ホンダの若手ドライバー育成プロジェクトであるHFDP RACINGとして、2012年の第6戦以来の勝利を第3戦で挙げた松下信治選手。
その時はF3-Nクラスだっただけに、プロジェクト発足から初の総合優勝ともなっていた。しかも、勢いに乗って3連勝まで達成。12年のFCJ(フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン)チャンピオンが、ようやく覚醒したのは間違いない。
カートレースやSuper-FJなどを経て、前述のとおりFCJにステップアップ。当時は1年目は勉強に充て、2年以降から勝負をかけるという常識を覆してしまった松下選手。今はスーパーフォーミュラを戦う平川亮選手を下して王座に輝いただけに、まさに鳴り物入りでのF3へのステップアップだった。
しかし、昨年から全日本F3選手権はエンジン規定が変わり、その開発を兼ねての参戦は、ルーキードライバーにはいささか荷が重すぎたのかもしれない。第15戦を除き、しっかり完走を果たして入賞するなど安定感は光っていたが、優勝だけには恵まれなかった。
今年も開幕ラウンドでは2戦ともに4位。苦悩は続くのかと思われたが、積み重ねてきた経験は無駄にはなっていなかった。
ドライビングに幅を増し、エンジン特性も理解。メカニックとのコミュニケーション能力の向上により、セットアップも急激に進んで、最高のクルマに仕上がると3レースともに完璧な展開に。特に第5戦は長い、20周での戦いだったにもかかわらず、最後までプッシュしていったのは高く評価できるだろう。このままランキングのトップを維持できるのか、大いに注目されるところだ。