日本でレーシングカートの競技が本格的にスタートしたのは1961(昭和36)年。以来、黎明期のJKA(日本カート協会)を経て、1972(昭和47年)からはJAF(日本自動車連盟)が統括する下で翌'73年には全日本カート選手権が産声をあげて、今日に至っている。
カートは4輪のモータースポーツと比べれば、身近さや敷居の低さが大きな魅力となる。ワンボックスのバンでマシンを運ぶ事が可能であり、メンテナンスや保管に必要なスペースも4輪と比べれば圧倒的に小さい。
ゆえに純粋なホビーとして楽しむ選手も多いが、一方で競技としては4輪に引けをとらないハイレベルかつ熾烈な戦いの舞台でもある。
国内レーシングカートの最高峰に位置する全日本カート選手権。中でもKF1部門は最高峰クラスであり、2011年に設立された国際規則を日本も一年遅れで採用する運びとなった。ゆえに昨年まではSuperKFと呼ばれていた部門が、今年からはKF1部門という名称に改められた。
SuperKFとの変更点はエンジンに関する規則。KF1は水冷2ストロークで排気量125ccとなり、機種やチューニングは自由とされている。この点では次位クラスのKF2部門も同等のエンジンを用いるが、こちらはリストリクターなどでパワーが制限される。
また、KF1はシャシーやタイヤも自由であり、一流カートドライバーがテクニックの応酬を展開するのみならず、マシンやタイヤのポテンシャルも試される熾烈なコンペティション・ステージとなっている。
そして、近年ではトップレーシングドライバーにもカート出身者が多く、幼少期から英才教育を受けたという選手も珍しくなくなってきたが、そんな将来のトップドライバーを目指す子供たちが戦っているのがJAFジュニアカート選手権。
ここにはFP-Jr.(フォーミュラピストン・ジュニア)とFP-Jr.Cadets(フォーミュラピストン・ジュニア・カデット)という2つの部門が設けられている。そのうちのFP-Jr.Cadetsは、10歳(10歳の誕生日を迎える当該年)以上、13歳未満の選手に参加が限られており、もっとも若い年齢で出場できるJAF公認競技会ということになる。
シリーズは東地域と西地域の2つ、これらは重複参加やシリーズ途中での変更は認められていない。2012年シリーズでは東西ともに各5戦のカレンダーが組まれている。また、両地域シーズンの終了後には東西統一競技会も催され、ここではジュニアカーターの日本一を決める戦いが繰り広げられる事になる。
マシンは両シリーズ共通でJAFが公認するギアボックス無しの単気筒空冷2サイクルエンジンが搭載され、その最大排気量は100ccと定められており、現在はヤマハ製が使われている。
タイヤもワンメイク制度が導入されているようにイコールコンディション化が厳密に図られており、ジュニアカーター達は必然的にマシンの性能差ではなく自らのドライビングテクニックで勝負をするようになる。そのため、若いうちからスピード感やドライビングテクニック、レースマネージメントなどを磨けるほか、大人たちと一緒にシリーズを戦う事によって礼儀作法などもわきまえることが出来ると言われている。