前戦イギリスのブランズハッチを終えて、WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)は毎年恒例の長い"夏休み"に入っていた。
およそ1ヶ月半ぶりのレースとなる第17戦&第18戦の舞台は、ドイツ・オッシャーズレーベン。
白熱のシーズンもいよいよ残すところ4大会/8戦、特にヨーロッパラウンドについて言えばこのドイツを戦い終えて二週間後に開催されるイタリア・イモラ戦が今季のファイナルステージとなる。
さて、長かった"夏休み"の過ごし方はドライバーによって人それぞれだったようだ。
例えば現在ドライバーズランキングで8位につけているセアトのティアゴ・モンテイロ選手は、8月頭に地元ポルトガルで開催されたル・マンシリーズの一戦に出場して3位表彰台を獲得。
今季からラーダで参戦しているジェームス・トンプソン選手は、WTCCと並行してシリーズ参戦しているデンマークのツーリングカーレースで見事に優勝。こちらのシリーズはホンダ・アコードで戦うトンプソン選手はチャンピオン獲得の可能性が更に高まったのだという。
さらにYOKOHAMAインディペンデントトロフィーを戦っているトム・コロネル選手とフランツ・エングストラー選手は、マレーシアで開催されたMMER(Merdeka Millennium Endurance Race)に参戦。
日本からも多くのチームやドライバーが出場、今季はスーパー耐久でもお馴染みのBMW
Z4M COUPEで参戦するPETRONAS TEAMが優勝したことが記憶に新しいが、コロネル選手はポルシェで木下隆之選手/羽根幸浩選手とともに出場。
エングストラー選手も昨年のWTCCにスポット参戦した加納政樹選手らとポルシェで参戦したが、残念ながら両者ともにトラブルに泣く結果となってしまった。
コロネル選手の話題をもう少し紹介すると、MMERを終えた後に参戦したのはニュルブルクリンクでの1000km耐久レース。
こちらではSpyker C8 Laviolette GT2Rを駆って堂々の2位表彰台を獲得。
ところが、この嬉しいニュースの直後に気になる一報が入ってきた。それはセアト・オランダがコロネル選手に対するスポンサードを欧州ラウンド最終戦となるイモラを持って打ち切るというもの。
岡山とマカオ、アジア地区での2大会への参戦にとっては流動的な要素が生じてしまったが、コロネル選手自身は「岡山とマカオも戦えるように予算を組んでいく」と力強く語っている。
話題をWTCCに戻すと、ドイツでの一戦ということで地元・BMW勢の動向がやはり気になるところ。
2005年のWTCC発足から戦いの舞台となっているオッシャーズレーベンだが、やはり地元ということでBMWが強さを見せ続けているコースだ。
具体的には昨年までの4シーズンで全8レースが開催されているうち、実に2007年の第1レースでセアトのイヴァン・ミューラー選手が優勝した以外、残りの7レース全てをBMW勢が制している。
勝利数で見ると、アウグスト・ファルファス選手とアンディ・プリオール選手がともに2勝ずつをおさめ、フェリックス・ポルテイロ選手、ヨルグ・ミュラー選手、アレッサンドロ・ザナルディ選手が各1勝となっている。
今季のタイトル争いはイヴァン・ミューラー選手がトップの座を守り続けているが、ブランズハッチで2レース合計2点しかミューラー選手が加算出来なかったのに対して、BMW勢トップのファルファス選手は第2レースでの優勝もあって11点を加算。
順位は3番手と変わらなかったものの、ミューラー選手との得点差を詰めたのはもちろん、2番手のガブリエレ・タルクィーニ選手に対しては僅かに1点差にまで迫っている。
シリーズ争いは今年も最終戦まで白熱した展開が続くことになるだろうが、BMW勢にとってはタイトル奪還に向けて最も重要な一戦がこの週末に開催されることになる。