前戦、欧州ラウンドの緒戦となったフランス戦は、WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)史上稀にみる大混乱の一戦となった。
既にお伝えしたように、市街地レース特有のアクシデントやクラッシュが続出する展開に加えて、第2レースではセーフティカーとトップの車両が激突するという前代未聞の事態が発生した。
この事態を重く見たWTCCオーガナイザーは原因を調査し、 セーフティカーが競技長の指示を待たずにコースへと進入してしまったことが要因であるという結論となった。
既にフランスのモータースポーツオーガナイズ団体や関係者には、WTCCオーガナイザーから再発防止のために厳しい申し入れがされたとのことである
さて、このアクシデントに加えて、フランスでは車両規則の問題も混乱の一因となった。
メキシコ戦ではディーゼルターボエンジンを積むセアトの1台が、ターボチャージャーの過給圧規定違反を問われて、レース除外という厳しい裁定を受けた。
しかし、フランスでは状況は更に複雑化。
公式予選ではディーゼルターボ車の過給圧、さらにガソリンエンジン車のエンジン回転数、それぞれの上限値を超える車両があったとして、多数の車両にペナルティが課せられたのである。
そして、実は決勝レース終了後の車両検査においても、これら規定に則していない車両が何台か確認されている。
ところが今回はセーフティカーと競技車両の事故などがあって混乱を極めたことから、ペナルティやレース除外といった措置はとられずに、次戦以降での改善が指示されたに留まったのである。
単一車種によるワンメイクレースを除いては、このような車両規則に関する問題はどのカテゴリーでも大なり小なり起きうることである。
ただし、問題が複雑化していくとレースカテゴリーの存続に関わる事態になりかねないだけに、早急に解決することが望まれるところだ。
さて、今週末開催されるWTCCの舞台はスペインのヴァレンシア。
ここまでシボレーが今季デビューしたばかりのニューモデル「クルーズ」で4連勝と勢いにのっている。
しかし優勝にこそ手が届いていないものの、ここに来てBMW勢も上位に顔を見せるようになってきており、ヴァレンシアで最大の注目点は「BMWの今季初優勝なるか」に尽きる。