足回りへのダメージは最小限に留められたが、ランサー・エボリューションの特徴であるACD(アクティブ・センター・デファレンシャル)のポンプがリア右のバンパー内にあるため、これが破損してデフフリーの状態で走行を強いられることに。

万事休すかとも思われる状況だったが、続くSS2「安田」では下り方向ということで影響も小さく、奴田原選手の巧みなドライビングにより不完全な状態のマシンながら新井敏弘選手/竹下紀子選手組に続くセカンドベストを叩き出す。さらに「スキー場」をこの大会初のベストであがってサービスイン、30分の間でメカニック陣が破損箇所について可能な限りの修復を施していく。

オープニングステージでは新井敏弘選手/竹下紀子選手組も、ステージ序盤でパンクに見舞われてタイムロスを喫し、トップの炭山選手組から41.9秒と大きく出遅れる波乱の幕開けとなっていた。
しかしこちらもその後は怒濤の追い上げを披露、SS2「安田」、SS4「大谷支線U」、SS6「スキー場U」と初日の6本中3本のベストを奪取。
Day1は奴田原選手組がトップ、炭山選手組が2番手であがってヨコハマタイヤ装着車がワン・ツー。さらに新井選手組も4番手にまでポジションを回復して、二日目での逆転を虎視眈々と狙う。

一夜明けた月曜日の久万高原町は、天気予報通りの雨模様。林道のグラベルステージもウェットコンディションとなったが、この日のオープニングとなる「大野ヶ原」は荒れた路面で約400mの標高差を一気に駆け上がる登り勾配のステージゆえに、ひとつの勝負どころとなった。

そこでADVAN A053装着車が圧倒的なタイヤポテンシャルを武器に快走。新井選手組がトップ、奴田原選手組、炭山選手組と続いて、トータルでも新井選手組がライバルの勝田範彦選手組を逆転し、ヨコハマタイヤ勢のワン・ツー・スリー・フォーメーションが構築された。

惜しくもSS10でのパンクで炭山選手は後退を余儀なくされたが、奴田原選手組は思いがけぬスピンでタイムロスを喫する場面があったものの、新井選手組ともども勝田選手以下を寄せつけない速さを見せていく。じわじわと追い上げる新井選手組、SS11「大谷U」を終えて両者の差は僅か1.3秒。最終SSの「スキー場」は1.12km、勝負は最後の最後までわからない展開に。

先行した奴田原選手組、そのタイムは1分09秒8。対する新井選手組が走行を終え、アナウンスされたタイムは1分09秒0、差を詰めたものの0.5秒届かず奴田原選手組が逃げきって今季初優勝を飾った。2位は新井選手組、4位に炭山選手組、5位に牟田選手組、6位には藤本鋼二選手/中島亜希子選手組も食い込んで、ADVAN A053装着車が表彰台の主役となった。

JN5クラスは86/BRZ勢に加えて、小排気量ながらターボエンジンを積み4輪駆動と組み合わせているブーンが参戦しているため、2日目はウェットとなった中でノンターボエンジンの後輪駆動である86/BRZ勢には厳しい展開となった。

しかし、そんな中で速さを見せたのがBRZの鎌田卓麻選手/市野諮選手組。SS2で2台のブーンに続く3番手タイムをマークすると、スキー場のショートステージでは山口清司選手/島津雅彦選手組のレビンに続くセカンドベストで観客を沸かせる。Day1最終の2回目のスキー場ではベストをマーク、二日目に入っても2台のブーンに割ってはいる好走を見せるなどしてノートラブル・ノーアクシデントでタフなラリーを走りきり、3位表彰台を獲得した。

JN3クラスは出走10台のうち半数の5台のみ完走という、最も激しい生き残り戦が展開された。ここで粘り強い走りを見せたのが、今季はデミオで参戦した藤田幸弘選手/藤田彩子選手組。昨年はコルトで参戦して惜しくもリタイアを喫しているが、今年はしっかり前年の借りを返して3位表彰台を獲得した。同じくデミオ勢では、いとうりな選手/渡邉駿毅選手組もしっかりフィニッシュまでマシンを運んで5位入賞。いとう選手は嬉しい初入賞の喜びを表彰台で見せていた。

JN1クラスは昨年の久万高原においてエンジン排気量1,300ccのデミオでデビューウィンを飾っている、地元四国の宇田圭佑選手/石川恭啓選手組が快勝。半分以上のステージでベストを叩き出して、終わってみれば2位におよそ5分30秒の差をつけて2年連続で歓喜のシャンパンファイトに酔いしれた。
 
