いよいよ2009年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)も、ヨーロッパラウンドの最終戦を迎える。
舞台はイタリアのイモラ・サーキット。昨年はジェームス・トンプソン選手が駆るホンダ・アコードがWTCCで初優勝を飾ったことが記憶に新しいところだ。
前戦・ドイツでは下馬評通りに強さを見せたのがBMW勢。
アウグスト・ファルファス選手とアンディ・プリオール選手が優勝を分け合った一方で、ここまでランキングリーダーの座を守ってきたセアトのイヴァン・ミューラー選手は第1レースでリタイア、第2レースでも7位入賞に留まるという厳しい結果の週末になってしまった。
この結果がタイトル争いに与えた影響は決して小さくない。
ランキング争いでは遂にミューラー選手がトップから陥落、同じセアトのガブリエレ・タルクィーニ選手にその座を明け渡してしまった。
さらに、アウグスト・ファルファス選手が僅かに1点差の2番手に躍進。アンディ・プリオール選手もトップとの点差はまだ小さくないものの、4番手にポジションを上げて計算上はチャンピオン奪還の望みをつないでいる。
もちろんオッシャーズレーベンでの好成績はマニュファクチャラーズタイトル争いのランキングにも面白みを増した。
順位は変わっていないものの、トップのセアトに対して2位のBMWが一気に1点差へと詰め寄った。セアト勢のディーゼルターボパワーに押され気味だったBMWの復活は、終盤戦に入ってメーカーの威信を賭けた戦いがますます白熱することを予想させる。
接戦模様が終盤戦に入って色濃くなってきたWTCC、ゆえにその勝者を予想するのは難しい。
ただ、ドイツ戦で地元のBMW勢が好調だったことをひとつのヒントとして捕らえれば、"地元"をキーワードにイタリア出身のドライバーに注目してみるのも面白いだろう。
マニュファクチャラー勢でイタリア人ドライバーは、ランキングトップに立ったセアトのガブリエレ・タルクィーニ選手、BMW Team Italy-Spainのアレッサンドロ・ザナルディ選手、そしてシボレーのニコラ・ラリーニ選手だ。
中でもザナルディ選手の所属するチームはBMW Team Italy-Spain。2008年の第9戦・チェコ以来となるWTCCでの通算4勝目に期待する地元応援団の声援も強い味方になってくれるかもしれない。
なお、ニコラ・ラリーニ選手については2つのニュースが。
ひとつはイモラ戦に弟のアンドレア・ラリーニ選手がスポット参戦することになった。
これはセアト・ユーロカップで好成績をおさめたことに対する"ご褒美"であり、SUNREDエンジニアリングからセアト・レオンでの出場となる。
もうひとつのニュースは、ニコラ・ラリーニ選手がドイツでのラーダとの接触行為に対して厳しいペナルティを科せられたというもの。既にドイツ戦の結果についてはドライビングスルーペナルティが科せられ、レース終了に伴う未消化に対しては決勝結果に30秒加算の処置がとられた。
さらに今後3レースについても10ポジションの降格という厳しいペナルティーが科せられることになってしまった。
最後にYOKOHAMAインディペンデントトロフィーの展開についても触れておこう。
こちらもドイツ・オッシャーズレーベンの結果によって、ランキングの変動が生じた。日本でもお馴染みのトム・コロネル選手がランキングリーダーの座を奪い返したのである。
昨年は初開催となった岡山での日本戦で堂々の総合優勝も飾ったコロネル選手だが、前回のプレビューにも記したようにスポンサー撤退という厳しい状況から日本とマカオの参戦については流動的な部分が残されている。
なんとか最終戦まで参戦を続けて、インディペンデントトロフィーを賭けた熱い戦いの主役を演じてもらいたいものである。