Close Up Development(ドライビング・グローブ編)
  ドライバーのニーズを可能な限り実現したい。

  開発スタッフがまずはじめに着手したのは、「ドライビング・グローブ」に求められる
  ニーズの把握でした。

  このコーナーでは開発秘話やその歩みを振り返ります。

 
 
  理想像の探求
  
   
   ドライビング・グローブに求められるニーズは、ユーザーインタビューから、@フィット性、A耐久性、B快適性の3点に集約
   されました。 
これらのニーズを高い次元で融合させることができれば、きっと良いものができる。

   私たちはその理想像に向かって開発をスタートさせました。

  二律背反ニーズの両立
 
 
   理想像に向かって開発はスタートしたのですが、試作を重ねるにつれそれぞれの
   ニーズは、互いに相反することがわかってきました。

   ステアリング操作や、シフト操作を確実に行うためには、素手に近いフィット感は
   譲れないポイントです。一方ハードなステアリング操作に耐える耐久性や、着脱
   がスムーズにできる快適性も譲ることはできません。

   しかし、現実には、フィット感を追求すると、柔らかくしなやかな素材を採択し、且
   つ素材の厚みも薄く抑える必要があり、耐久性と相反することになります。

   また、よりダイレクトなフィーリングを求めるなら、グローブ自体の型をタイトに仕上
   げる必要があり、これは、着脱など快適性を損ねることを意味します。

   私たちはこの二律背反する問題をどうすれば解決できるのか?その解決方法に
   ついて検討を重ねていくことにしました。

  フィット性


  
   耐久性を重視するには厚めの牛革のほうが良いのですが、繊細な素肌感覚を
    実現するには、薄手のしなやかなシープスキン (羊革)のほうが断然有利です。

   私たちは、試行錯誤の上、最終的にメイン素材としてシープスキンを採択しました。

   そしてシープスキンのしなやかさとステアリングに吸い付くような感触の実現に
   保湿成分であるオイルを混練しました。丁寧に革に馴染まされたオイルにより、
   素手以上ともいえる抜群のステアリングフィールを味わうことができます。

   次に、厚さを何ミリにするか? フィット性だけを重視するのであればゴルフグロ
   
ーブのように0.6ミリといった究極の選択もあるでしょう。ただし、耐久性も重要な
   ニーズであるので、厚みに関しては最後まで試行錯誤を繰り返しました。



  耐久性


   シープスキンは、堅牢性といった面では牛革に比べると弱く、極度に薄くすると
   破損につながる恐れがあります。

   私たちは長く安心してご使用いただける製品をリリースすることが使命であると
   考えていますので、素材の厚みをある程度を確保することにしました。

   各パーツを接合する糸にも配慮し、通常は化繊糸(これでも強度は十分)を使
   用するところを更に耐久性に優れる高級糸のビニモ(グローブにはあまり使用し
   ません)を採用し、摩擦による対損断性を格段に高めています。

   また、グローブに求められる耐久性は堅牢性だけでなく、経時劣化に対するア
   ンチエイジング性も重要です。

   発汗による弛緩(伸び)と、乾燥による凝固(収縮)を繰り返す革素材は、想像
   以上にシビアな環境にさらされます。

   そこで私たちは、時間的な経過に耐えうるよう、高級素材キュプラを用いた裏地
   の採用に踏みきりました。これにより手の汗が直接革に掌が触れないため、汗に
   よる浸潤を減らし、革の劣化を軽減させています。

   また、革と裏地は特殊なのりで接着しているため、革の劣化要因といえる「伸び」
   の対策にも役立っています。

  快適性



   フィット性を向上させる目的から、型はややタイト目に仕上げてありますが、
   立体的な裁断と縫製技術により、着脱しやすい快適性を確保しました。
   通気性は革の一部にパンチング加工を施すことで実現しています。

   また、裏地の高級素材キュプラを採択することで吸汗を促し、サラッとした着け心
   地も実現しました。

   このキュプラの採択により、素材トータルの厚みは0.3mm増しますが、シープスキ
   ンの厚みを0.7mmに抑えることで、素材トータルの厚みを1mm以内に収めることに
   成功しました。最終的に最高のフィット性・耐久性・快適性という二律背反のニーズ
   を高い次元で実現することができました。



  Made in 讃岐



   うどん大国で知られる香川県讃岐。

   香川県讃岐はうどんだけでなく、実は革グローブに関して国内随一のシェア(90%
   以上) をもっているのです。

   私たちは、今回生産拠点を海外から国内の讃岐に変更する決断をしました。
   それは、今回の開発がいかに難しいものであったかを代弁しています。

   「ADVAN STYLISH COLLECTION」は、高い技術と厳しい品質管理体制を備えた
   生産拠点であれば、生産国に拘りはありません。

   しかし、今回の製品は、どうしても讃岐でなければ実現できなかったのです。


  クラフトマンシップ



   革製品は、天然素材であるため、湿度や気温によってコンディションが変わっ
    てきます。

   従って裁断や縫製など、製造するタイミングごとに微妙に修正を加えていく
   必要があります。

   革と対話ができる職人の存在。

   それが今回の開発を成功裏に導いた大きな要因となりました。

   讃岐の職人は、熟練した技巧を持ち、さまざまな経験を積んでいます。
   吟味した素材を使って仕上げた寸分狂いのないステッチワーク。

   熟練した職人から繰り出される匠の技は、芸術の域に達しています。

   Fun to drive
  
   
   私たちはドライビング・グローブにおける3つのニーズを高い次元で満たすことができました。本当に良いものができた。全力
   を出しきった。そう言える開発でありました。

   私たちが目指した理想のドライビング・グローブ。

   コーナーをトレースする瞬間、ドライバーのみなさまを至福の喜びの中にお連れすることができれば本懐です。

   2010年1月より発売いたしますのぜひ「ADVANドライビンググローブ」をお試しください。


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