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Japanese F3 Round 1&2
開催日
2014年4月11日-13日
開催場所
鈴鹿サーキット(三重県)
天候/路面
第1戦 : 晴れ/ドライ
第2戦 : 曇り/ドライ
決勝周回数
第1戦 : 12周
第2戦 : 17周
(1Lap = 5.807km)
参加台数
15台
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激戦区として名高い、全日本F3選手権が今シーズンもいよいよ鈴鹿サーキットからスタートを切ることとなった。
開幕ラウンドに姿を見せたのは15人で、うちF3-Nクラスが6人。ルーキーが5人で、クラスを移ったドライバーや復帰のドライバーもいるため、例年以上に混迷度が高いのが特徴と言えるだろう。

金曜日には練習走行が2セッション行われ、セッション1のトップはFCJ、F4で二冠を獲得してステップアップを遂げた山下健太選手。午後からのセッション2では、その山下選手を抑えて昨年のF3-Nクラスチャンピオンである高星明誠選手がトップで、F3-Nクラスではフル参戦3年目の小泉洋史選手が、経験の差を見せつけるかのように2セッションともトップにつけていた。

土曜日の予選は、10分ずつ10分のインターバルを挟んで連続して行われた。
コンディションにも恵まれるも、チェッカーまで2分を切ったところで赤旗が。そのまま終了になる中、先頭でコースインした高星選手だけが2周アタックすることができ、新レコードタイムとなる1分51秒877をマークしてポールポジションを獲得する。

2番手は山下選手で、3番手はチームメイトの勝田貴元選手が獲得する。2回目の予選は路面状態が悪化、ほとんどのドライバーがタイムを落としたが、山下選手が52秒269をマークしてトップに。これに高星選手、勝田選手が続いてトップ3の顔ぶれは2戦とも一緒になった。

そしてF3-Nクラスでは、ルーキーの久保凛太郎選手が2戦連続でトップに。また2番手は湯澤翔平選手、3番手はFCJからステップアップの女性ドライバー三浦愛選手も、2戦ともに同じポジションからのスタートとなった。

今回は二輪レースも同時開催とあって普段よりインターバルは多く、予選の終了から4時間あまりを経て、第1戦決勝レースが行われた。
注目のスタートを誰より決めたのはポールの高星選手で、山下選手は出遅れて4番手に後退。オープニングラップのうちにひとつ順位を戻すも、まずは高星選手と勝田選手を追いかける展開となる。
山下選手は間もなく前のふたりに接近、まずは8周目の130Rでアウトから勝田選手を追い抜いていく。その間に1秒半のリードを築いた高星選手ながら、やはり徐々に差は詰まる。そして最終ラップの1コーナーで山下選手は高星選手をパス。見事デビューウィンを達成することとなった。

一方、F3-Nクラスでは三浦選手が好スタートを切り、久保選手を従えてトップに浮上。やはり4番手から好スタートを切った、小泉選手と3人で激しいバトルを繰り広げる。
しかし、三浦選手のトップ死守は許されず、6周目に久保選手、そして7周目にも小泉選手にシケインで相次いでかわされてしまう。トップに立った後の久保選手はそのまま逃げ切り、山下選手同様デビューウィンを達成することとなった。

明けて日曜日の午前中に、第2戦決勝レースが行われた。第1戦より5周多い17周での戦いながら、気温で4度、路面温度で10度下がって、それぞれ17度、20度の穏やかなコンディション。これがドライバーの負担を最小限とすることになった。

ポールの山下選手はスタートが苦手を公言するだけあって、またしても出遅れて4番手に後退。1コーナーには高星選手、勝田選手、そして松下信治選手の順で飛び込んでいく。
しばらくこう着状態が続いたが、6周目のシケインで勝田選手がトップに浮上。だが、立ち上がりの加速が鈍り、しかもスリップストリームを使われたことで、すぐに高星選手に抜き返されてしまう。

一方、第1戦の再現のような展開を狙った山下選手ながら、11周に渡って松下選手に封じ込まれ、作戦の切り替えを余儀なくされる。それでも3番手に上がってから、また急接近の山下選手は最終ラップのシケインで勝田選手に迫り、ゴール直前で並びかける。だが、0.05秒だけ及ばず。その間に逃げ切り果たした高星選手が、全日本F3で初めての総合優勝を飾った。

F3-Nクラスではまたも三浦選手が好スタートを切り、久保選手を抑えて1コーナーに飛び込んでいく。予選をスターターのトラブルで走れず最後尾スタートだった小泉選手が5周目には3番手に上がり、また激しいバトルが繰り広げられるものと思われた。
ところが、再三にわたる久保選手の猛攻を、三浦選手は冷静に対処し続けて逆転を許さず。序盤のプッシュが響いて、小泉選手が遅れる中、最終ラップまで諦めず、久保選手はスプーン、シケインでアタックを見せるも、やはり完全に封じ込まれてしまう。
その結果、クラス優勝とはいえ、三浦選手が全日本F3で女性ドライバーとして初の優勝を飾ることとなった。
 