Driver's Voice
奴田原文雄 選手
 【今回の成績 : JN6クラス 優勝】
SS1でスタートしてまもなくリアが流れてダメージを受けてしまいましたが、当りどころが良かったというか走行そのものは続けられてラッキーでしたね。ただ、ACDが壊れてデフフリーになってしまったので大変だったのですが、なんとかドライビングでカバーしてしのぐことが出来ました。初日をトップであがってデイポイントも3点を加えられたことは、本当に不幸中の幸いでした。
二日目の雨は予報通りでしたが、ADVAN A053は剛性も高くてウェットで荒れた路面でも信頼して踏んでいけます。最後の最後まで新井選手との接戦となりましたが、最後は逃げきって優勝を飾ることが出来てホッとしています。
新井敏弘 選手
 【今回の成績 : JN6クラス 2位】
初日のオープニングステージでパンク、セクション2ではコースオフしている車両に目が行ってしまい、次のコーナーへの対応が少し遅れてしまってスピンして、両方で1分くらいロスしてしまいました(苦笑)。スピンについて言えば、海外ラリーと比べてスピードレンジが低い国内ラリーでは周りのいろいろなものが視界に入ってきやすいんですよね。序盤で大きくロスしてしまったので、「これではマズイでしょ」ということで取り返すべくチャージしていきました。5番とか6番というポジションでは、さすがに言い訳できないですからね。
ADVAN A053にとって初めてとなった久万高原ですが、オールマイティな性格のタイヤなのでどのステージでも素晴らしいポテンシャルを見せてくれました。
次の福島はみなさんのご期待に応えられるように頑張らなければいけませんね。やっとスプリントな国内ラリーにも慣れてきたので、しっかり優勝を狙っていきます。
鎌田卓麻 選手
 【今回の成績 : JN5クラス 3位】
2日目の「大野ヶ原」では登り主体だからブーン相手でもなんとかなるかと思っていたのですが、雨に降られてしまっては……。コース状況がドロドロな中で頑張ったのですが、残念ながら離される結果になってしまいました。
しかし86/BRZの中ではトップで終えられてホッとしています。いまは色々と模索中の部分もあって、FR(後輪駆動)なのでフロントに駆動が無いので、その上での走らせ方などを確立させつつあるというところです。もちろんまだまだ4WDターボが相手では厳しい戦いですが、セッティングも今まで経験してきたものとは違う、新しいトライが必要だと実感しました。
次の福島に向けて1ヶ月くらいありますから、その間に今回の経験も活かしていろいろと進化させていこうと思います。
宇田圭佑 選手
 【今回の成績 : JN1クラス 優勝】
去年も勝っているのですが、とにかく車の負担が大きいラリーなので、車を労ることが一つ目の課題でした。次に、これまで大事なところで自分のミスが出てしまうことがあったので、それが怖くて終始ミスをしないようにというのが二つ目の課題でした。
マージンが増えてきてからはコ・ドライバーの石川選手に巧くコントロールしてもらって、危ないところは確実に走らせるというかたちで終盤を戦いました。ペースノートにもどんどん情報を追加していって、危ない場所はしっかりチェックして2ループ目でミスやコースオフをしないように気をつけました。
車そのものはほぼ昨年と同じ仕様です。あえて言えば車高を少し上げたくらい。それよりも昨年から人間の方のトレーニングを続けてきていて、昨年の洞爺以降は禁煙をしてランニングと筋肉トレーニングを始めたら体力がついてバテなくなりました(笑)。
次の参戦は第4戦の洞爺を予定しているのですが、効果があるとわかったのでトレーニングも欠かさずに、洞爺で昨年のリベンジを果たします!!
 
AREA GUIDE
四国最大の町、愛媛県の県都である松山市から、ラリーのホストタウンにもなっている久万高原町までは、車で小一時間の距離にある。国道33号は三坂トンネルの開通によって安全性が向上、久万高原町までの所要時間も短縮される効果が出ている。

そしてこの大型連休前には、久万高原町の中心部に「道の駅 天空の郷さんさん」がオープン。広い駐車場や24時間利用可能なトイレといった道の駅としての基本要件に加えて、地元の観光情報発信コーナーや物産販売所、地産地消のコンセプトから地元産の素材で作ったメニューを提供するレストランなどの飲食コーナーも充実している。

大型連休期間中は行楽の途中で立ち寄る車が途切れることなく、時間によっては久万高原町内で渋滞が発生するほどの賑わいに。単なるドライブ途中の休憩ポイントとしてだけではなく、積極的に立ち寄りたい目的地としてお薦めの道の駅である。
 
TECHNICAL INFORMATION
今季のグラベル緒戦も、ターマックでの開幕戦同様に初日と二日目でコンディションが大きく変化する展開となった。路面の石やワダチが掘れたことによって顔を出してくる根石などによりタイヤにダメージを受けてしまう選手も少なくなかったが、全12SSのうち10SSでヨコハマタイヤ勢がベストを奪う速さを見せた。

グラベルということで先頭ゼッケンは砂利かき役を強いられる面があるが、2ループ目でもライバルを寄せつけない速さを装着各車が見せたことは、ADVAN A053の優れたポテンシャルをドライ/ウェット問わず証明したと言えるだろう。

昨年の第3戦・福島で国内ラリーにデビューしたADVAN A053にとって、久万高原は今回が初めての走行。
そんな一戦で奴田原選手組と新井選手組はともに初日を6本のみの使用で走りきって最終的にワン・ツー・フィニッシュを飾り、4年連続でヨコハマタイヤ装着車が久万高原を制覇。
ステージベストも多く奪ったことで、ADVAN A053がグリップ性と摩耗性を高い次元でバランスされていると改めてアピールした大会になった。
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