南米・ブラジルで開幕を終えたWTCCは昨年同様にメキシコに転戦して第2大会を開催する。
舞台はプエブラ・サーキット。オーバルとインフィールドのテクニカルエリアを組み合わせた全長3,240mのコースは、標高2,200mという高地という特異なロケーションであることも特徴だ。
既にマシンは空路でメキシコへと運ばれレースウィークに突入、今はまだ静かに戦いの時を待っている。
先の開幕戦は結果的にセアト勢の圧勝に終わった。
もっとも第2レースはウェットにコンディションが転じた上、安全確保のために本来はスタンディングスタートのところをセーフティカー先導によるスタートとされた。これは前方グリッドに陣取ったFR(後輪駆動)のBMW勢に少なからず影響を与えたであろうことは、優勝したガブリエレ・タルクィーニ選手自身も認めている。
しかしこうした条件を差し引いて考えても、やはりセアト勢の速さは"ホンモノ"と見て良いだろう。
今期から導入された補正ウェイト制は過去の結果に応じる制度のため、適用が開始されるのは第3戦のモロッコ大会から。すなわち開幕大会、そして次に控えるメキシコ第2大会では適用されないため、各マシンの純粋なパフォーマンスを見て取れることになる。
こうした背景の下、予選から圧倒的な速さを見せたセアト勢がメキシコでも主役となるであろうことは容易に想像できる。
昨年のメキシコ大会を振り返っても、開幕2戦を制したセアトの勢いは留まることなく、第3戦/第4戦も完勝。結果的に4戦を終えてSEAT
Sportの5選手中、4選手が優勝を分け合う格好となった。
その点、今期は昨年のようなドライバーの戦績に応じたサクセス・バラスト制ではないことから、開幕を制した昨年のシリーズチャンピオンであるイヴァン・ミューラー選手や、第2戦の覇者・ガブリエレ・タルクィーニ選手が連勝を飾る可能性も高い。
果たしてここで連勝を飾って、このまま昨年同様に勢いを増す結果となるのであろうか。
もちろん対するBMWやシボレー勢は巻き返しを図りたいところ。
中でも注目は今期ニューモデル「クルーズ」を投入したシボレー勢のニコラ・ラリーニ選手だ。
昨年の大会では予選で2番手タイムをマーク。決勝でも波乱のレースを生き残って3位表彰台を獲得している。
さらに他のシボレー勢もロブ・ハフ選手は予選4番手、アラン・メニュ選手は予選5番手を獲得して決勝に臨んでいる。決勝ではアクシデントに沈んだ両選手だったが、予選結果を見る限りはシボレー勢にとって相性は決して悪くないコースのようだ。
ただし今期からニューモデルにスイッチしているため、フィードバック出来るデータの蓄積などという面ではハンディを背負っている面もある。果たしてシボレー勢どのようにプエブラを攻略してくるのか、注目したいところだ。
メキシコラウンドはヨーロッパ以外でのラウンドということで3日間のスケジュールで開催される。
20日(金)の現地時間15時(日本時間 : 21日 6時)から30分間のテスト走行で幕開け。翌21日(土)は朝と昼に30分間のフリー走行を1本ずつ行った後、現地時間16時(日本時間
: 22日 7時)から公式予選がスタート。
そして23日(日)の決勝は第3戦が現地時間12時20分(日本時間 : 24日 3時20分)から、第4戦は現地時間15時50分(日本時間
: 24日 6時50分)から、それぞれ16周で競われる。