Driver's Voice
山下健太 選手
 【今回の成績 : 第1戦 優勝 / 第2戦 3位】
2戦とも予想どおりスタートがへたくそで、4番手まで落ちてしまいました(苦笑)。第1戦はすぐ3番手に上がれて、その後も前の2台にすぐ追いつくことができ、それまでタイヤマネージメントを意識して走ったことが効いて逆転できました。クルマのバランスはすごく良かったのですが、まさかこんなにうまくいくとは……という感じで嬉しかったのですが、第2戦は3番手に上がるまでに時間がかかり、今度は前の2台に追いつくには周回が足りませんでした。
ともあれ、タイヤの管理やレースペースは問題なかったので、あとはスタートを改善して。それさえできれば、今後もいいところに行けると思います。
高星明誠 選手
 【今回の成績 : 第1戦 2位 / 第2戦 優勝】
第1戦はポールも獲れたし、いいスタートが切れたのですが、セットを間違えたのか中盤あたりから次第に苦しくなってきて。あまりにストレートの差があり過ぎて、トップを守り続けることはできませんでした。
土曜日の夜、チームと僕とでいろいろ考えた結果、とにかくベストを尽くそうと。その結果、トップで1コーナーに飛び込んでいけて。途中、危ないシーンもあったんですが、すぐ抜き返せたし、タイムの落ち幅は僕がいちばん少なかったので、最後はマージンを持って勝てて良かったです。次のもてぎはより予選が重要になりますし、しかも得意のコースなので、また予選から頑張って連勝を狙います。
久保凛太郎 選手
 【今回の成績 : 第1戦 9位(F3-Nクラス 優勝) / 第2戦 10位(F3-Nクラス 2位)】
2戦とも予選でトップが獲れたのですが、スタートは練習で何度も試しましたが、一度もうまくいかなかったので、第1戦では安全策をとったんです。そうしたら1コーナーまでに(三浦)愛ちゃんに先行かれてしまって。近づくとダウンフォースが抜けることに戸惑いつつ、勉強できて徐々に慣れていくうちに、シケインのブレーキングで愛ちゃんとの差が詰まることが分かったんで、思いっきり行きました。その時は嬉しかったんですが。
第2戦はスタートを失敗していないのに、愛ちゃんの方がめちゃくちゃ良かったですね……。なかなか抜けずにいるうちにマシンのバランスが変わり、自分もミスを連発するようになって、結局抜けなくて。次のもてぎはSuper-FJで走り込んでチャンピオンを獲ったコースなんで、バトルを仕掛けるところなどアドバンテージがあるんじゃないかと思います。
三浦愛 選手
 【今回の成績 : 第1戦 11位(F3-Nクラス 3位) / 第2戦 9位(F3-Nクラス 優勝)】
第1戦も3位で表彰台に上がれて嬉しかったんですが、ミスも多かったので、改善すべき点は意識しつつ第2戦を走りました。
とにかく今までやったことを全部出し切れるよう、納得のいく走りができた結果、スタートで第1戦同様トップに立つことができて、その後も久保くんと小泉さんが着いたり離れたり、けっこうプレッシャーも感じていたんですが、安定した走りができたので、優勝という結果には満足しています。
自分としてはデビュー戦で3位表彰台、2戦目で優勝ということで、少し流れが良すぎるようで、ちょっと怖いんですけれど、まだまだ次に向けてやることはたくさんあるので、次も優勝目指して頑張りたいと思います。
 
TOPICS
1979年から始まった全日本F3選手権の長い歴史の中でも、数えるほどしか出場していない女性ドライバー。ただし、そのいずれも話題性だけでなく、実力も兼ね備えていたものの、'84年に吉川とみ子が4位に上がったのが最上位で、これまで誰も表彰台に上がったことはなかった。

だが、F3-Nクラスという区分こそあれど、その表彰台にいきなり三浦愛選手が第1戦で上がったばかりか、第2戦で優勝すら飾ることに。歴史に新たな一章を加えることとなった。

カートレースからスタートして、フォーミュラでのデビューは'11年のSuper-FJ。コンスタントに入賞は果たすも表彰台には恵まれず、鈴鹿シリーズでのランキングは10位に。だが、周囲の期待を表すように12年からFCJにステップアップして2年間フル参戦し、F4にもスポットで参戦した。

そして今シーズンは全日本F3のNクラスに戦いの場を移したが、FCJなどに比べてセッティングの自由度も増して個性を伸ばせることもあり、このステップアップは三浦選手にとって大正解となった。メンテナンスを担当するTODA RACINGは長い歴史の中で、数多くのドライバーを育て、ドライバーの能力を引き出す力に長けている。まさに適所に身を置いたことで、本領を発揮できたということになろう。

予選前には「最低でも完走、できれば表彰台に立ちたい」と語っていた目標は「次も優勝を目指して頑張りますし、こうなったらチャンピオンも目指します」と上方修正。実はFIAソーラーカーレースでは優勝の経験もあり、「世界の頂点」も垣間見た存在。次はフォーミュラでも頂点を見てほしいものだ。
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