香港から高速船でおよそ45分、珠江の河口西南岸に位置する半島と島から成る地、そこが「マカオ」。
ポルトガル領として観光と貿易を主な産業として栄え、1999年の中国返還以降も西洋と東洋の文化がミックスされた独特の風情をもつ地域として、多くの観光客を集めている。
そんなマカオが一年に一度、オイルやタイヤの焼ける匂いと勇ましいエギゾーストノートに包まれる時がある。
マカオグランプリ。
1954年に産声を上げたレースは、市街地の公道を封鎖した特設コースで競われる一戦。
狭くウネリのある路面、左右はガードレールが並び、エスケイプゾーンは皆無。すなわち、ワンミスが命取りとなるドライバーにとっては一寸たりとも気を抜けない戦いになる。
現在のマカオではレースウィーク中に四輪、二輪を合わせていくつかのカテゴリーが開催されているが、メインレースは2つ。
ひとつはツーリングカーの最高峰、「FIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)」の一戦で、難攻不落の市街地コースを舞台に、いつも以上に激しい超接近戦が繰り広げられる。ご存じの通り、このWTCCはADVANがワンメイクタイヤに指定されている。
そしてもうひとつが「FIAインターコンチネンタルカップ F3レース」。
世界各国でシリーズ戦が開催されているフォーミュラ3(F3)で好成績をおさめた選手が一同に集まり、覇を競い合う一戦。
広く「F3世界一決定戦」として知られているが、この戦いをステップにしてフォーミュラ1(F1)へと羽ばたくドライバーも多い。