日本でもSUPER GTやスーパー耐久でお馴染みの存在となりつつある、FIA GT3マシン。
自動車メーカーや、メーカーの公認を受けたチューナーが市販の2ドアスポーツモデルをベースに仕立てたレーシングマシンについて、FIA(国際自動車連盟)の公認を受けたマシンのことである。
車種のバラエティが多彩になると、車種間の性能格差が問題となるのはモータースポーツの常でもあるが、GT3についてはFIAがそれぞれを中立な立場でテストし、重量やリストリクター径などで性能調整を行う。こうすることで個々の車種の個性を守りつつ、性能の均衡を図ることでレースは白熱した展開となるのが、FIA GT3の大きな特徴と言えるだろう。
このFIA GT3車両を使うレースシリーズは増加の一途にあるが、ドイツを中心に展開されているのがADAC GT-Masters。モータースポーツの統括機構は、国際的な組織であるFIAを頂点として、その下に各国を統括するASNが存在しているが、日本ではJAF(日本自動車連盟)が担っているその役割を、ドイツで受け持っているのがADAC(ドイツ自動車連盟)だ。
ADAC管轄の下で展開されるGT-Mastersは2007年に発足。以来これまで毎回40台を超えるエントリーを集め、テレビでの生中継なども通じてヨーロッパで多くのモータースポーツファンから注目を集め続けている、とても成功しているシリーズである。
前述のように大きな魅力のひとつが、バラエティ豊かな参戦マシンの顔ぶれ。アルピナ、BMW、マクラーレン、アストンマーティン、シボレー、ダッヂ、フェラーリ、ランボルギーニ、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、フォード、アスカリ、そして日本からも日産という名だたるメーカーが車両をプロデュースしており、サーキットは憧れのスポーツカーが共演する大舞台となっている。
レースは1大会2レース制となり、各60分の決勝を2人のドライバーで戦うフォーマット。ドライバーはプロフェッショナルとアマチュアの組み合わせとなり、元F1パイロットやDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)などで名を馳せた選手も顔を揃える。
ポイント制度はF1やWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)と同様に、優勝に25点、準優勝に18点、以下10位の1点までが配点されるシステム。このポイントに基づいてシリーズチャンピオンが競われているほか、チーム部門やアマチュアドライバー部門のランキング争いも熾烈なものが演じられる。
2012年は4月のオッシャーズレーベンを皮切りに、全8大会/16戦のカレンダー。第2戦のオランダ・ザントフォールトと第5戦のオーストリア・レッドブルリンクを除いてドイツ国内を転戦するかたちとなり、24時間レースでもお馴染みのニュルブルクリンクでは2大会が開催される予定となっている。