2009年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)も折り返しを過ぎてカレンダーは後半戦に突入。
この週末にはポルトガルの市街地特設コースを舞台にした戦いが行われる。
市街地レースということで勝者を予想するのは非常に難しいが、前回2007年に開催された大会を振り返ってみるとシボレーの強さが目立っている。第1レースでは表彰台を独占、リバースグリッドでスタートした第2レースでも3位を獲得するなど、大きくポイントを稼いだ一戦であった。
前戦チェコでは第1レースで、まさかの3台全車がリタイアという悪夢に襲われたシボレー勢だが、ポルトガルと同じ市街地レースであったフランスでは連勝を飾っているだけに、巻き返しに期待が高まる。
そして今回のポルトガルで最も注目を集める存在と言えるのが、今季からマニュファクチャラー参戦を開始しているロシアのラーダ。
事前にアナウンスされていた通り、このポルト戦からマシンを新型の「プリオラ」にスイッチする。
「プリオラ」はラーダの主力モデルで、4ドアセダンと5ドアハッチバックのボディをラインナップ。もちろんWTCCでベースとされるのは4ドアセダンの方で、まずは先行して1台を投入する模様だ。
この先行投入されるプリオラを駆るのが、ジェームス・トンプソン選手。昨年はN.テクノロジーからホンダ・アコードで参戦、イタリア・イモラではアコードをWTCC初優勝に導いたドライバーである。
今季はN.テクノロジーのWTCC撤退に伴って、WTCCのシートを喪失していた。もちろんDTC(デンマーク・ツーリングカー選手権)などを舞台に活躍を続けているが、待望のWTCC復活を果たすことになった。
欧州のメディアに対しても「WTCCに再び参戦することになり、とても興奮している」と語ったトンプソン選手。
まずは先行投入される新型車の熟成開発が急務となるが、ラーダにとっては頼もしい味方を獲得したことは間違いない。オッシャーズレーベンからは残る2台も「プリオラ」にスイッチされるとのことなので、それまでの間にトンプソン選手とラーダの開発陣がどこまで新型車の戦闘力を高められるのかが注目である。
なお新登場となる「プリオラ」については、規則に従いまずは40kgの補正ウェイトが課せられることになる。