「スポーツカーの聖地」とも称される、ドイツのニュルブルクリンク。世界中の自動車メーカーが、このコースで運動性能を鍛え上げ、記録されたラップタイムは大きな勲章ともなる名門サーキットだ。もちろんタイヤメーカーにとっても、特にハイパフィーマンスタイヤの開発においては重要な位置づけとされており、ヨコハマタイヤも長年にわかって開発のステージとして活用しており、現在はテストセンターを常設している。
このニュルブルクリンクを代表する一戦といえば「ニュルブルクリンク24時間レース」。その名の通りスタートからフィニッシュまで、丸一昼夜を走り続けるタフなレースであるが、フランスのル・マンで開催されているものがプロトタイプカーを主役とするのに対して、ニュルブルクリンクはツーリングカーが主役となり、さらに門戸も広いという特徴がある。
昨今は自動車メーカーの存在感も高まってきているニュルブルクリンク24時間だが、1970年の第1回が開催された時から参加型レースとしてのコンセプトは一貫しており、現在でも手弁当で集まったレース愛好家のプライベートチームも多く参戦している。
一方で年に一回のお祭りとなる24時間レースに対して、一年を通じたシリーズ戦として開催されているのが「VLN(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)」。2013年は全10戦のカレンダーで、決勝レースは基本的に4時間。第6戦のみが6時間に設定されている。
このシリーズも、毎回150台から200台という大量のエントリーを集めて人気を博している。その背景には、24時間レースに参戦するための資格を得るにはVLNでの実績が必要となることや、自動車メーカーや主力チームにとっては良い実戦テストの場となっていることもあるが、なによりも耐久レースが幅広いユーザーに根付き、支持されていることの現れであると言えるだろう。
両レースともにクラス区分は細かく規定されており、オールドファンが喜ぶようなネオヒストリックから、最新・最先端技術を詰め込んだマシンまで多種多様なエントリーを集めるニュルブルクリンクでの耐久レース。
今後も、ハイブリッドなど自動車の新しい技術開発において、ニュルブルクリンクでの耐久レースは大きな意義を持ち続けることになるだろう。