世界の各地でシリーズが開催されているF3(フォーミュラ3)。その中で、2013年はドイツ国内の主要サーキットを中心に、ベルギーのスパ-フランコルシャンを加えた全9大会で競われるのがフォーミュラ3カップ・ジャーマニーだ。
F3はFIA(国際自動車連盟)が定義しているが、ドイツの場合はそれをベースにして2011年以前の旧型シャシーを使用している。世界的にF3のシャシーはイタリアのダラーラ製が大半を占めているが、その点はドイツも同じ。その上で2つのクラスが設けられており、独特の運用がなされている。
メインとなるフォーミュラ3カップは、2008年から2011年までのシャシーにフォルクスワーゲン製のエンジンを組み合わせる。このエンジンには走行中にボタンを押下すると一定の時間だけ20馬力パワーアップする“Push-to-Pass”が備わっており、F1で2009年から採用されたKERSのようにレース中のパッシングで用いることが出来る。
もうひとつのフォーミュラ3トロフィーは、2002年から2011年までのシャシーが対象となり、エンジンは4気筒・排気量2,000ccまでのF3規定に合致したものを自由に組み合わせることが可能。こちらにはフォルクスワーゲンのほか、メルセデス-ベンツやオペルのエンジンを用いるユーザーも存在している。
なお、両クラスともに最低重量は、ドライバーを含めて565kgと定められている。
レースフォーマットは3Dayスタイルで、1大会に3回の決勝レースが行われる。
1日目は45分間のフリー走行を行った後に、各選手は公式予選へと臨む。この予選結果順にスターティンググリッドが配されて、2日目の第1レースは30分間の決勝となる。続いて2日目は第2レースが20分間で行われるが、こちらのスターティンググリッドは第1レースの結果に基づいた上で、上位8台がリバースグリッドで配される。
そして3日目には再び30分間の第3レースとなるが、このスターティンググリッドは公式予選でのセカンドベストタイム順となる。
各レースのポイント配分は、第1レースと第3レースがWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)などと同様に、優勝・25点から10位・1点まで。第2レースのみ得点は小さくなり、優勝・10点から8位・1点までとなる。また、第1レースのポールシッターには1点、各レースのファステストラップには2点が与えられる。
過去、1990年にはミハエル・シューマッハー選手がチャンピオンを獲得し、マカオグランプリでも優勝を飾ってF1へのステップアップを果たした。同様に1996年にはヤルノ・トゥルーリ選手、1997年にはニック・ハイドフェルド選手がチャンピオンに輝き、F1への飛躍を遂げている。2012年には日本から佐藤公哉選手が参戦、4勝を挙げてシリーズ3位を獲得している。