カレンダーも10月最後の週に入り、いよいよ2年目となる日本でのWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)が開催されるレースウィークとなった。
発表されたエントリーリストによると、参加台数は総勢27台。
この中には荒聖治選手/谷口信輝選手/加納政樹選手という日本人ドライバーや、SUPER
GTで活躍するJ-P・デ・オリベイラ選手といった顔ぶれも含まれている。
今年も全12大会/24戦でタイトルが競われているWTCCだが、シーズンとしては岡山とマカオの2大会/4戦を残すのみ。終盤戦の日本ラウンドは、シリーズタイトル争いの上で非常に重要な位置づけとなる。
この岡山にチャンピオン獲得の権利を持って乗り込んで来るのは、昨年よりも少ない3人のドライバー。
セアト勢からガブリエレ・タルクィーニ選手とディフェンディングチャンピオンのイヴァン・ミューラー選手、そしてBMWのアウグスト・ファルファス選手である。
まさに三つ巴の戦いとなっているが、ファルファス選手はイタリアで第1レースをリタイア、第2レースは8位という成績に終わっているため、ポイント的には岡山でセアトの二人を上回る好成績がチャンピオン獲得の絶対条件。岡山を終えて点差が20以上に開くとチャンピオン獲得の可能性が無くなるだけに、他の誰よりも重要な一戦となる。
このためチャンピオン奪還に向けてBMW陣営は、ファルファス選手を他の選手もサポートする体制で臨むことになる。
例えば予選は、今年は実施方式が変更されて走行時間が短くなっているが、ファルファス選手の上位グリッド獲得に向けて、BMW陣営としてスリップストリームをファルファス選手に効果的に使わせるようなフォーメーションを組んでくることなどが予想される。
昨年は初めての開催ということに加えて、天候が不安定だったという要因もあってか、結果としては過去に日本のレースに参戦の経験を有しているリカルド・リデル選手とトム・コロネル選手が優勝を飾った。
今年も主要選手が口々に「岡山は誰もにイコールな戦いになる」と語っているように、やはりまだ開催2年目ということでレギュラードライバーにとっても経験値が少なく、チームとしてもデータが少ないコースだけに優勝の行方を予想するのは難しい。
ただ、昨年と大きく異なるポイントとしては、個々の獲得ポイントに応じてウェイトを搭載するサクセスバラスト制度が廃止されて、今季は車種毎の調整を目的とした補正ウェイト制度が採用されていることを忘れてはならない。
昨年の岡山に参戦する時点で、セアトのイヴァン・ミューラー選手とガブリエレ・タルクィーニ選手は70kg、シボレーのニコラ・ラリーニ選手は68kg、同じくシボレーのアラン・メニュ選手は64kg、BMWのアンディ・プリオール選手は66kgと、主力選手たちは軒並み大きなウェイトを搭載していたのである。
これが今年は車種毎のウェイト搭載となるため、シリーズランキングの上位に名を連ねる選手たちも戦う条件としては重さに苦しめられることが無くなった。
もちろん何が起こっても不思議ではないWTCCだけに、単純にこのウェイトだけを採り上げて有利・不利を断じるのは短絡的かもしれないが、今年は前述のように三つ巴のタイトル争いが佳境を迎えているだけに、ランキング上位選手たちの激しいトップ争いが展開される可能性は非常に高い。
前売り観戦券も昨年以上に好調な売れ行きと伝えられている「FIA WTCC Race of
JAPAN」。
今年はアジア・ル・マンやF4日本一決定戦なども併催されるこの週末。ぜひ多くの方に岡山国際サーキットへ足を運んでいただき、世界最高峰のツーリングカー・バトルをはじめとした、バラエティ豊かな開催レースを生でお楽しみいただきたい。