メキシコでの第2大会からやや長いインターバルをはさんだWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。
第3大会(シリーズ第5戦&第6戦)は、WTCC初上陸となるモロッコのマラケシュを舞台にして開催される。
モロッコでの世界選手権開催は、レースは1958年のF1グランプリ以来となるので実に半世紀ぶり。ラリーを含めても最後にWRC(世界ラリー選手権)が開催されたのは1976年なので、既に30年以上も前のことである。
WTCCとして初めての開催になるモロッコはそれだけでも大いに注目を集めるところだが、更に白熱した戦いを期待させる。
それは、このレースがマラケシュ市街に設けられた特設コースを使ってのストリートレースだからである。これまでもフランスのポーやマカオでストリートレースを行っているWTCCだが、エスケイプゾーンがほとんどないチャレンジングなコースで繰り広げられるアグレッシブなバトルは、まさにWTCCの醍醐味そのものと言えるだろう。
序盤2大会を振り返ると、4戦全てをセアト勢が制して昨年に引き続き強さを見せつけている。
しかしメキシコでは優勝にこそ届かなかったものの、BMW勢も大いに健闘。第3戦ではアウグスト・ファルファス選手が2位、アンディ・プリオール選手が3位を獲得し、続く第4戦でもアンディ・プリオール選手は2位表彰台に立っている。
なおBMWのマニュファクチャラー勢は、モロッコ大会からボンネット/フロントバンパー/ヘッドライトを新しいパーツに変更する。これは市販モデルのマイナーチェンジに伴うもので、機能的な面よりは視覚的な理由が大きいようだ。
今季からニューモデルであるクルーズを投入したシボレー勢は、マシンが熟成過程という感も否めないが、その中でもニコラ・ラリーニ選手が第3戦で8位に食い込んでクルーズで初めてのドライバーズポイントを獲得した。
さらに今季からマニュファクチャラー登録で本格参戦を開始したラーダは、地道に戦闘力を高めてきている。エース格のドライバーであるヴィクター・シャポヴァーロフ選手も「メキシコでは3台が全て完走を果たして信頼性を確認し、ポテンシャルを見せることができた。これからの進化に向けて必要なポイントも見えたので、マラケシュでの戦いを楽しみにしている。」と語っている。
3月31日にはラーダ・AUTO VAZの工場をロシア連邦のウラジミール・プーチン首相が訪問。コクピットに座るなど興味深そうにWTCCマシンも見学し、ラーダの好成績に期待する旨をコメントした。
なおラーダはモロッコ大会に先立って、話題の新型車・プリオラを7月のポルトガル大会から投入すると発表。空力性能を重点的に高めて開発されたという新車のデビューも待ち遠しいが、ちょっと懐かしい趣を感じされる現在の110の走りも今のうちにしっかりと記憶に留めておきたいところだ。
さて、今週末のモロッコ大会からは、今季から導入された「補正(カンペンセイト)ウェイト」制度が実施に移される。